「高速バスで仙台に行ってきたんだ」
「ほう、何をしに?」
「無計画。ノープラン。ぶらりひとり旅。悪い?」
「悪い事は無いです。しかしどうせ遠出するなら、計画を練って行った方が効率良く楽しめるかと」
「批判してるのと一緒だそれ。ま、気になったことはあったけど」
「何がありましたか?」
「行きのバス内の事」
「朝の話ですよね。気付いたら家にいませんでしたもの」
「うん。で、問題はバスに乗った直後にあった。どこに座るか。これ重要だった」
「ああ、朝に下り線に乗る時は、正面から見て左側の席に乗っちゃいけないんですよね。朝日が当たってまぶしいんですよ。特に今日みたいな夏日は暑くて大変です。カーテンを閉めようにもちょうどカーテンの届かない席に座ってしまい、我慢せざるを得ないなんて運の無い方もいますねあっはっは」
「そんで着いて早速お昼を食べたんだけど」
「運の無い方だった」
「そばを食べました」
「そば。好きですね貴方」
「適当に目についた店に入ったんだけど、外れだった」
「何がいけなかったんです?」
「まずね、中に入った時点で、店内にダシの匂いがしないんだ」
「あー、あーー。・・・はい」
「小奇麗にしていると言えば聞こえはいい。けど美味しい店には美味しい匂い有り!これ俺のモットー」
「うーん、とりあえず最後まで聞いてみましょう」
「ざるそばを頼んだんだ。まず汁を一口飲んでみたんだけど、カツオの匂いが弱かったね。あの汁はいちいち店で作ってるんじゃなくて業務用のを使ってるな。そばものど越しは悪くないけど、手打ちじゃないよあれ。そばの香りがほとんど無い。お客さんが多いから手打ちはできないのは仕方ないにしても、店構えが高級感あったからもっと本格的なものが出てくると思ったんだよなー。しかも」
「ちょっとお話に割って入って申し訳ないのですが、その店にお客さんは入っていたんですね?」
「ああ、年配の人中心に結構繁盛してた」
「何をオーダーしていたか見てました?」
「よくは見てないけど、天ぷらとかせいろとか丼ものとか。俺はそばの味だけわかれば十分だったからざるそばにしただけで」
「メニューの種類は多かったんですか?」
「多かった。創作料理が目立った」
「皆さん満足そうでしたか?」
「まあ、楽しそうではあったよ、多分」
「店員さんの態度は?」
「注文取りに来るのがちょっと遅いかなーとは思ったけど、特に問題なかった」
「そうですか。・・・ちょっとよろしいですか?」
「何?」
「世の中にはニーズというものがあります。そば屋に来る誰もが手打ちでダシの風味がしっかり効いていて頑固一徹な職人による自慢の味を求めている訳ではありません。ファミリーレストランの様に賑やかに楽しむための食事もあれば、立ち食いそばの様にぱっぱと時間をかけずに食べる事が良しとされる所もあります。貴方から見て他のお客さんが満足そうに見えたらそれでそのお店は十分役割を果たしているじゃないですか。例え味が店構え程で無いとしても、高級感そのものがお客さんがお店の雰囲気を楽しむためのサービスとも言えます」
「・・・でも味にこだわったっていいじゃん」
「そもそも美味しい料理を食べたいのは勝手ですが、その前に自分で美味しく料理を食べる努力をした方がよろしいかと。そのお店も創作料理が多いというならそれが売りだったのかもしれません。少なくともざるそばだけ食べて全てを語ってはいけません。目に入ったから店に入ったと言いましたね。自分が満足する様な美味しそうなお店を事前に調べておけばよかったじゃないですか。その手間を怠った貴方に非があります。かのはちみつ大好きな女子中学生ヒーローも言っています。『趣味はおいしく料理を食べる事』と!美味しい料理を食べるには自分から努力を惜しんではならないのです!努力をせずに美味しいものを食べたいなどと言うのは『こだわり』などではなくただの『わがまま』です!」ビシィ!!
