社会科授業における問題解決的な学習過程に、
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「読み取り」「再構成」「表現・説明」「話し合い」
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という言語活動を位置づけて児童の思考を促す。
以上の内容をこれまでの連載で述べてきました。それでは、四つ
の「言語活動」は、具体的にどのような形で行われるのでしょうか。
本稿からは、それぞれの授業モデルについて説明していきます。
一回目は「読み取り:資料から多くの情報を取り出していく活動」
です。ちなみに、「読み取り」といっても、その対象は写真、グラ
フ、本文、実物資料、インタビュー等、多岐にわたります。しかし、
それぞれの資料から「社会的な事象」という「本質」を取り出して
いく点は、実は全ての読み取りに共通しているのです。
では、その「本質」を取り出すためにはどうのようにすればよい
でしょうか。最も重要なポイントは、読み取りの「視点」を与え、
「情報の蓄積」をはかるという事です。
例えば、読み取りにおける「10の観点」を示します。資料を目
の前にした子どもたちに、
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時間/場所/季節/自然/大小/音/勝敗/色/交通/分布
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などの視点を与えて考えの糸口を作り、思考を促すのです。これら
観点は、他の資料でも活用できる汎用性のあるもにします。
また、グラフ資料であれば、以下の6観点を示します。
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グラフの種類/縦軸/横軸/表題/単位/大きく変化している所
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視点を与える事で、子どもたちはどこに目を付けて資料を読み取っ
ていけばよいか、意識が明確になります。
それらと併せて、まとめ方(整理の仕方)も指導していきます。
とある出版社の教科書では、写真資料のガイド部分に
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分かったこと、気づいたこと、疑問に思ったことをまとめましょう
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という吹き出しがあります。視点を示した上で、以上の3つの分類
で読み取らせます。そして取り出した情報をノートに箇条書きでま
とめ、蓄積させていくのです。この一連の流れが、読み取りにおい
ては有効な方法であると考えます。
授業の実際でイメージしてみましょう。
5年の自動車工業の授業において、海に隣接する広大な自動車工
場の写真を提示します。一見するとあまりにも情報がありすぎて、
何を読み取ればいいかわかりません。そこで先に示した10の観点
を提示し、読み取りの糸口を与えます。輸送に使う高速道路や、巨
大な自動車運搬船の存在理由、効率的な工場配置などについて詳し
く読み取り、工場の立地条件について考えを一般化していきます。
先に述べたとおり、読み取りは平面資料にとどまりません。たと
えば実物資料である「土器」も活用できます。大量の「土器のかけ
ら」を、子ども達一人一人に配り、細かくスケッチをさせます。形、
薄さ、模様、色、におい(!)など、子どもたちはいろいろな視点
で「読み取り」ます。そうして、古代の生活に思いを馳せながら、
断片的な情報を蓄積し、整理していくわけです。(かけら同士がピ
タリと合体するものなどを用意すると子どもたちは感激します!)
このように、「読み取り」は、実物でも、インタビューでも、見
学でも全ての学習場面に置いて当てはまる言語活動です。そしてそ
の広範な「読み取り」の場面において、
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「視点の提示」「情報の取り出し」「情報の蓄積」
==============================
という意識を授業者がしっかり持つことが重要となってきます。
まずは、「資料を確実に読み取らせる」ことを、意識していきま
しょう。
そうして蓄積された情報を活用し、さらに社会的事象の本質に迫
っていくのです。これを情報の「再構成」と言います。(再構成に
ついては、次回に述べます。)
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「読み取り」「再構成」「表現・説明」「話し合い」
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という言語活動を位置づけて児童の思考を促す。
以上の内容をこれまでの連載で述べてきました。それでは、四つ
の「言語活動」は、具体的にどのような形で行われるのでしょうか。
本稿からは、それぞれの授業モデルについて説明していきます。
一回目は「読み取り:資料から多くの情報を取り出していく活動」
です。ちなみに、「読み取り」といっても、その対象は写真、グラ
