西日受け美の深みますもみじかな
冬千回杉の根生命逞しく 生命:いのち
齢を重ねますと、いつの間にか仏教的な感受性が沁みこんでいるようで、鞍馬山での西日は優しく、もみじの美しさも一段と深みを増し、なにかありがたみを感じます。
鞍馬駅から鞍馬寺の本殿金堂までは結構な山道です。さらに奥の院参道を登っていきますと「木の根道」に辿り着きます。杉の木の太さ・高さよりも、その太くて長い根が大地をがっちりと掴んでいる様に感銘を受けます。
この根を観ながら三木成夫さん(1925~87年の生命形態学者)の本をおぼろげながら思い出しました。
地球の最初の生命は「原初の海に生まれた小さな有機滴」。それが菌類に発展し、さらに植物と動物に分化した。光合成能力を具備した植物は天と地に向かい、植わったままで生本来の「栄養と生殖」の営みを展開する。合成能力を持たぬ動物は、動き回って植物の実りか、それを食べた動物の体を食べて「栄養と生殖」の営みを展開。動物はこの営みの中で「感覚と運動」能力を獲得してきた。
木も人間と同根であり、かつ人間は木に生を依存している。しばし、木の肌に耳をつけていました。なにも聞こえませんでしたが・・・。