狂言は目黒に限る

三連ちゃんの音楽もよおしで、
こりゃ下手すると発熱だぜ、と親バカたちは思い
まあ、狂言はまたきっと機会があるから
と目黒ユネスコ協会企画＆目黒パーシモンホールふたたび、
茂山狂言会の「蝸牛」すなわち「でんでんむしむし」を
流そう、と思ったのだが、ヒビキ
かなり疲れていたのに、断固行く、と主張。

キミさあ、狂言なんて見たことないっしょ。

だがこれはウィーン・ピアノ五重奏団がすごくよかったからに違いなく
また実際にヒビキの読みはずんばりと的中していたのである。


親バカ母も初体験の茂山狂言会は、
まったくすばらしかった。

まずは役者さんの茂山逸平氏による狂言解説。
これがまた伝統芸能の研究家で翻訳者の
マーク大島さんという方の英訳解説がすばらしく
会場も──ほとんど日本人であったにかかわらず──
その英訳に大ウケであった。
茂山狂言会の役者さんまでウケていたほどだ。

つづいては「棒縛り」というお芝居。
酒を盗む使用人を棒縛ってから出かけようという主人。
ところが太郎冠者、次郎冠者のお二人は、
棒に縛られたまま、まんまと酒を盗んで宴会である。

最後が「かぎゅう」こと「でんでんむしむし」である。

山伏演ずる茂山千五郎が「山伏でぇーす」
と出てきたところから、会場は大爆笑。
ちなみに狂言は、イープラスでは「お笑い」
にカテゴリーされている。
そういうどのお笑いにもあるような溜めたおかしみが
かぎゅう→かたつむりというもの→でんでんむし
→でんでんむしむし
という具合にエスカレートしていく話である。
（ちょっと乱暴ですが）
そして逸平氏いわく「なんやようわからんうちに」
舞台は幕を閉じる。

親バカ母、以前狂言を見たときは
期待は大きかったものの、さほど面白いとは思わなかったが。
その時、なぜ面白く思わなかったのだろう？
その時もホールで、もしかして松がなかったから？
そう、やっぱり狂言には松がなくっちゃ。

かくいうこれが、鏡松。

目黒パーシモンホールのは、布でできていた。
「知らなかったの？」とさっそくヒビキにつっこまれる。

ついでに今回、ヒビキは"端でも最前席"をチョイス。
やれやれ。
「ママさ、（五重奏と狂言と）どっちが面白かった？」
すっかり目黒がお気に入りになってしまったようだ。

＜狂言の魅力＞
解説：茂山逸平　マーク大島訳

棒縛
次郎冠者：茂山正邦
主人：松本薫
太郎冠者：茂山七五三
後見：井口竜也

蝸牛
山伏：茂山千五郎
主人：松本薫
太郎冠者：茂山逸平
後見：井口竜也