「ぐはあ!」バターン
「大丈夫ですか!」
「大丈夫・・・・それより。目が覚めた。俺はわがままだった」
「わかってもらえて何よりです。出過ぎた事を言いました」
「いいって事よ・・・。ついでに教えてくれないか。旨いそばを食うために、俺はこれから何をすればいい?」
「え・・・とりあえずそばの実の栽培から始めますか」
「俺はTOKIOじゃねぇ」
「ほう、何をしに?」
「無計画。ノープラン。ぶらりひとり旅。悪い?」
「悪い事は無いです。しかしどうせ遠出するなら、計画を練って行った方が効率良く楽しめるかと」
「批判してるのと一緒だそれ。ま、気になったことはあったけど」
「何がありましたか?」
「行きのバス内の事」
「朝の話ですよね。気付いたら家にいませんでしたもの」
「うん。で、問題はバスに乗った直後にあった。どこに座るか。これ重要だった」
「ああ、朝に下り線に乗る時は、正面から見て左側の席に乗っちゃいけないんですよね。朝日が当たってまぶしいんですよ。特に今日みたいな夏日は暑くて大変です。カーテンを閉めようにもちょうどカーテンの届かない席に座ってしまい、我慢せざるを得ないなんて運の無い方もいますねあっはっは」
「そんで着いて早速お昼を食べたんだけど」
「運の無い方だった」
「そばを食べました」
「そば。好きですね貴方」
「適当に目についた店に入ったんだけど、外れだった」
「何がいけなかったんです?」
「まずね、中に入った時点で、店内にダシの匂いがしないんだ」
「あー、あーー。・・・はい」
「小奇麗にしていると言えば聞こえはいい。けど美味しい店には美味しい匂い有り!これ俺のモットー」
「うーん、とりあえず最後まで聞いてみましょう」
「ざるそばを頼んだんだ。まず汁を一口飲んでみたんだけど、カツオの匂いが弱かったね。あの汁はいちいち店で作ってるんじゃなくて業務用のを使ってるな。そばものど越しは悪くないけど、手打ちじゃないよあれ。そばの香りがほとんど無い。お客さんが多いから手打ちはできないのは仕方ないにしても、店構えが高級感あったからもっと本格的なものが出てくると思ったんだよなー。しかも」
「ちょっとお話に割って入って申し訳ないのですが、その店にお客さんは入っていたんですね?」
「ああ、年配の人中心に結構繁盛してた」
「何をオーダーしていたか見てました?」
「よくは見てないけど、天ぷらとかせいろとか丼ものとか。俺はそばの味だけわかれば十分だったからざるそばにしただけで」
「メニューの種類は多かったんですか?」
「多かった。創作料理が目立った」
「皆さん満足そうでしたか?」
「まあ、楽しそうではあったよ、多分」
「店員さんの態度は?」
「注文取りに来るのがちょっと遅いかなーとは思ったけど、特に問題なかった」
「そうですか。・・・ちょっとよろしいですか?」
「何?」
「世の中にはニーズというものがあります。そば屋に来る誰もが手打ちでダシの風味がしっかり効いていて頑固一徹な職人による自慢の味を求めている訳ではありません。ファミリーレストランの様に賑やかに楽しむための食事もあれば、立ち食いそばの様にぱっぱと時間をかけずに食べる事が良しとされる所もあります。貴方から見て他のお客さんが満足そうに見えたらそれでそのお店は十分役割を果たしているじゃないですか。例え味が店構え程で無いとしても、高級感そのものがお客さんがお店の雰囲気を楽しむためのサービスとも言えます」
「・・・でも味にこだわったっていいじゃん」
「そもそも美味しい料理を食べたいのは勝手ですが、その前に自分で美味しく料理を食べる努力をした方がよろしいかと。そのお店も創作料理が多いというならそれが売りだったのかもしれません。少なくともざるそばだけ食べて全てを語ってはいけません。目に入ったから店に入ったと言いましたね。自分が満足する様な美味しそうなお店を事前に調べておけばよかったじゃないですか。その手間を怠った貴方に非があります。かのはちみつ大好きな女子中学生ヒーローも言っています。『趣味はおいしく料理を食べる事』と!美味しい料理を食べるには自分から努力を惜しんではならないのです!努力をせずに美味しいものを食べたいなどと言うのは『こだわり』などではなくただの『わがまま』です!」ビシィ!!
「ぐはあ!」バターン
「大丈夫ですか!」
「大丈夫・・・・それより。目が覚めた。俺はわがままだった」
「わかってもらえて何よりです。出過ぎた事を言いました」
「いいって事よ・・・。ついでに教えてくれないか。旨いそばを食うために、俺はこれから何をすればいい?」
「え・・・とりあえずそばの実の栽培から始めますか」
「俺はTOKIOじゃねぇ」
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