悲劇、将軍の行方
第三話 [死因]
十畳ほどの小さな部屋で調べははじまった、
兄、一郎丸は全裸で横にされ、医師がいろいろと見ては触り、見ては触りと繰りかえしていた。
次郎丸も部屋の一番遠い方で見守った。
医師がみたところ、斬り傷、刺し傷といった類のものはなかったが、
胸部が異常につぶれている!
しかも何度も強打されたものではなく、首の下からへそのあたりまでの広い部分が、何かの大きなもので打たれたのだろう、
そのため、肺、胃、心臓、人を動かす全ての臓器が一瞬にして壊されたわけだ、
腹を開けずとも中で無数の折れた骨がそれらを突きやぶっていることも容易にわかった。
助けを呼ぶ声もでず、息もできず、、
苦しかったであろう、、
首を落とされるのであれば、痛みなど、、、
次郎丸はそう思うと、今まで感じたことがないぐらいの怒りに駆られた。
強くにぎられたこぶしは指が手のひらを刺し、畳の上に血がおちた。
医師は次郎丸の顔をみて息を飲み込んだ。
目玉は真っ赤に血走り、とても齢23の青年とは思えぬほど苦悶のシワで覆われていた。
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