前にあらすじだけ読んで気になっていた「猿の手」W・W・ジェイコブズ
文庫本に収録されていると知って買いました
今の時期にぴったりのお話なので
ストーリーだけかいつまんでご紹介します
ホワイト夫妻と一人息子ハーバートの暮らす家に
ホワイト氏の旧友モリス曹長が訪ねてくる。
以前から話に聞いていたモリスの「猿の手」が話題に上がる。
「猿の手」は猿の手のミイラで
ある徳の高い苦行僧が魔法をかけ
3人の人間がそれぞれ3つの願いを叶えてもらえるというものだ。
モリスの3つの願いは既に叶ったという。
しかしそう言ったモリスの顔は蒼白だ。
そしてその前の持ち主も3つの願いは叶ったと。
モリス「(前の持ち主の)はじめの2つの願いは知りませんが3つ目の願いは死ぬことでした」
モリスはそう言って猿の手を暖炉の火に投げ込んだ。
あっと叫んでホワイト氏があわてて猿の手を取り出して
自分に譲ってほしいと言うのだった。
モリス氏は「どうしても願い事がしたいならまともな願いにしてください」と言って猿の手を譲ることにした。
こうして猿の手はホワイト氏のものになった。
さあ、何をお願いするか?
しかしホワイト氏は欲しいものが特にないのだ。
唯一家のローン(?)が200ポンドあるので
「我に200ポンド与えたまえ」
とお願いしたが 特に何の変化もなく
半信半疑のままその日は終わった。
そして翌日。
息子のハーバートは仕事(工場勤務)に行った。
夫妻はソワソワしていた。
(郵便配達員が来るとお金を持って来たのではないかと期待したりした)
お金が現れないので あの話はたわごとだった
あんな話を信じるとはね!と夫妻が言い始めたころ
きちんとした身なりの男が家の中を覗き込んでいるのに気付いた。
その男は工場の使いの者だった。
ホワイト夫人「ハーバートに何かあったんですか?」
「怪我したんですか?」
使いの者「ひどい怪我をされました」
「ですがもう、痛みを覚えてはいらっしゃいません」
ホワイト夫人「まあ、よかった!ほんとうによかった!」
と言ってからその言葉の意味に気付いて口をつぐんだ。
ハーバートは機械にはさまれ死亡したのだった。
そしてその補償金は200ポンド——
夫妻は息子を埋葬したが
夫人の落ち込みはひどく毎日泣き続けた。
1週間ほど経って夫人が言った。
「そうよ!猿の手があるわ!まだ1回しか願いごとをしていないもの!」
猿の手で息子を生き返らせればいいと言う。
ホワイト氏は息子の凄惨な状態の亡骸を見ているので夫人を止めるが
夫人に押し切られてしまい2番目の願い事をするのだった。
やがて深夜になり 静まり返った中
ノックの音が聞こえてくる
「あたしの坊やよ!ハーバートよ!」
喜び玄関に向かう夫人
「よすんだ、入れちゃ駄目だ!」
止めるホワイト氏
ノックの連打が家じゅうにこだまする
ホワイト氏が猿の手を這って探す
外にいるアレが中に入る前に願い事をしなければ!!
やっと猿の手がみつかりホワイト氏が最後の願いを口にすると
ノックはぴたりと止んだ——