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◎「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(3)

2016-02-15 22:04:08 | 脳科学
「脳科学は人格を変えられるか?」(エレーヌ・フォックス)を読んで(3)

○危険が迫っていることを感知する脳の領域、「恐怖の回路」の中心にあるのは、扁桃体である

 扁桃体は身を守るための恐怖反応をひきおこす
 扁桃体のはたらきは、危険を探知し、人間がそれに反応するのを助けることである

○視覚的には見えていない危険を、無意識が「見る」ことが可能になる

「恐怖の回路」は、危機から身を守るために脳に備わったシステムで、自動的に危機に対処する
 しかし、「恐怖の回路」は楽観的思考の妨げにもなる


●扁桃体の有用性

○扁桃体を損傷した人は、
 恐怖を感じることがなくなり、他者の恐怖の表情を認識することができない
 相手が信用できる顔かどうかを判断できない
 警戒機能がなくなり、危険やリスクを認識したり回避することができない



「性格とは、先天的なものか、後天的なものか」という問いは、時代遅れで意味がない

◎「遺伝子は何世代もかけてゆっくり変化する」のではなく、遺伝子の作用はその人がどんな体験をしたかによって、生きているあいだじゅう変化する
 こうした変化は、DNA配列そのものに影響せずとも、次の世代に受け継がれる
 親の喫煙など環境的な要因は遺伝子に刻印を残し、次の世代にまで影響する
 親の代で起きた脳内プロセスの変化はそのまま次代に受け継がれる

遺伝子発現

・遺伝子は一連のDNAの先にプロモーターと呼ばれる部分がついた構造をしている

 遺伝情報の転写によって遺伝子は発現する
 遺伝子の転写が起きるためには、メッセンジャーRNAがプロモーター部分に接続しなければならない

 メッセンジャーRNAが遺伝子のプロモーターを読み取ることができれば、遺伝情報の転写が起こり、遺伝子が発現し、活動を開始する
 ところが、プロモーターがブロックされたら、メッセンジャーRNAは遺伝子情報を読むことができず、遺伝子は発現しない

 プロモーターの近くに潜むメチル系化学物質は、プロモーターをブロックする
 メチル系化学物質がプロモーターをブロックすれば、遺伝子は発現しない(DNAのメチル化

 遺伝子は発現したときに初めて、何かの作用をもたらすが、発現しなければ何の作用も果たさない

○遺伝子情報が解読されるかどうかに影響を与えるのは、その人をとりまく環境である
 どんな遺伝子をもって生まれたか、というよりも、それらの遺伝子の中でどれが発現し、どれが沈黙したままで終わるかということである


●母親の子どもへの接し方で、子どもの遺伝子の発現に大きな差が生じる

 母親の愛情は、子どものストレスへの耐性にかかわる遺伝子の発現に影響する

 海馬に「グルココルチコイド受容体」という物質があり、この受容体の量が多いとストレスに容易に対処できる
 母親からの愛情が薄かった子どもは、グルココルチコイド遺伝子のプロモーターにDNAのメチル化が高い数値で認められることが発見された

 母親が子どもに愛情深く接するほど、ストレスに強い子どもに育つ

 また、妊娠の後期3か月のあいだ、母親が抑うつや不安に悩まされていると、赤ん坊のDNAのメチル化が大きく進み、ストレスに弱い子どもに育つことになる

母親が楽観か悲観かは、子どもにまで影響を与えると言える