「ハトムギ」は精米の2倍以上のタンパク質を含む
保健食 厚労省も推奨【時間栄養学と旬の食材】
【時間栄養学と旬の食材】ハトムギ
ハトが好んで実を食べたことから明治以降に名付けられたハトムギ。
殻を除いて乾燥したものはヨクイニンと呼ばれ、利尿作用が強いため、
むくみや下痢などを改善するための漢方として使われてきました。
また、皮をむいたハトムギをまぜて炊いたおかゆ、
少し濃いめに煎じたお茶でいぼを取るといった民間療法、
胃もたれや食欲不振を抑える効果があることから、
薬膳料理にも用いられていたとされます。
40年ほど前に厚生労働省(当時は厚生省)が
健康維持のために必要な栄養素を含んだ食品(保健食)として推奨したことからも、
ハトムギが持つさまざまな健康効果に注目が集まっていることがわかります。
少し前にハトムギを食べると流産するといった情報が流れたこともありましたが、
その根拠はハッキリしません。一方では1日の摂取量の30倍近い濃度を投与した
マウスの実験でも流産に対する効果が見られていないという論文の報告があります。
一般的に販売されているお茶では、さらに濃度が低いですし、
食べすぎなければ問題はないと考えますが、気になる方は控えるのもひとつの選択肢でしょう。
ただ、ハトムギに含まれている栄養素を見ると、
精米に比べて2倍以上ものタンパク質を含むほかに、
脂質、カルシウム、鉄、ビタミンB1、ビタミンB2など
穀物なのに比較的バランスよく栄養素を含んでいます。
乾燥肌に悩む方を対象にした実験では、ハトムギエキスを12週間摂取すると、
ひっかき傷の改善率が上昇したり、皮膚表面の脂質量も増加したことから、
乾燥肌を改善する効果が期待されています。
それだけでなく、アトピー性皮膚炎患者を対象にした実験でも
2~12週間の摂取後、症状が改善したこともわかっているのです。
ヒト細胞の実験ですが、脂肪を合成する成分の働きが抑えられることや、
細胞への糖の取り込みが促進されたことも報告されています。
高コレステロール血症などにも効果があることがわかっています。
ノンカフェインなので、夜に飲んでみるのもよいでしょう。
(古谷彰子/愛国学園短期大学非常勤講師)
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