鉄マニズム
ホイドーズ鉄マンの日々
 



語り部 鉄マン

悲劇、将軍の行方
第一話
[事の始まり]

むかし、むかしのことじゃった。

その国ではここ二、三年 鬼は出ておらず、皆が平穏に暮らす日々が続いていた。


その日は朝から蒸し暑く、ある下人がからからに乾いた喉を癒すべく、外の井戸へ眠い目をこすりながらフラフラとあるいていた。


すると、町の入り口で膝をつき、ガックリと首を垂れ、肩をふるわせながら、咽び泣く男がいた。

下人は何事かと、近くへいった。


おい、おまえさん、いったいどうしたってぇんだ?

男は振り向いた。

その瞬間、下人は腰を抜かした。


振り向いた男が、将軍家の次男、次郎丸だったからではない。


その次郎丸の前にあったのは、ついこの間、家督を継いだばかりの長男、一郎丸の横たわる姿があったからだ。

口からは一筋の血を流し、その顔は土の色と茄子の紫が同居していた。

死んでいたのだ。


じ、じ、じろ~まるさま~!!

こりゃいったい!!

事のはじまりであった。


つづく

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