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内外行動日記です。blog復帰しました^ ^

アストラを用いる理由

2010-08-11 05:55:56 | 歯科臨床
久々にインプラントについても語ってみようかと思います。
まずインプラントを行う上で悩むのが、どこのメーカーがいいの??
ってことです。
私も最初は散々悩みました。

最初は各メーカーの説明を聞きに行きましたが、どのメーカーも自社製品を良く言うことしかしません。
つまり、業者の言うことはあてにしてはいけないのです。
特にHA系の講習会には誰も真似できないような術式など、混乱させられた記憶があります。

ではインプラントを選択する上で必要なのは何か??というと、私は以下の観点から選択しました。

・歴史あるメーカーであること
・プラットフォームがシフトしているタイプであること
・プラットフォーム部は機械研磨であること。
・様々な補綴パーツが揃っていること。

です。
ここ3年くらい各メーカーから出されたインプラントの特徴は、ラフなインプラントが多いことです。
これは、インプラント治療を行ううえで、素早くインテグレーションする特徴があります。
インプラント治療の欠点として、期間がかかることが挙げられます。それを補正するためですが、
新たな問題ば生まれました。それは、細菌付着もしやすくなることです。
インテグレーションの速さと細菌の付着は比例するのです。

インテグレーションに関しては、機械研磨が最も遅く、塑造面、そして最もインテグレーションが速いのはHAです。
HAタイプは一時期大変に流行りました。しかし、ふたを開けてみたら日本でしか流行っていない状況で、海外では壊滅的な状況です。
一方で細菌の付着は機械研磨が最も少なく、HAが最も多い状況です。
つまり、インプラント周囲炎が起きた時、止めるすべが無いのがHA、ラフサーフェスなのです。
以上の理由でHAタイプを用いることは今後無いでしょう。
そして、メーカーが一生懸命行ってきたインテグレーションを早める実験は少しずれていたと言わざるを得ません。
言い方が悪いですが、某大手メーカーの2社の研究は論点がずれていたといえます。

最も細菌の影響を受けやすい箇所がプラットフォーム部と考えると、この部分はインテグレーションよりも優先すべきは細菌付着を縮小させることにあります。
よって私はプラットフォーム部が機械研磨のインプラントを選択するようにしています。
理想は1.0ミリ~1.5ミリ程度と考えています。深い部分ほど、細菌付着しにくいため、ラフサーフェスになっている形態が良いと思っています。
最も深い部分は細菌感染しずらいので、その部分に関してはHAでも良いのです。

プラットフォームがシフトしているタイプは、「生物学的幅径」を水平に稼ぐことができるため、
インプラントの特徴である、3mm程度の垂直なマージナルボーンロスを1.5mm程度に抑えることが出来ます。
これからの新しいインプラントは間違いなくこの構造が主流になるはずです。
オールオンフォーは除きますが。
ちなみに、ワンピースタイプのインプラントも日本で流行っています。
格安インプラントとして行っているところが多いイメージです。
ワンピースタイプはまた、生物学的幅径が関係無くなるので、理論上ボーンロスは起きません。
しかし、補綴が大変難しくなること、パーツが無いことから、主流にはなっていません。

アストラテック社は歴史があり、シェアも上位です。
プラットフォーム部は機械研磨であり、シフトしています。
インターナルコネクションでアバットとの連結もブレが出にくく、何より補綴パーツもたくさんあります。
私の中では全てのインプラントメーカーでアストラテックは生物学的に2位、補綴学的に2位にランクしており、
総合では1位にランクしました。何より、今後市場に出る、ノーベルやら、ストローマンやら、各メーカーの新作インプラントがアストラにそっくりなのです。いわゆるパクリなんじゃないかな??と。
そして、日本のメーカーが遅れてパクリを行うことは目に見えています。
そういった理由からも用いています。
不満点は3.5mm径がストッパー7が無く、くるくる回ってしまうことです。
海外メーカーはすでに補うようにクリアされた製品が出ていますが、日本は認可の関係上なかなか市場に出ません。
認可をする人に以上の知識があればすぐにでもできるはずなのですが・・・。こればっかりはふしぎな国としか言いようがありません。

