「amazonから何か届いたようですよ。またムダ金を使ったんですか」
「何でそう決めつけるかな君は。中身を見て恐れおののくがよい、じゃん」
「これは・・・写真の本?」
「ちっちっち。ただの写真の本ではございません。フォトマスター検定試験の勉強本ですよ。フォトマスターに、俺はなる!」
「恐れおののく要素ひとつも無いですが、何ですフォトマスターって」
「なりたいな、ならなくちゃ、絶対なって~やる~」
「聞け」
「フォトマスターとは写真とカメラの実用知識を兼ね備えた者に贈られる称号である」
「随分物々しいというか抽象的というか。大丈夫ですか?怪しい検定じゃないですか?」
「怪しくない。公式に認められてる検定だ。3級から1級、そしてプロフェッショナルのみなる事の許されるエキスパート。各人のレベルに見合う検定を受けられる訳だ。試験日は11月らしい」
「ふーん。まぁ『フォトマスター』なんて大げさな名前を自称で名乗ってたら恥ずかしいですものね。公式で認められればおおっぴらに話すこともできると。で、何級を受けるつもりですか?」
「もちろん1級」
「いきなりですか?段階を経た方がいいのでは?」
「男たるもの!」
「はい」
「頂上を目指さずしてどこを目指す!?」
「はい。で本音は?」
「一つ一つ受けてたら検定料がもったいない」
「成程。・・・ん?頂上はエキスパートでは?」
「それは1級の資格者じゃないと受けられない」
「しかし本を一読した限りでは、撮影技術と言うよりカメラの構造とか基礎知識を問われているようですね」ペラリペラリ
「持ち主より早く読まないでくれるかな」
「失礼、はい」
「お前の『失礼』には心がこもってない。とりあえず読んでみるけど」
「・・・」
「・・・」
「・・・どうです?」
「あ、わかんねぇ」
「ですか」
「普通に撮影してたら使わないぞこんな知識」
「いきなり、愚痴」
「いやいや、一般論一般論。でもいい写真を撮るのに必要な知識なんだ、多分。やるよ、俺やってやるぜ!」
「おお・・・やる気に満ちてる、珍しい」
「フォトマスター1級をとってやる!そして・・・」
「そして?」
「名刺で横にチラッと『フォトマスター』と入れておくの!カッコよくね!?『ああ、趣味でやってるんですけど、検定受かってるんすよぉ』みたいな事言いたい!!」
「形から入るの・・・本当好きですよねぇ」
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