フ、本文、実物資料、インタビュー等、多岐にわたります。しかし、
それぞれの資料から「社会的な事象」という「本質」を取り出して
いく点は、実は全ての読み取りに共通しているのです。
では、その「本質」を取り出すためにはどうのようにすればよい
でしょうか。最も重要なポイントは、読み取りの「視点」を与え、
「情報の蓄積」をはかるという事です。
例えば、読み取りにおける「10の観点」を示します。資料を目
の前にした子どもたちに、
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時間/場所/季節/自然/大小/音/勝敗/色/交通/分布
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などの視点を与えて考えの糸口を作り、思考を促すのです。これら
観点は、他の資料でも活用できる汎用性のあるもにします。
また、グラフ資料であれば、以下の6観点を示します。
==============================
グラフの種類/縦軸/横軸/表題/単位/大きく変化している所
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視点を与える事で、子どもたちはどこに目を付けて資料を読み取っ
ていけばよいか、意識が明確になります。
それらと併せて、まとめ方(整理の仕方)も指導していきます。
とある出版社の教科書では、写真資料のガイド部分に
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分かったこと、気づいたこと、疑問に思ったことをまとめましょう
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という吹き出しがあります。視点を示した上で、以上の3つの分類
で読み取らせます。そして取り出した情報をノートに箇条書きでま
とめ、蓄積させていくのです。この一連の流れが、読み取りにおい
ては有効な方法であると考えます。
授業の実際でイメージしてみましょう。
5年の自動車工業の授業において、海に隣接する広大な自動車工
場の写真を提示します。一見するとあまりにも情報がありすぎて、
何を読み取ればいいかわかりません。そこで先に示した10の観点
を提示し、読み取りの糸口を与えます。輸送に使う高速道路や、巨
大な自動車運搬船の存在理由、効率的な工場配置などについて詳し
く読み取り、工場の立地条件について考えを一般化していきます。
先に述べたとおり、読み取りは平面資料にとどまりません。たと
えば実物資料である「土器」も活用できます。大量の「土器のかけ
ら」を、子ども達一人一人に配り、細かくスケッチをさせます。形、
薄さ、模様、色、におい(!)など、子どもたちはいろいろな視点
で「読み取り」ます。そうして、古代の生活に思いを馳せながら、
断片的な情報を蓄積し、整理していくわけです。(かけら同士がピ
タリと合体するものなどを用意すると子どもたちは感激します!)
このように、「読み取り」は、実物でも、インタビューでも、見
学でも全ての学習場面に置いて当てはまる言語活動です。そしてそ
の広範な「読み取り」の場面において、
==============================
「視点の提示」「情報の取り出し」「情報の蓄積」
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という意識を授業者がしっかり持つことが重要となってきます。
まずは、「資料を確実に読み取らせる」ことを、意識していきま
しょう。
そうして蓄積された情報を活用し、さらに社会的事象の本質に迫
っていくのです。これを情報の「再構成」と言います。(再構成に
ついては、次回に述べます。)

夏からずいぶん間が空いてしまいましたが・・・(苦笑)
社会科関係の記事の続編です。
社会科における4つの言語活動を
問題解決的な学習過程に位置付ける際、
「どのように教材研究をおこなうか?」
ということも重要になってくると思います。
その際に参考にしたのが、北俊夫先生の「知識の構造図」です。
この構造図をヒントにして、
言語活動の位置づけをこのように作ってみました。
【6年社会 戦国時代の単元構想】

(↑クリックすると拡大します)
【6年社会 織田信長の授業構想】

(↑クリックすると拡大します)
教師は、上からこのピラミッドを造っていきます。
すなわち「最終的におしえたいことは何か?」という、概念的な高位の知識をまずは設定するのです。
そして、その知識を身につけさせるにはどのような知識が必要か?
という観点から、知識のレベルを下げていき、ピラミッドを造っています。
逆に児童の思考は下からです。
授業中に児童は、基礎的、基本的な知識技能を習得活用しながら、
知識をどんどんどんどん上に積み重ねていきます。
積み上げる際に必要になってくるのが、
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「言語活動」
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なのです。
教師は上から(トップダウン)
児童は下から(ボトムアップ)
おすすめの教材研究です。