選択基準は様々ですが、生物学的な観点と補綴学的な観点。
以上の2つの視線で自分にとって理想の形のインプラント形態を思い浮かべること。
そして、その形に最も近い形態のインプラントを出しているメーカーを選ぶこと。
このようにして総合的に選択をされると良いと思っています。
少なくとも私はこうしてアストラに辿り着きました。なので今後業者にどんな営業が来てもブレないと思います。
今後シェアの上でもぶれないと思います。
以前述べたロングセラーの条件を全て満たした数少ないインプラント形態なのです。

業者の価格破壊やら、営業やらで選択するのは歯科医師として愚の骨頂です。

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岩手県でやり残してきたことが・・・

2010-08-10 05:37:45 | 日記
これは岩手県遠野市の名産、暮坪(くれつぼ)かぶです。
えっ、これカブなんですか??と。
どう見てもダイコンにしか見えない・・・。

ですが、葉を見ると、立派なカブであることがわかります。
昔から漬物として食べられてきていましたが、水分が少なく、辛味が強いので、大根おろしのようにみぞれにしてあげると薬味として優秀であると、聞いたことがあったので、ぜひ体験したかったのですが・・・。
岩手→盛岡→冷麺
といった感じで発想が完全に冷麺に行ってしまい、こちらのカブを拝むこともありませんでした。
冷麺は冷麺でとても美味しかったので大満足だったのですが、やり残した感は残りました。

このカブは今が収穫の時期で、旬といえます。
私は、このカブをすりおろしてお昼にほぼ毎日食べる「冷たいおそば」
の薬味にしたいな。と。

夏の弱りきった胃袋を癒してくれるんじゃないかな。と。
新そばの時期にでも、このカブを求めてまた岩手に行こうかな??なんて思います。

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匠の器具3

2010-06-24 14:53:38 | 歯科臨床
私のこだわりの道具、第3段はこちら
『5倍速コントラ』
です。
今まではエアタービンを用いて歯の切削を行ってきましたが、今ではほぼ100%こちらを用います。
利点は
・音が小さいこと
・摩擦熱が発生しづらいこと→つまり痛みがでにくいのです。
・振動によるブレが少ないこと→つまりより精密な治療ができるのです。

欠点は
・重いこと
・大きいこと
・高価なこと

です。
大きくて重いため、奥歯の治療では技術と経験が要求されます。

私はタービンを治療に用いることが無くなり、今後も5倍速コントラのみで行います。
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dysonの扇風機は

2010-06-23 21:35:52 | 日記
羽が無いんです。
この空間から適量の風が出てきます。
デザインもシンプルでステキですね(^^;

dysonというと掃除機が有名ですが、私はこっちの扇風機に魅力を感じました(^^)
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「守」→「破」→「離」

2010-06-16 21:37:48 | 日記
昔はこんなドラマも存在していました。
思わず笑ってしまったので(^^;



どの人も、良い成績をあげるため、テスト勉強をします。
そして、テストで良い点を取ります。

そこがゴールになっている人が多いこと多いこと。
ほとんどの人は、テストの時まで記憶しており、テスト後は忘れてしまいます。

つまり、本当の意味で使える知識をテスト後に身につけている人はごく少数なのです。

本当の記憶、知識は実技を通し、気の遠くなるくらい膨大な経験の中で完成されていきます。
書面の二次元の知識と、実践の三次元の体感で誤差を感じつつ、脳がほんの少しずつ修正、適応し、初めて完成されるのです。

室町時代に世阿弥が、安土・桃山時代に千利休が、江戸時代に川上不白が以下の言葉を述べています。
「守」→「破」→「離」

「守」:師の教えを徹底的にコピーすること。いわゆるカンニングです。人は真似をすることで学ぶことができます。ここには「習う」の要素も含まれます。

「破」:ここの意味は色々と解釈できますが、私は師以外の師から習うこと。だと思っています。つまり、他の流派も取り入れ「守」に徹すること。すなわちここも「守」なのです。

