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◎ギリシャ神話 21 オリュンポス12神 8

2013-05-18 21:07:05 | HKT48 AKB48
◎ギリシャ神話 21 オリュンポス12神 8

★オリュンポス12神
・ゼウス
・ヘラ
・ヘパイストス(ゼウスとヘラとの子)
・アレス(ゼウスとヘラとの子)
・ポセイドン
・デメテル
・ヘスティア
・アプロディテ
アテナ(ゼウスとメティスとの子)
・アポロン(ゼウスとレトとの子)
・アルテミス(ゼウスとレトとの子)
・ヘルメス(ゼウスとマイアとの子)
・ディオニュソス(ゼウスと人間セメレとの子)

◎アテナ(ローマ神話ではミネルヴァ 英語名ミナーヴァ)

・アテナの誕生については「ギリシャ神話 14」でふれました

アラクネの物語(以下、おもにオウィディウス「変身物語(上)」岩波文庫によります)

 アラクネはリュディアの女で、機織り上手のほまれにかけては女神アテナに1歩も譲ろうとしないほどであった

 父はイドモンといい、イオニア産の紫貝の液汁で羊毛を染めるのが、日常だった

 彼女に技術をさずけたのはアテナだとひとは思ったけれども、アラクネ自身はそれを否定し、「女神さまも、わたしとわざを競われたらよいのだ、わたしが負けたら、わたしをお好きなようになさるがいい!」と言った

 アテナは老婆に変装して、「わたしはいろいろな経験をしました。わたしの忠告を無にしてはならないよ。相手が同じ人間だったら機織りの技を自慢するのもよい。しかし女神さまには一歩譲らなければなりません。あなたの言葉にたいしては、許してくださるよう女神さまにお願いするがよい。そうすれば女神さまは許してくださるでしょう」と言った
 アラクネは彼女をにらみすえると、紡いでいた手をとめると、怒りの色を顔にあらわして、こう答えた
「よくもいらしたのね、そんなにもうろくして。嫁か娘さんはいないの?そんなお説教はその人たちにするがいいわ!わたしの考えには変わりがないのだから。でも、女神さまはどうしてご自分で来ないの?わざ比べを避けるのはなぜなの?」
 女神は「もうおいでになっているのだよ!」と言って、変装をとくと女神の姿を現わした
 アラクネは、おもわず頬を朱の色に染め、やがて青ざめていきました
 それでもアラクネは心を変えず、勝利を夢見ながら破滅への道を急いだのです
 ふたりは競争にとりかかった

 ふたりは別々の場所に陣取って、機を据え、縦糸を張った
横糸が梭(ひ)によって、縦糸の間に通される
 筬(おさ)が打ちおろされて、横糸をしめて織物の目をおさえる
 テュロス染の緋色の糸、そして少しずつ微妙に異なった、いっそうおだやかな色あいが織られている
 異なったたくさんの色が輝きはするが、色から色への移目そのものは、見る人にもはっきりしない
 まるで長い大きな橋が大空を染めるあの虹のように、太陽の光が俄雨に反射してできるときのあの虹のように、互いに色のふれあうところは同じ色に見えても、そこから少し離れて見ると全く異なった色なのです

 アテナは、ポセイドンと競争したときの光景を織り出した
 12神がゼウスを中央に描き出され、ポセイドンは三叉の戟で岩を打って、岩の裂け目から海水がほとばしっている
 アテナ自身は盾と槍を持ち、頭に兜をいただき、胸は神盾(アイギス)で守られている
 槍で大地を打つと、そこから実をつけた薄あおいオリーブの若木が生え出て、諸神たちも感嘆している

 アテナは、アラクネに、神々とあえて競争するような不遜な人間がどんな報いを覚悟すべきか、先例によって警告しようとした
 だから、四隅に、神への敵対行為の4つの物語をつけ加え、それぞれの色で目立たせて、細かな図柄をそれらに配した

 第1の隅には、ハイモスとロドペを描く
 みずから、ゼウスとヘラと勝手に名乗ったため、ふたりは同名の山に変えられた(ただしこの話は後代の作りものである)

 第2の隅には、ゲラナの悲運が描かれる
 ゲラナはピグミ族に神として祭られていた女だったが、神々を軽んじたのでヘラによって鶴に変えられた

 第3の隅には、トロイアの王女(ラオメドンの娘)アンティゴネが描かれる
 アンティゴネは、ゼウスの后ヘラより美しいと自慢したため、彼女の髪は蛇に変えられたが、神々あるいはヘラが憐れんで、彼女を「こうのとり」に変えた

 最後の1隅には、娘たちを亡くしたキニュラスを描いている
 もとは娘たちのからだであった、神殿の階段を抱きしめながら、石のうえに臥して泣いている

 アラクネのほうは、まず、ゼウスにあざむかれたエウロペの図
 ゼウスはエウロペに恋し、海辺で侍女たちと戯れている彼女のところへ白い牡牛の姿となって近づいた
 エウロペは、さわってみるのが怖かったけれど、やがて戯れているうちに、勇気を出して牡牛の背に乗ってしまった
 すると牡牛は海のほうへ歩いていって、どんどん遠くへ進み、ついに海を泳ぎ渡ってクレタ島へ上陸した
 牡牛はゼウスの姿にもどって、エウロペと交わった

 ある図はダナエを描いた図
 ダナエはアルゴス王アクリシオスとエウリュディケの娘
 アクリシオスは娘の子に殺されるであろうとの神託があったので、王はダナエを青銅の塔に閉じ込めた
 ゼウスは黄金の雨に身を変えて、ダナエの上に降り注ぎ、ダナエの膝に流れ入り、彼女と交わった
 そこで生まれたのがペルセウスである

 アラクネは、この他にもいろいろと同じような題材で織物をうずめた

 アラクネの作品は見事な出来栄えだったけれども、それだけにアテナはしゃくにさわって、神々の非行を描いたこの織物を引きちぎると、手にしていたキュトロス産の黄楊(つげ)の梭(ひ)で、3度、4度とアラクネの額を打った
 かわいそうなアラクネは、こらえきれず、首をくくった

 アテナはさすがに不憫に思って、ぶらさがっている彼女を抱き上げてこう言った
 「腹ぐろい娘さん、生きてだけはおいで! でも、ぶらさがったままでいるのよ! そしてこの教訓の思い出をいつまでも持ちつづけるように、おまえもそしておまえの子孫のものたちも、永遠にぶらさがりつづけるがよい」
 こう言って、女神は魔法の草の汁を彼女にふりかけた
 するとたちまちアラクネの髪の毛が抜け落ち、耳も鼻も落ちた
 頭が縮んで、体全体も小さくなった
 指は脇腹にくっついて脚の代わりになった
 あとは、腹ばかりになって、今も口から糸を吐いて機織りにはげんでいるのです
 
 彼女は蜘蛛になったのです
 「アラクネ」はギリシャ語の普通名詞として「くも」を意味する

★スペンサーは、「ムーイオゥポトモス、あるいは蝶の運命」という詩の中で、アラクネの話について語っています。そして物語の結びのところでは師(オウィディウス)よりもすぐれた筋にしたてあげています
 アテナが直接手を下してアラクネを蜘蛛に変えるわけではなく、アラクネは自身の屈辱感とくやしさから自分の姿を蜘蛛に変えるわけです(「ギリシア・ローマ神話 上」、トマス・ブルフィンチ著、角川文庫 より)

くもを見つけても、あわれと思い、むやみに殺したりしないで、そっと逃がしてあげましょう