天国からの手紙

愛よ届け

過ちの告白

2021年04月08日 13時24分17秒 | 天国からの手紙

故人からのメッセージです。

 

                      

私は高層ビルの屋上から飛び降り自殺をしたかったけれど、

会社の屋上は立ち入りが難しかったので、線路を選び投身自殺を図りました。

仕事に疲れ、人に疲れ、人生を儚んでの事でした。

当時の私は、一流と呼ばれる企業に就職したのはいいけれど

バブル期終焉の煽りで、業績を伸ばせなければ無能者の烙印を押すという

重圧と叱責が激しく、女性で有ろうと容赦はなかった。

残業に次ぐ残業と、上司の重圧にクタクタに疲れ切っていた。

華やかなはずの20代、大学時代の知人達はチヤホヤされて要領よく職務をこなし

週末休日を楽しんでいる、なのに私は今日も休日出勤。

いっそのこと会社を辞める?そんなこと出来ない、だって四年大学を卒業できたのは

親が頑張って働き学費を出してくれたお陰、そのお陰で一流企業への就職が叶った。

親類にも優秀な娘だと言ってくれる両親の期待は裏切りたくない。

私はこのまま頑張るしかない、それが親孝行で有り私が生きられる唯一の道だと思い込んでいた。

 

あの日は私の中の何かが壊れていた。

心の痛みが麻痺していた。無意識的に実行してしまった。

 

空虚な想いで死後も現世に留まり続けた。

楽しそうな人達や幸せそうな人達を見かけるたびに私は何をしているのかと、自己嫌悪に陥った。

笑えるよね、死後でも落ち込むんだよ。

 

十数年が過ぎ、そんな私を救い出す光と出逢った。

戻るべき場所に逝き、心や魂が解放されて、身の上話を語っている。

 

どうして今更語る気になったのかというと、両親への贖罪というより

形は違えども、仕事というカテゴリーからの生活費に絶望を覚え、

死にたがっている人々が大勢居ると感じているから。

私の体験が、けして他人に褒められるべきものでは無い私の経験から

何かを感じ取り、もう一度考えを巡らせる機会になるのではないかと思え、

恥ずかしげもなく当時の事を語りました。

働き口さえ失う思いに比べれば、私の過酷だと感じていた労働など贅沢な悩みに聞こえる事でしょう。

甘えた人間に思われても致し方有りません。

私の最大の過ちは、生きる道を他に求めなかったこと

一つのことに縛り、視野をもっと広く持てなかったこと。

私の過ちが、どなたか一人でも命を思い留ませる事に繋がればと願っています。

 

                      1991年 4月 没

                      2021年 4月 記

                        

 

 

☆お読み下さった方へ

    

このマーク内の紫文字は故人からのメッセージです