「離」:師から離れ、独自の流派を作ることです。自分流とでもいうのでしょうか?ここまできて初めて「自分」を出すことが許されるのです。

学問すなわちテストの結果はあくまで「守」のみであり、長い道のりのほんの3分の1の段階にすぎないのです。
どの領域もそうですが、職人への道は果てしなく遠いものです。


 
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匠の道具その2

2010-06-06 22:20:01 | 歯科臨床
私のこだわりの道具、第二段です。
道具名は「クラウンスプレッダー(カール・ハマハー製)」です。

こちらの道具は補綴物の除去に用いています。
歯科治療は、再治療を行うことが非常に多いです。
その期間をより長く取れるように、定期的メインテナンスを今後も推奨し続けていく予定です。

クラウンを除去する時、切り込みを入れます。そこにこのスプレッダーを用い、
切り込みから両側に負荷をかけ、除去します。

この除去する道具が歯科製品では少ないため、大抵の歯医者さんはマイナスドライバーを用いています。
しかし、このマイナスドライバーで除去を行うと、左右の揺れが歯周靭帯に直に伝わります。
健常な歯周組織の人はダメージはありませんが、歯周病をお持ちの方には非常につらい治療になります。
そのために、左右に均等な力を与えるこのクラウンスプレッダーは、日常歯科臨床において、必要不可欠なのです。

いかに素早く、ダメージを与えない治療が出来るか??
これには、技術は勿論ですが、こういった優れた道具を使いこなすことも大切だと思います。
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巧の器具その1

2010-05-17 22:24:26 | 歯科臨床
私が日々歯科臨床で用いている道具を紹介したいと思います。
自分で言うのもおかしいもしれませんが、道具にはかなりのこだわりをもっているつもりです。

どんなこだわりかというと、以下の3つです。
1、仕事が速くできること
2、患者さんの負荷が軽減できること
3、構造がシンプルなこと
です。

写真はYDMの「オートマチックリムーバー」です。
主に「仮歯(テンポラリークラウン)」を外す時に用います。

今までは通常のリムーバーを用いていましたが、これを用いるようになってから、
TEKを外す時間が短縮され、外すのが楽しくなりました。
・・・・少し言い過ぎたかもしれませんが(^^;

通常のリムーバーは定価で5000円程度
オートマチックリムーバーは定価で36000円程度
この価格の差で用いている歯科医院はかなり少ないはずです。

しかし、作業の効率化、負荷の軽減は術者のストレスも軽減させます。
テンポラリーをあまり作らない先生にはお勧めできませんが、
私は一日に数多くのプロビジョナルを作製しているため必要不可欠なのです。
そんなわかる人にはわかるちょっとマニアックでお勧めの巧の器具なのです。
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保険診療の金属の値段

2010-05-15 05:46:48 | 日記
以前に歯科治療で用いる金属について語りましたが、
今回は金属の価格について述べさせて頂きたいと思います。
歯科保険診療で用いる金銀パラジウム合金ですが。
主成分は銀、パラジウム、そして金です。

ご存知の通り、現在金が世界的な値上がりを見せています。

5月13日現在1g価格(消費税別)
金3741円 
銀61.80円 
パラジウム1725円

健康保険で用いる合金は
金が12%程度で上記の価格で1g449円
銀が40%程度で上記の価格で1g 24円
pdが20%程度で上記の価格で1g345円
この時点で1g800円を軽く越えてしまっていいます。
ちなみに、上記の成分は最低この程度の成分であり、
かつ、他の微量の金属も含むため実際の価格はもっと上がります。

つまり銀、金、パラジウムの価格の変動の影響をモロに受けるのです。

昨日の金パラ価格は30gで25.821円で
1gあたり860円になります。
まだまだ価格が上がる予定で、金属を扱う業界が苦しい限りですね。


保険診療において、金銀パラジウム価格は、4月1日は、1g619円と下がり、現在逆ざやとなっているのです。金属の値段が上がり、こちらが加工するかぶせもの、つめものの値段が下がる。まるで貿易赤字です(^^;

