不定形な文字が空を這う路地裏

Core(罪名)








脳裏で乱舞する膠着の感触、寝床に吐瀉物、引き裂かれた気管の中の
だらりと垂れた感触の隠匿された血液、制御不能の指先がずっと振動を続ける
何かを掴むためにそれがあることを忘却してしまいそうになる
鼻腔から出入りする空気に僅かな悪意があるのを感じた、内側からこの身を引き裂こうと企んで浸透するのだろう
信号のように痙攣する頬、認識の欠落した畏怖なのかそれとも
語り、通じ、拒み、喰らい、出し、築き、壊して、繰り返した愚行の代償なのか、荒れて蠢く感情を覆い隠し、ささやかな均一に自分を支配させようとした
視界が分裂するように時々ひび割れるんだ、亀裂に指を這わせている蜥蜴の心境の深夜
冬にそぐわぬ長雨の性格には嘲笑が見え隠れしていた、音は時に人を悪しきものに変える
傷口に鋏を突っ込んで汚れた辺りを掻き回す、確かな悲鳴を上げるつもりだったのに笑っていたんだ、それが茶番に過ぎないことにはとうに気付いていたから
漆黒の部屋でまだ腐らない皮膚の匂いを嗅ぎ、どこかに存命している心のことを思った
ビイドロ色の躁鬱が壁や床や天井のあちこちで跳弾を始めて密度に欠ける肉壁に様々な模様を刻んで転がって打楽器みたいに鳴る、鳴る
軌道が漁火のようにぼんやりと仄かに正気を誘導して、いつしか狂気の向こうで煙のように掻き消える
是も非も慣れてしまえば同じ表情のまま凝結しているのだということが判る
どれだけが今この時の痛みなのか、どれだけがいまこの時の傷なのか、此処に居るからいっこうに要領を得ないのだ、いつの時代も上げ連ねて数えるのは亡者の役割だ、承知の度合いは死んでみなければ判るべくも無いが
どう言うのか、盆の窪の辺りで何かが不調和をしきりに主張している、それは言葉に代えるな、それは、それだけは
それだけは示唆に副って定義してはならない、この先もこの時の中で生を遊びたいなら
己が身体を掻き抱いて温度を確かめた、どういうわけか鼓動を上手く数えることが出来なくて確信が持てないから
部屋はおあつらえ向きに冷えて、どんなに策を施しても、きっとある種の氷結は溶解したりしない、何度もそんなこと飲み込んできたんだ
古い活版所のような言葉の廃棄されたとある一角を漁って、どんな思いにも罪名をつけよう、どんな裁きも本当は存在しないのだから
思念は常に掲げられるべきもの、だけど拙ければ百日草のように終焉を迎える、だから捨てられたものの中に何があるのかを見極めなければ
閉ざされた羅列の中にもそれはきっと息づいているはず、その長けた真新しさをもしも見ることが出来たら
陥没や裂傷や混濁はきっと
強固な暗闇に滑らかな牙を突き立てるだろう

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