今回は、鳥居カテゴリからお隣の長野県は諏訪郡富士見市を散策中に、発見した『宗忠鳥居』を紹介したいと思います。
『宗忠鳥居』は、京都府左京区吉田に鎮座する宗忠神社の二の鳥居が有名ですがパッと見は、近所の神社など何処にでもありそうな鳥居に見えます。
宗忠神社の二の鳥居(撮影:2015.4)
鳥居の型としては「鹿島鳥居に額束をつけたもの」と、いう事になります。
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)二の鳥居(鹿島鳥居)(撮影:2005.11)
『鳥居の研究』(根岸栄隆著1943年刊)の記述に「鹿島鳥居を化粧仕立にして、更に額束を加えたのが宗忠鳥居と称する一形式である」とあります。
宗忠神社の公式ページ『宗忠鳥居』の項でも言及されていますが、この形式は特に珍しいものでもなく全国に見られたが当社のものが大きく見栄えが良かったので『宗忠鳥居』の名称として広まったのだそうです。
また、以前『宗忠鳥居』を言及した際に鹿島鳥居を踏襲するならば「楔」の存在は必須と結論したのですが、公式でこの記事に反応されたのかどうかはわかりませんが、楔の有無は「さして重要でない」と、結論されてしまいました。(^^;
確かに『鳥居考』(津村勇著1943年刊)には「宗忠鳥居は、鹿島鳥居に額束を取り付け、両柱を少々内方に傾斜(これを転びと言う)せしめたる形にして楔の有無は問題でなく・・・」と記載されており根岸も特に「楔」に関しては触れていませんので、ここは公式の見解通り『宗忠鳥居』の形式を以下の様に改めたいと思います。
- 全体の形式は「鹿島鳥居」に額束がついたもの
- 笠木、貫共に水平で神明型
- 笠木の両端は襷墨になっている。
- 柱にはコロビがある。
- 「楔」の有無に関してはさして重要ではない。
さて、今回紹介する『宗忠鳥居』ですが、長野県諏訪郡富士見町周辺を散策中に、偶然遭遇しました。
御射山神戸八幡神社の境内社「津島神社(祭祀(推定):建速須佐之男命 )」の宗忠鳥居
表面を加工した丸太材で組まれています。笠木の両脇は襷墨で、楔、コロビもあります。
定義に正しい『宗忠鳥居』と言えるでしょう。
津島神社の本社は、愛知県津島市に鎮座していますが、こことの関連など調べれば面白いかも知れません。
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