「コラ!」といいたくなりますが、そういうルールの中で日々仕事をしています。
おそらく10月に改定されるでしょうが、それまでは耐える時期です。

2年前に原油高になった時に物の価格が上がったのは記憶に新しいものがあります。
しかし、こちらは国の決めた価格なので上げることは不可能です。
ですがメディアはこんな報道勿論行いません。
報道するのは、この業界にとって不利な内容ばかりです。
ここに私がテレビを全く見なくなった理由の一つがあるのですが、
以前私が通った講習会の先生の言葉をお借りすると、
この業界ってわりと虐げられているのです(^^;


まあそんなグチはさておき、いよいよ診療室が完成しました。
後日アップしたいと思います。


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超弾性ファイルを用いた根管治療

2010-03-21 20:26:52 | 歯科臨床
歯内療法に、超弾性ファイルを用いる比率が格段に高くなりました。
写真で見ると「クネッ」と急激に彎曲しているのがわかります。
この、急激に曲がることができるのが超弾性ファイルの特徴です。
つまり、根管において、根管の本来の形態を壊すことなく、拡大形成が可能なのです。

歯内療法は、根管治療とも呼びますが、これは、大きく2つに分かれます。
1、抜髄
2、感染根管治療
この2つの処置は似ていますが、目的は全く異なります。

1の抜髄は、むし歯が、エナメル質(C1)→象牙質(C2)→歯髄(C3)と達し、歯髄に炎症が起きた状態に行う処置です。
目的は無髄の状態を作り、今後感染を起こさないように密封してあげることです。

2の感染根管治療は、図のようなファイルを用いて感染歯質(いわゆるむし歯)を徹底除去することが目的です。すると、根尖に起きた病巣も自然治癒力で治癒します。
そこに咬合が加わり、長期に渡りセメント質の肥厚を起こし、生理的な封鎖を目的とします。

感染歯質の除去方法ですが、
歯は、頭の部分の「歯冠」と根の部分の「歯根」に分かれます。
歯冠の部分のむし歯は直視が可能なため、機械的に除去することが多いです。
以前に「う窩処置」の部分で詳しく述べましたのでそちらを参考にすると良いでしょう。

しかし、歯の内部で感染が起こると、歯根の部分に、内面からむし歯ができます。
このむし歯は、直視が極めて困難です。勿論直視をすることも可能ですが、それは、マイクロスコープという顕微鏡を用いて治療を行います。これに関して述べると話がものすごく長くなりますので、マイクロスコープを用いた治療方法に関しては後日述べさせて頂きます。

つまり、通常では直視が困難なために、手指の感覚によるファイルを用いた感染歯質の除去が行われるわけです。
ファイルは以下の2つに分類されます。
1、ステンレスファイル
2、Ni-Tiファイル(超弾性ファイル)

リーマーを昔の先生はよく用いていましたが、リーマーの役割は、Kファイルの中に全て含まれるため、私はリーマーを用いることはありません。
昔の先生はリーマーとHファイルのコンビネーションが多かったイメージです。

私は、基本はKファイル(ジッペラー社、Kerr社、一部のみマニー、デンツプライ三金)
を用いています。
主力はジッペラー社のKファイルです。
ジッペラー社のKファイルは剛性に冨み、根管の走行や、根尖部1/2の形成に向いています。適度な彎曲を前もって付与(プレカーブの付与)することで、根尖部の微妙な彎曲に対応させます。このファイルは先端の切れ味が命なのです。

次にKerr社のファイルですが、そもそもKファイルの名前の由来はこのKerr社にあります。つまり、Kファイルの元祖がKerr社なのです。
Kerr社のファイルは私の個人的なお気に入りです。
今では用いている先生もめっきり少なくなりました。
なぜお気に入りなのか??というと、このファイル、折れないんです。
正確には、ねじれに極めて強いのです。
欠点としては、切れ味に難点があることですが(^^;
これが人気が無くなった理由でしょうか??

