巨大古墳と大王

2010-04-30 | 授業記録
授業の導入で、段ボールを提示。
中に何かが入っている。
子どもたちも興味津々。

中身は「埴輪」のレプリカ。

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・女性の頭の埴輪
・武具をつけた男性の埴輪
・馬の埴輪
・まるまる体一体の埴輪
・家の埴輪
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などなどを順に提示。

子どもたちは大興奮。
それぞれの埴輪の特徴を指摘する。

その埴輪が出土した場所を教える。

「古墳(大山古墳)」である。

グーグルアースで、大阪府堺市付近を拡大提示。
超巨大な古墳がビル街のど真ん中にある。

そのサイズを、勤務校周辺の地図と照らし合わせる。
子どもたちはその巨大さに驚いていた。

またグーグルアースで、大山古墳の周辺にもたくさんの古墳があることを確認する。

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誰が作ったのだろう?
何のために作ったのだろう?
どうやって作ったのだろう?
そもそもこれは何だろう?

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子どもたちから沢山の疑問が出る。
それらをまとめて課題とする。

大山古墳の読み取りで生まれた児童の疑問を、教科書や資料で一つ一つ調べていく。
その過程で

・古墳は豪族の墓であること
・豪族が近畿・瀬戸内海地方に古墳を作ったこと
・古墳には先ほどの埴輪がおさめられていたこと

などを調べていった。

前方後円墳の分布の様子(日本地図)資料を読み取っていたとき、
岩手県にも古墳の印が一つだけあった。
「どこだろう?平泉じゃないか?」と地図帳と照らし合わせながら
一生懸命調べている子どもたちの姿がとても嬉しかった。

これらの豪族が沢山集中している地図資料と、
・前時で学習した倭の国の王が争いを続けたこと
・卑弥呼が邪馬台国の王になったこと

という知識を活用して、子どもたちは
「これらの豪族は協力し合ったのではないか」という思考に至る。

そこで、豪族の連合「大和朝廷」を説明する。

この大和朝廷の王が「大王(後の天皇)」という、今の時代につながるルーツを説明すると
子どもたちは一斉に

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へーーーーーー!!
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と嘆息した。

「朝廷」の意味についても説明する。

これには様々な説があるらしい。
・朝に会議を開いていたから「朝廷」
という(有名な)話を今までの子どもたちには教えていたが、
それはあくまでも一説なのだという。

「朝」という漢字の意味をいろいろ説明しながら、

「朝廷」についていろいろ話し合う。

最後は教科書本文を音読させて終了。

課題に対しての自分のまとめを文章化させるのは今回は断念。

課題に一貫性がなかったのが反省。

やはり埴輪の提示は授業の途中、児童の思考が盛り上がってきたときに
すべきだった。

最初は
「大きな古墳」
のインパクトで攻めると、児童の思考がすーっと45分一本になったと思う。

実物のパワーに頼ってしまったのだが、その分授業が濁った。
反省したが、良い勉強になった。

焦らず、授業は組み立てていかなければならないなぁ。

むらからくにへ

2010-04-27 | 授業記録
学校行事の関係で、45分授業のところを若干時間を削って行うことになった。

まずは吉野ヶ里遺跡で出土した人骨の写真を提示。
先日の土器堀りで、たくさんの人骨が出土した現場を見てきた。
その現場で見てきた写真(および実物の骨)と決定的に違うところを考えた。

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・首から上がないこと
・体中に矢じりが刺さっていること
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子どもたちは「なぜ?」と思考する。


吉野ヶ里遺跡の写真を詳しく読み取りながら、
またそこから出土したものを写真で提示しながら、

・首長が現れたこと
・水を巡って争いが起きたこと
・身分の差が現れたこと

などについて読み取っていく。

むらからくにへ勢力が広がっていく様子は、
自分たちの学区の地図を使用して説明した。
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自分たちの住んでいる
Y小学校の学区では、大きい川が流れていて、
○○くん(学級委員長)を首長として生活していました。

しかし、となりの学区の●●村には川が流れておらず、
なかなかお米もとれませんでした・・・

●●村の人はどうするでしょう。
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自分たちの学区で状況設定すると、子どもたちは燃えるようだった。
「せめて来られたら、戦う!」
役割分担などを考えながら、
シミュレーションも非常に盛り上がった。

