チャレンジ

楽しく、自然体で生活しながら、チャレンジし、感じ続ける記録です。

見せかたって難しい

2004-09-04 23:39:29 | Weblog
 住宅街には珍しい酒屋がつぶれ、新しいテナントの工事が始まった。「こんなところに何ができるんだろう?」と思っていると、しゃれた感覚で地場で売り出し中の居酒屋になった。

 居酒屋ができて最初の週末に早速行ってみた。厨房を取り囲むように17mくらいの円形のテーブルが配置された、レイアウトに特色のある店だった。下駄箱、床板、テーブル、棚などの内装も素材そのものに高級感はさほどないが、こだわりを持って作られた印象を受けた。他のお客さんのところに運ばれていた料理のお皿などの什器にもこだわりが感じられる。
期待を持ってメニューを見ると、ブームになっている芋焼酎の種類が多く、ここにもこだわりが感じられる。値段は少し高いという印象を持ったが、品揃えに満足した後に、料理のメニューを見た。料理のメニューは正直なところ×だ。市内中心部にある同系列の店舗のメニューとは多少内容を変えて、立地やターゲット客を意識したメニューにしたのだと思うが、とにかくメニューの種類が少ない。加えて食べたいと思わせるメニューが少ない。メニューにあるものからしかたなく注文するという感じになった。

 メニューを厳選するというやり方は、こだわりの店などでよく見られる。それ自体が悪いとは思わない。店、そして料理人のこだわりが一品一品に表現され、これを食べていただきたいという気持ちが伝わってくる。前菜からデザートまでのメニューをならべた“本日のコース”にメニューを絞り、前菜やスープで若干の選択肢をつける以外は、お客様に選択肢を与えないフランス料理店なども珍しくはない。
 
 制約された自由を楽しむ

 そういう感覚なのかもしれないが、“本日のコース”に絞ったフランス料理店では、制約されたメニューでありながらも、「これはシェフのこだわりの表現だから、きっと楽しむことができる」と自分自身が思い込んで、ワクワクした気持ちで料理を待ち、そして楽しむことができる。
フランス料理店がメニューを制約する理由は、実際には、無駄のない素材の調達や、厨房のスペース、シェフの人数などのいろいろな制約条件の中ででてきたものかもしれない。ただ、限られたメニューしかない理由を店側の制約条件が原因だと思わせない何かがあるように思う。お客に制約された自由を楽しむ気分にさせる何かがあるように思う。これはメニューの中での表現のしかたなどといったさまざまな手法によるもので、結果としてお客様が「最善の選択をしている」と思わせる。
店側の都合が本当はあるとしても、お客様のことを考えている、お客様にとっての最善の結果としてメニューを絞っていると思わせる工夫がとても大事だと思う。

 今晩行った店は、店の都合でメニューを絞っていると思えた。なぜそう思ったのかを考えてみると、いろいろな理由が浮かぶのだが、一番の理由がうかんだ。

 手の内が見えている

厨房がテーブルから丸見えで、厨房設備や調理風景、従業員の動きが全て見えている。開店して一週間しかたっていない。これらのことから店の手の内が見えていて、結果として、店側の理由でメニューが絞られていると感じてしまうのだ。

 見せかたって難しい。でも、奥が深くておもしろそうだ。

開店手伝い?で、居酒屋チェーンの若社長と思われる人が来ていた。初めての郊外型とも言える出店で店の状況を見ながらいろいろと考えている様子だった。根性や情熱があるようなタイプだったので、きっと次の一手をうってくると思う。この社長もチャレンジしていた。