私はこれを、根管の探索に向いていますので、私は、♯06、♯08、♯10、♯15、♯20、♯25
♯30くらいまでを揃えています。
要は、根管長の測定に用いるのです。21ミリが最も多く用います。


マニー社のKファイルは♯20、♯25、♯30、♯35のみを用います。
マニー社のファイルはねじれに弱く、個人的には好んで用いないのですが、利点として、
とてもよく「しなる」のです。
つまり、形成された根管を「なぞる」のに適しています。

私の場合は、根管内に、次亜塩素酸Naを満たし、OSADA製エナックの根管治療ツールにマニー製のKファイルをとり付けています。
長さ、太さを調整してフレアー形成に用いるには良いファイルなのです。

と、各社のKファイルの特性について私の主観で勝手に述べさせて頂きました。
知らない人にはマニアックすぎて、ここまで読むことすら不可能でしょう。

これらの技法は、ものすごく熟練された手技です。
経験の浅い歯科医師が治療を行うと、時間がかかってしょうがないのでしょう。
私の場合は、歯医者になって一年目は、この根管治療の勉強に大半を費やしたほどです。
しかし、未だに極めていません。
これには理由があるのですが・・・。
これについては、マイクロスコープについて語る時に詳しく述べます。
とにかく、歯内療法は完璧にやろうと思うと、難しい治療です。
私の主観では、インプラントよりもはるかに難しいです。
特に大臼歯部の治療がはとても困難です。

そこで救世主となるのがNi-Ti ファイルです。
私は現在はプロテーパーと、プロテーパーリトリートメントを用いています。

クラウンダウン法で、根管を上部から安全に形成していきます。
従来のステップバック法や他の方法とは少し異なるのです。
目的は、
1、根管口のロート状拡大
2、根管上部1/2の形成
3、根管下部1/2の形成
です。
従来は、ゲーツのエンジンリーマーを用いて1、2の手技を行っていましたが、
プロテーパーではSxを用いるだけでこの1、と2、の動作が終了できます。
つまり、今までよりはるかに時間短縮され、かつ、制度が上がるのです。
これは、私が行おうと、経験の浅い先生が行おうとほぼ同じ時間と精度が得られます。

あとは、3を従来のKファイルを用いてステップバック法を行おうが、Ni-Tiファイルを用いてクラウンダウン法を行おうと自由です。

根管治療で最も時間がかかるのが上記の1と2なので、これが、1~5分でできるようになると、患者さん側も苦痛を大幅に軽減できるのです。
そして、従来では常識であったアピカルシートの形成は行いません。
こんな動作を行うから根尖から押し出して打診痛の原因を作るのです。

大切なのはファイルの形に根管を合わせることではなく、根管の形に沿ってファイルを合わせてあげることなのです。
そういう意味でNi-Ti ファイルは理に叶っています。

そして、アピカルシートを形成しない、適度なテーパーの付与された根管は、最終形成ファイルと全く同じ号数のメインポイントで根充を行う方法が現時点で最も速く正確であると思っています。
シングルポイント充填です。
根管充填も試行錯誤で色々と試しました。
・側方加圧
・垂直加圧
この垂直加圧が色々な方法が出ています。
オブチュレーション、オピアンキャリア法、JHキャリア、NTコンデンサ法、NTコンデンサ変法、サーマフィル法。
ここ最近はNi-Tiでの形成が増えたため、ちまちま積み立てる方法よりも、シンプルでかつ正確なシングルポイントによる根充が私の現時点での結論です。
そして、シーラーは用いたほうが良いでしょう。

ただただ、Ni-Tiファイルは、価格が高いのが難点なのです。
折れる危険を察知し、常に新しいものを用いるからです。
価格はステンレスファイルの5~8倍します。
新品に取り替える頻度はさらに5倍程度。
つまり、通常の20~40倍ものコストがかかってしまうのです。
保険の制度で行うと大赤字部門になってしまっているというのが悲しい現実なのです
(^^;






