滋賀県・京都府とその周辺の山と滝

比良・鈴鹿山等の滋賀の山や京都北山を中心とした、山登り・滝巡りなどを写真で綴る個人記録帳です。

2019.06.16 比良山/ヒジキ滝・釣瓶岳

2019-06-16 23:14:01 | 比良の山
2019.06.16[横谷トンネル東口09:19〜09:50地蔵峠09:52〜09:56地蔵山10:02〜10:27ヒジキ滝10:50〜11:42イクワタ峠11:46〜12:15釣瓶岳12:23〜14:07栗木田谷出合]with kol-yosiokaさん、yamaneko0922さん、yamaizuさん

地蔵峠〜ヒジキ滝間は難路、近年整備が進み危険箇所にはトラロープが設置されています。

ヒジキ滝右岸尾根には道はありません。

釣瓶岳から栗木田谷出合までの尾根は途中踏み跡はあるが、下部では踏み跡なく倒木多数、支尾根も多く迷いやすい。


先週のkol-yosiokaさんとyamaneko0922さんとで行かれた比良14座、私も誘われていたがドタキャンとなってしまった。お二人のレコを読んで、いいなぁ、仕事をほっといてでも行けばよかったなぁ、と思っていた。そんなところにyamaneko0922さんから畑集落の棚田を見がてら奥比良に行きませんかとのお誘い。
「行きます行きます。絶対行きます。」と即答したかったが、先週に引き続いて今週もドタキャンになる可能性がある。
なかなか返事できずにいたが、金曜日夕方になってようやく「行けそうです」と連絡することができた。今回はドタ参である。

ところが滋賀北部の天候は曇り時々雨の予報、今度は天候の心配をしなければならない。
京都出発時はどんより曇り、滋賀に入り一時晴れ間も見えたが、高島から国道を離れて西に進むと、再び雲が低く垂れ込め小雨が降ってきた。さて今日の天気はどうなることやら。

9時に黒谷口に集合。yamaneko0922さんの車とkol-yosiokaさんのバイクを栗木田谷分岐にデポして、私の車に4人乗り横谷トンネル手前の地蔵山登山口へ。
登山口50mほど手前の展望所は、畑地区の棚田が一望できる絶景ポイント。棚田とその中に点在する民家や杉林が、雨後の洗われた空気によりはっきりと望める。太陽による陰影がなく、まるでジオラマのように見える。

地蔵峠への道は、むかし高島方面と朽木栃生を結ぶ、物資を運ぶための重要な生活路であったのだろう、多くの人が往来したことをうかがえる、しっかりと踏み固められた道だ。雨の後ではあるが、湿度はそれほど高くないらしく快適に歩ける。
日が射さないためしっとりと落ち着いた雰囲気の植林と自然林が入り交じる森の中を、yamaneko0922さん先導で流石のハイペースで高度を稼ぐ。yamaizuさんは、遅れるかもしれないからと最後尾を歩かれるが、いやいやご謙遜を、涼しい顔で普通についてこられている。

地蔵峠からは程なく地蔵山。畑の棚田は見えないが、鹿ヶ瀬方面の棚田とその背景に屏風のように広がるリトル比良の山が木々の合間から姿を覗かしている。

きょうは釣瓶岳までのお手軽ハイクの予定だったが、時間も体力にも余裕はあるので、ヒジキ滝に寄り道していこうということになる。谷への下り口は不明瞭ということで、kol-yosiokaさんが常に通るというルートを先導してもらい駆け下る。道なき急斜面を平地を歩くように、いやそれよりも速く、迷いもなく下って行かれるのには毎度のことであるが感心する。林道を突っ切り一直線であっという間に猪谷源流に下り立つ。

ここからはyamaneko0922さん先頭で、しばらくサワグルミやトチ、カツラの大きな木が見られる谷を左右に流れを渡り返してなだらかに下っていく。道標のある地点で道は左岸に渡り、トラバースルートに変わる。トラバースルートを見逃しそのまま谷を下っていくと滝場となり行き詰まる。過去にも遭難事故の起きているところ。
やや登りのトラバースルートを進み尾根を左に回り込むと谷音が近づいてきて、ロープが設置されている難所を越えるとヒジキ滝がその姿を現す。19年ぶりに再会するヒジキ滝の一筋の白い水流は非常に眩しく神々しく感じられる。鳥肌が立つ。
滝は昨日の雨の影響で水量が多く見応えがある。ここでしばし滝鑑賞の休憩。滝に寄ることは予定外だったので、先日ダイソーで買った500円の三脚を持って来そびれた。手持ちでギリギリぶれないシャッタースピードを設定して露出アンダーでシャッターを押す。

滝からはyamaneko0922さんの提案で、ヒジキ谷右岸尾根を登り縦走路に戻ることに。支尾根から取り付くと食事後なのかお腹が大きく膨らんだマムシが出迎えてくれた。最初こそ急坂で、降り出した雨で足を取られがちだが、すぐに勾配は落ち着き快適な尾根へと変わる。
雨が強くなってきたのでレインウエアをつけ、さらに登っていくと左手に大きなスギの木を発見。みなさんレインウエアのフードで視界が狭くなっている加減で、すぐ近くまで来てようやくのこの木の存在を知ることになる。かなりの巨木で傷んでいるところもなく、樹勢旺盛で見応えのあるすばらしいスギだ。比良山系でも最大級の大きさではないだろうか。比良山を知り尽くしたkol-yosiokaさんをもっても、こんな所にこのような巨木があったなんてと驚かれている。こういう発見こそがバリエーションルートをたどる楽しみのひとつだ。

