新型コロナで、今年は花見の宴はできない。「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同」。自然は悠久、人の世は刹那。花見のできない桜はひとしきりきれいだ。「願わくば花の下にて春死なん、その如月の望月の頃」。潔く散ってこそ、次の世代に受け継がれ新たな生命が延々と繋がれていく、それが絆というものだろうか。607年小野妹子が携えた煬帝にあてた国書には「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。」恙無しや、云々と書き出されていた。隋帝は立腹し、外交担当官である鴻臚卿(こうろけい)に「蕃夷の書に無礼あらば、また以て聞するなかれ」(無礼な蕃夷の書は、今後自分に見せるな)と命じたという。外交とは決して相手に媚びたり機嫌取りすることでないことも世代を超えた悠久の真実なのだろう。(写真は北京の桜 北京・玉淵潭公園には多くの花見客が訪れた *日経記事より、記事最初の動画<映像>は東京の桜)
(玉淵潭公園の桜は)日中が国交を正常化した1972年の秋、当時の田中角栄首相が中国に大山桜の苗木1千本を贈った。中国の周恩来首相が日本に2頭のパンダをプレゼントしたお返しだ。うち180本が玉淵潭で育てられた。園内の碑には「1973年、ここに中日友好の象徴である大山桜が植えられた」と記されている。玉淵潭が花見の名所になったきっかけだ。残りの苗木はどうなったのか。一部は北京以外の場所に運ばれたという。湖北省の武漢である。建国の父、毛沢東が好んで訪れた東湖のそばに植えられ、いまも美しい花を咲かせる。武漢大学や東湖公園は、北京の玉淵潭に並ぶ花見の名所として知られ、春になると全国から多くの観光客が集まる。
新型コロナの爆発的な感染は、その武漢で最初に起きた。中国の厳しい言論統制が初動の遅れを招き、ウイルスが世界に広がった事実は隠しようがない。戦いが続いている段階で、仮に習氏と安倍晋三首相が握手したら、世界はどう受け止めるだろうか。習氏の訪日は新たな日中関係の出発点になる。だからこそ拙速は禁物だ。せめて次に桜が咲くころまで、機が熟すのをじっくり待つ方がいいと思う。(中国総局長 高橋哲史) . . . 本文を読む
(04/06~10) 予想日 (04/05) ドル・円 106.00ー109.50 ユーロ・円 116.00ー120.00 豪ドル・円63.50ー66.50 日経平均17,000ー19,500 NYダウ20,000ー22,500 . . . 本文を読む