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欠損歯の治療を行う際に見る指標1 ~Eichnerの分類~

2010-03-20 07:35:25 | 歯科臨床
歯の治療を行う上で分類していることは以下の3つです。
1、一次医療(主に予防)
2、二次医療(補綴前処置)
3、三次医療(補綴)

基本は補綴前処置(むし歯、歯周病、その他)が終わると、欠損している部位に歯を入れる補綴治療に移行するわけです。

この補綴設計をする際に指標の一つとして多く用いられるのがこのEichnerの分類です。
ヒトは4つの咬合支持域を持っています。
(上下の大臼歯部、小臼歯部で2つ、左右あるので×2)
この支持域と欠損の状態から、
A1~A3
B1~B4
C1~C3 
と分類します。
A群:4つの咬合支持域に全て対合の接触があるものをA群
A1:上下の全歯が揃っているもの。理想的な状態。
A2:対顎に限局的な欠損があるもの。機能的にはほぼ問題なし。
A3:上下顎に欠損あり。 この場合はブリッジで行う場合が多い。無理にインプラントは必要無いか??

B群:対合の接触が1~3のもの。(支持域外の前歯部も含む)
B1:3つの支持域
B2:2つの支持域
B3:1つの支持域
B4:支持域外(前歯部)に支持域があるもの

C群:対合接触が全くないもの
C1:上下に残存歯あり
C2:片方は無歯顎、片方に残存歯あり
C3:上下無歯顎

当然のことながら、C→B→Aの順に重症なわけです。
CからB4あるいはB3へ、B3からB2へ、B2からB1へと持っていくのが欠損歯列の治療法です。理想はA群まで持って行きたいものですが(^^;
B1くらいがゴールになることも多々あります。
それは、このへんだと、入れ歯を装着すると、逆に不快になることが多いからです。
そんなに咬めないわけでもないので、義歯を作製しても、装着しない患者さんが多いのではないでしょうか??
ですが、ここから欠損が進行すると、急激に不便になるわけです。
臼歯部の支持はかみ合わせを決める最重要項目なのです。
ここに残存する歯の1本あたりの生命力を考慮し、補綴設計をします。
残存する歯をコントロールするのは歯周治療であり、むし歯の治療です。
ここでは、歯周病の項目で述べた。
1、Good
2、Guarded
3、Poor
4、Hopeless
の4つの項目から保存、抜歯の判定を行うわけです。

残存歯の処理(補綴前処置)が終わるといよいよ補綴設計に入ります。
補綴設計のツールは以下の4つです。
・インプラント
・ブリッジ
・義歯
・移植(時おり)

CからBへ、B4をB3へあるいはB2へと行う治療では現時点ではインプラントが最も効果が出やすいと言えます。
今度述べるKennedyの分類で言うⅠ級が難しいわけで、要するに、遊離端欠損の義歯はやはり安定度に欠けるといわざるを得ません。

これを中間欠損にするだけでも義歯の効果は大きく異なってきます。
最近はインプラントをそんなツールに用いています。
本数も少なく抑えることが出来るため、とても便利です。

建築と似ていると思うのは、基本設計をしっかりと行うことです。
建築と異なる点は、生物学であることです。
つまり、「柱」である歯や周囲の歯肉が炎症を起こしたりするため、設計の変更を余儀なくされることがあるのです。

「炎症のコントロール」

これが補綴前処置における最大のポイントと言えます。
そのために活躍するのは歯科医師よりも歯科衛生士の役割が大きくなることが多いのです。

歯科医師を術者とすると、患者さんと術者は目線が異なるものです。
そこの橋渡しをしてくれるのが歯科衛生士さんなのです。
術者側、患者側、両方の視線から両者をサポートします。
歯科衛生士は歯科治療におけるハイブリッドな役割を果たしてくれるのです。



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