さらに尾根を登ると道が横切る。笹峠へと延びる道だろう。このルートも19年前に歩いているが何も覚えていない。この道をまたぎ、だんだんと下生えのシダが増えてくると、縦走路のある主尾根は近い。主尾根手前に小さなピークがあり視界が急に開ける。ここからは晴れていると正面に堂々とした蛇谷ヶ峰が見えるはずだが、今日は上部が雲の中。それでも山腹や手前の尾根を西から東へと高速で駆け抜けていく霧の風景は、まさに幽玄の世界というもの。雨と風の悪天候ならではの絶景だ。

この展望ピークからは程なく縦走路で、少し登るとイクワタ峠北峰につく。北東方面には遠く琵琶湖も望め、南に目をやると美しい山容の釣瓶岳が見えるが、相変わらず蛇谷の山頂は姿を見せない。雨は止んだので雲が切れることを期待するものの、雲もなかなか期待通りには動いてくれない。それどころか、釣瓶岳への最後の登りにさしかかると、視界の悪さは増して、とうとうわたしたちも霧の中の人となった。

釣瓶岳山頂で立ながらの昼食。しばらく気づかなかったが、山頂にはごく小さな黒い虫が異常発生。木の根元に置いていたザックにも群がってきた。

帰路もyamaneko0922さんの提案で、栗木田谷と八池谷の合流地点へとのびるバリエーション尾根ルートを辿ることに。一旦ナガオへと進み尾根が右へ90°折れる地点から東へとのびる尾根に入る。
最初は尾根っぽくいないのでGPSを頼りにyamaneko0922さん先導で下る。この尾根は急傾斜で雨の後で濡れているということもあり滑りやすい。yamaneko0922さんはどんどん下って行かれる。それに続けとyamaizuさんも平然とついて行かれる。もちろんkol-yosiokaさんも余裕。わたしも少々爪が痛むが後を追う。
あっという間に高度を下げ傾斜は緩やかに、尾根もやっとそれらしくなってきた。このあたりになると昔の仕事道だったのだろうか、最近は踏まれていない道跡が明瞭になってくる。

ここで、まだ時間もたっぷりあるので一度休憩をとる。ちょうどその場所に自然の箱庭があった。古いカエデの木の洞に水がたまり、その周りに雨に濡れた瑞々しい苔とモミジの新芽が見事なバランスで配置されている。ここに鹿威しがあれば完璧。なんとも日本情緒溢れる、ワビサビ世界がそこに展開されているのだ。これもまた雨という天候がなせる偶然の産物。
今回の山行はこの箱庭や霧の流れる山腹風景などなど、雨ならではの風情を感じさせる風景がいくつも見られた。雨の山もまたいいものだと改めて感じることができた。
いやいや、ここできょうの山行を振り返って感想を言っている場合ではない。まだまだ下っていかなければならない。実際ここからが倒木やアセビなどの藪が増え、支尾根も多く、なかなか手強くなってくるのである。さらに再び雨は本降りの様相。
yamaneko0922さんが先頭でGPSを頼りに、その後ろからkol-yosiokaさんが地形図と方位磁石を手に現在地を確かめつつ、それでもルートから外れることもあり、その都度修正をして下っていく。これはバリ道歩きの醍醐味であり実に楽しいわけだが、なかなかそれをわかる人は少ないのではないだろうか。今日はお二人にルートファインディングは任せっきりである。

植林地帯に変わってくると、傾斜もなおゆるやかとなり、雨も止み、倒木や藪はなくなり歩きやすくなる。今では植林され成長したスギが立ち並ぶ旧棚田地帯を歩くと、八池谷の岩を食む水の音が大きく聞こえるようになり古道と出会う。これを辿り苔むした橋を渡ると、そこにはyamaneko0922さんの車がわたしたちの帰りを待っていてくれるのだった。

今回は初めて歩くバリ道もあり、19年ぶりのヒジキ滝、スギの巨樹との出会い、霧を纏う蛇谷ヶ峰の幻想的な姿、偶然の産物自然の箱庭発見、それにマニアックではあるが雨の中の倒木くぐりアスレチック、天候は悪いながら十分に楽しめた山行だった。計画し誘っていただいたyamaneko0922さんご夫妻、ヒジキ滝へ案内くださったkol-yosiokaさん、いつもながら感謝です。

今回は少しだけ足の爪を痛めてしまいました。急な下りで靴紐の締め具合がゆるく、靴の中で足が動いて、つま先が当たったようです。途中で紐を締め直しましたが、そこまでで既に痛めたようです。下り坂にさしかかる前に調整しなければと反省です。



登山口付近より畑の棚田を見下ろす




地蔵山山頂からの風景


19年ぶりにヒジキ滝と再会








ヒジキ滝右岸の大トチノキを撮影するkol-yosiokaさん


滝上のV字谷、しっとりとした緑が強調される


大トチノキ




見事なアシウスギ出現に一同驚き




巨杉上部は枝張りもよく、まだまだ勢い劣らず元気さがうかがえる




ピークから望む蛇谷ヶ峰は雲の中




イクワタ峠北峰付近にて
このあたりは武奈ヶ岳西南稜、小女郎峠周辺と並んで比良山屈指の稜線が美しいところ




見事な造形美




おまけのモリアオガエルの卵


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