故人からの手紙です
伊藤といいます
この命は50代半ばで終わりました
これまでの人生を振り返り終えたところです
決して善良な人間というわけではなく、悪人というほど酷いことをしてきたわけでもありません
しかしながら、こうしておけば良かった、あんなふうに言わなければよかった
そんな事ばかりが思い出されます
一時の心の優越感に伴う不義理な事をしたことを謝りたく、まかり越しました。
妻と子供へ
誰もが過ちを犯すものだけれど、誠実な父親ではなかったことを
先ずは謝りたい
どれほど君たちを傷つけたんだろうな さぞ、呆れたことだろう
どうして自分は、それが許される立場の人間だと思ったのか
虚栄心に身を委ね放蕩した自分が情けなく、ある
出来ることなら 生きている内に、改心し反省した自分になり
妻や子に罪滅ぼしをしながら、老後を迎えたかった
詮無い事ではあるけれど、せめてそう反省していることを伝わればと願う
夫婦や親子の絆を、死んだ後に紡ぎ直すのは難しいだろうが
せめて、君たちの心に少なからず届くことを願い、末筆とする。
不出来な夫より
☆初めてお読みくださった方へ
このマーク内の紫文字は故人からのメッセージです
茶文字は私自身の言葉です