どんどん地図を拡大させて、学区、町内、市内、県内・・・
と子どもたちの目線で話し合わせる。

そこで、身分の差が生まれる必然性
首長が現れる必然性
むらから国が生まれる必然性
について理解をさせた。

最後に、邪馬台国の卑弥呼のエピソードに触れ、
資料集にあったシールをノートに貼らせ、
箇条書きで卑弥呼についてまとめさせる。

急ぎ足で授業をしたので、最後の
「授業で学習したキーワードを使って文章でまとめを書く」
ということができなかった。
反省であった。

そのかわり、黒板のキーワード部分を徐々に消していき、
吉野ヶ里遺跡
佐賀県
むら
くに
首長

管玉
銅剣
首のない人骨
銅鐸
邪馬台国
卑弥呼

といったことばを何度も何度も確認だけはさせ、終了。

※後日、NHKの「見える歴史」をウェブで見せ、もう一度確認させた。
 やはり映像の力はすごい。

土器を掘る

2010-04-22 | 授業記録
総合的な学習の時間+社会科で、土器を掘りに行く。

学区内にある「貝鳥貝塚」へ。
ここは縄文時代~弥生時代の貴重な生活の跡がたくさん見つかった遺跡だ。

今はもう畑になっている場所で、土器を拾わせていただく。
とにかく出るわ出るわ。

子どもたちも教師も夢中になって土器を拾う。

土器探しは4回目で、しかも、もう大人(成人)の自分がこれだけ楽しいのだ。
土器探し初体験の子どもが楽しくない訳がない。

あちこちで歓声をあげながら土器を拾い、
一つ一つ、ゲストティチャーの先生に確認していく。

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「これは土器のかけら」
「これは石器」
「これは包丁」
「これは矢じり」
「これは黒曜石」
「これはとぎ石」
「これは石棒」
「これは石刀」
「これはただの石」

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子どもたちはゲストティーチャーの方の言葉に一喜一憂だ。

一人、20~30個くらいずつ、土器のかけらを拾った。

※今年は、「骨」を拾った児童はいなかった。
 ここは60数体の完全な人骨(縄文人・弥生人)が見つかった遺跡。
 毎年、何人かが骨を拾い、喜び勇んで家に持ち帰り、
 親御さんに「気持ち悪いから返してこい」と言われて、
 しぶしぶ学校に持ってくるのが通例だったが(苦笑)

そしてゲストティーチャーの方のご自宅で、今まで出土した
様々な土器を見せていただく。
この内容が圧巻。

いろいろな博物館に依頼されてお貸ししているだけあって、
子どもたちがものすごく食いついていた。

様々な種類の出土品を見れば、
当時の生活の様子が想像できてしまう。
「教科書と一緒だ」
と子どもたち。


学校に戻り、理科室で丁寧に土器を洗う。
この時間もまた楽しい。

子どもたちがそれぞれ、自分が拾った土器を大切に扱っている姿が
印象的だった。
ここからまた自分たちの探究心を広げていけるように
展開を練っていかねばと思う。


今回は権力者のシンボルである石棒や石刀が出てきた。
(見つけた子どもは誇らしげだった)

明日の社会科授業は「むらからくにへ」

この石棒や石刀をしっかり活用させてもらおうと思う。

写真は、ゲストティーチャーの方が
「こんなに完全な状態で見つかるのは、かなり珍しい。
 博物館展示レベルだ。」
とお話しされた「矢じり」と「石○」
拾った子どもは、大事そうにティッシュペーパーにくるみ、
家に持ち帰っていた。
(明日もう一度持ってきてよ!と話をした)



米づくりが伝わる

2010-04-21 | 授業記録
子どもたちに、遺跡から出土した石包丁を提示。
この道具は何に使うものか予想させる。

いろいろ意見が出されたあと、その石包丁を使って、
教室の花の枯れている部分にその石を当ててスッと引く。

すると茎の部分からスパッと切れた。

ほかにも、弥生土器の見本を提示し、
これらの道具がどのように活用されていたのか話し合う。

その後課題を設定。

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大昔の人々はどのような生活をしていたのだろう
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出土した土器や石包丁などから予想された当時の生活様子図を活用。
いつもであれば一つ一つ自主的に調べさせるが、
このようなイラストはオリエンテーションでも活用し、読み取りをやっていた。

そこで、今回はイラストを実物投影機で拡大提示し、クイズ形式で読み取らせた。

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・(水を調節する)水門はどこでしょう
・水田に沈まないための工夫をしている人はだれでしょう
・代掻きしている人は誰でしょう
・水路はどこでしょう。(自然?人工?)
・直播きをしている人はだれでしょう
・収穫した米はどこに保管するのでしょう
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5年生の稲作の学習と比較しながら、
また教科書に掲載されてある石包丁や田下駄、高床倉庫と関連付けながら、
子どもたちと読み取っていく。

板付遺跡(福岡)と登呂遺跡(静岡)の位置を地図帳で確認し、
教室後方の巨大日本地図で、どのような流れで米作りが伝わってきたのかを調べる。
2300年前に福岡、1800年前に登呂。
500年という歳月をかけて伝わった米作り。

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ルーツは???
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という思考が子どもたちにいったところで、
「文化の伝播」について調べさせる。

米作り以外にも、様々な文化が入ってきていることを伝え、調べ学習。

教科書本文、教科書資料、資料集から
青銅器や鉄器も中国や朝鮮などの「大陸」から伝わってきたことを確認する。

文化の伝播についておさえたあと、
もう一つの提示資料「土器」について確認。

授業の冒頭に提示した土器の名称は「弥生土器」であることを教科書で調べさせ、
本当に薄くて固いのかを触って確かめさせた。
縄文土器と比べさせると一目瞭然だった。

またこの土器を活用することで、料理のバリエーションも増えることを、
先日の博物館見学で学習していた。
教科書に掲示されている弥生時代の食事と、縄文時代の食事を
二人一組で教科書をくっつけあって調べさせる。


弥生時代の人々の暮らしについて調べ終えた後、
授業の最後に、課題のまとめを行う。

この40分で学習した重要語句(記述的知識)を活用して、
学習のまとめを文章で書かせた。

みな一生懸命書いていた。

初めてにしては、みな重要語句をしっかりまとめていて良いなぁと思った。

明日は、学区内にある遺跡(高校歴史の教科書に載っている)に行き、
土器を掘りにいく。
(総合的な学習の時間とリンクさせて行う)

そこでまた古代のロマンにたっぷりと浸ってほしいと思う。
※とりあえず、明日晴れて欲しい!!

オリエンテーション2時間目

2010-04-16 | 授業記録
社会科授業オリエンテーション2時間目。
前時にたっぷりと縄文時代の予想図を読み取った。
本時は、弥生時代の読み取りとその比較。

授業の導入で、子どもたちに紙袋を提示。
その紙袋をふると、なにやら音がする。
その音を何度も聞かせ、中身を当てさせた。

かさかさっと音がする。
「砂」「土器のかけら」「いし」「土」など様々な意見が出る。
誰かが「お米」という。
半分正解。

中身は、「古代米」

つぎに、縄文式土器と弥生式土器のかけらや復元したものを提示し、
どちらが新しくどちらが古いものかを予想させる。


この古代米や土器の違いと、今から読み取る絵には
沢山の関連があることを伝え、読み取り開始。

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・分かったこと、気づいたこと、思ったこと
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をたっぷりと読み取らせ、発表させる。

その後、二人一組になり、
縄文時代と弥生時代の想像図を並べながら、
2枚の資料を使って
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・変化しているところ
・変化した理由
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について、話し合わせて、発表させる。
みな一生懸命考え、自分の考えを述べていた。

話し合いの中で、
「先生、でも、変化せずに、今の時代まで変わっていないものもあるよ」
とつぶやく子どもがいた。

そこで、教室後方に貼付けた最新の巨大年表を活用。
長い歴史の中で、脈々と受け継がれていくもの
劇的に変化したもの
などを簡単に紹介しながら、
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・なぜ歴史を学ぶのか?
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ということについて、説明する。

先人たちの知恵や努力、それにより生まれた文化を大切にし、
そして自分たちの生活や後世に生かしていくことが必要であることを話す。

古代のオリエンテーションを終え、年表により、長い歴史の流れについて
興味を持ったところで、次の時間の予告。

「明日は、市の博物館に見学にいきます」


大昔の暮らしを探ろう

2010-04-11 | 授業記録
社会科授業の1時間目。

ストックしていた土器のかけらや矢じり、(出土した)動物の骨をたくさん袋に入れ、
中身を見せずに子どもたちに触らせる。
わいわい言いながら、子どもたちは中身を予想する。

多くの子どもが「土器!」と答える。
ただ、子どもたちはそのかけらを「皿」の部分だと誤解している。

そこで、実物大の復元模型を数点提示し、
そのかけらがどの部分に当てはまっているかを考えさせる。

注口型の土器や、水桶のような土器、逆三角形の土器など、
用途に応じて、様々な土器があることに驚いていた。

そして、その土器が使われた時代について興味を持ったところで、
教科書の最初にある見開きの縄文時代想像図を調べさせる。

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この資料を見て、
・分かったこと
・気づいたこと
・思ったことを
箇条書きで書きましょう。
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・ほかの人が見つけられないようなマニアックなところを探しなさい。
・「?」を考えられる人は賢い人です。
と話すと、子どもたちはさらに集中して資料を読み込んだ。

この絵の中に、土器は実にたくさんの場所で描かれている。
人々の生活と実に深く関わっていることを子どもたちはとらえていた。

それぞれ発表し合いながら、縄文時代の生活を予想し、45分が終了した。

次時は、弥生時代の読み取りをさせ、そのご縄文時代と弥生時代の違いを考えさせる。
予告をした段階で、子どもたちは、弥生時代の予想図を食い入るように見ていた。


残念だったのは、指導書についていたcd-romが使えなかったこと。
windows xp までの対応だった。

あれをスクリーンに映して、スマートボード(電子黒板)で、操作させると
非常に盛り上がる。
一昨年度までは使っていたのだが・・・。

来年度からのものは、多分vista対応になっていることだろう。
Macintosh対応には全然なっていなかったのには、苦笑いだった。