不定形な文字が空を這う路地裏

出来るだけ積み上げるんだ、終幕の景色はとても高いところにある。


無機質なノイズの跳弾、ペールギュントのリズムにも似て、レストハウスの廃墟の中で、シンパシーの渦に巻かれる、行きつ戻りつする時間、現実なんか参考にならない、リアルな時の捉え方は、定石通りじゃほとんど素通り、目だけで見るな、耳だけで聞くな、口だけで語るな、人間であることの意味は、自己リミッターの中で生きることでは無い、手本が必要な人生なら、お前がそれを生きる理由もない、俺がゴミを拾うやつらに文句をつけてるって?妄想も大概にしなよ、やつらは自分の評価を高くつけ過ぎているのさ、俺の眼中に入りたいなら、もっと凄いものを見せてくれなくちゃ…戯言はそこそこに、話したってしょうがない事柄なんか幾らでもあるさ、だからって別に、やることが増えるわけでも減るわけでもない、俺のやるべきことは始めから終わりまで同じなんだから、寄り道はしないよ、もちろんこれは、俺のアンテナが動かない方向に行くことはしないという意味さ、真直ぐ歩くのが格好良いなんてのは阿呆なヤツだけが信じる経文さ、沢山の分岐を好きに歩いて、あらゆるものを吸収するべきさ、それが俺の新しいリズムを作る…なんだって?それが俺の使命なのかってそう訊いたのか?下らないことを訊くなよ、俺にはどんな使命もありはしない、俺は俺がやるべきだと思うことをやるだけさ、使命なんかどうでもいい、しいて言うなら、宿命ってもんには多少似てるところがあるかもしれないね―何度も同じ夢を見る、あるいは何度も同じ人間が夢に出て来る、同じ場所で違うことをしている、始めは予知夢なのかと思った、でもそれは間違いだった、確かに夢で見た場所ととても似てる景色がその後、現実の中で現れることもあったけれど、それは決して同じ場所ではなかったのだ、分かるよね?俺は本当にどこか、そういう場所が別の世界に存在するんじゃないかと考えている、いまのところ、眠らなければ辿り着けない世界というわけさ、ただの夢だなんて俺には思えないんだ、そこで嗅いだ空気の匂いすらありありと思い出すことが出来る、二つ以上の人生が同時に進行しているのさ、そしてその感触がこの世界の俺の中に集約されている理由は多分、俺があれこれと書いているせいなんじゃないかと思うんだ、まあ、最近は、もう少し手の込んだこともしているけれどね…もしかしたら、俺が作り出して来た世界がどこかで形を成しているんじゃないかと考えたこともあった、でもそれはどう考えても違うんだ、それならもっと俺自身がその世界を把握出来るはずだからね、だから多分、それは完全に俺が作り出したものではない、俺が書いたものが少し手を貸した部分はあるかもしれない、でもそれだけさ、これについて突き詰めたところで何か役に立つものが見えるかと言ったら、答えは多分ノーなんだ、使命なんて馬鹿げてる、勝手に何かを請け負うやつらは、勝手に梯子を下ろすものさ、それも、始めた時とは比べ物にならないくらい、静かにね…そして結局は、一番シンプルなものだけが残る、最後は一番シンプルなものだけが残るんだ、勘違いしないで欲しい、これはスタイルの話じゃない、自分にとって一番心地良い流れはどこかってことが理解出来るっていう話だよ、そして俺はつい最近、そんな流れのことが分かり始めているんだ、とても長い時間を費やしたよ、でもそれだけの価値は充分にあった、どうせ過去なんか取り戻せやしない、やるだけやって無様に死ぬのみさ、介護施設で惚け散らかして緩やかに死んでいくなんて御免だ、最期の最期まで詩情とこんがらがって、脳味噌を沸騰させながら死んでいくのさ、それが理想じゃないか?みんなそうじゃないのか…?まあ、だけど、思惑通りにゃいかないものだもんな、そんな歳になる前にポックリ逝っちまうかもしれない、そんなことが過去に二度ばかりあった、正直な話それまでは少し、人生というものが面倒臭くなり始めていた、自分で終わらせようなんてことは考えもしなかったけれど、もう何かでハイお終いとなるのなら、それでもいいかななんて考えていた時期が確かにあったよ、でも死にかけてからはなにがなんでも生き抜いてやるという気持ちになった、あそこで死んでいたら新しい遊びにも出会えなかった、俺は最近こんな風に思うんだ、目的がある人間は死ぬことは無いって、次はこれをやろう、その次はあれをやろうなんて考え続けていると、運命が勝手にそっちについてくるんだ、常に俺はそれを考えているから、そう簡単にくたばりはしないよ、この前、ある動画を見たんだ、年配のコメディアンが舞台が始まった途端に心臓麻痺を起こして死んじゃうって内容なんだけど、彼が倒れても客は皆ゲラゲラ笑って口笛を吹いて、拍手喝采なんだ、死ぬ間際まで、いや死んでからだってしばらくの間、彼はコメディアンで居続けたわけさ、それって凄く幸せな終わり方じゃないか?まあ、彼にしてみればそれどころじゃなかったかもしれないけどさ、何の後悔も残らなかったんじゃないかと思うんだよね、マディ・ウォーターズだったっけ、死ぬ三日前までステージで歌ってた、願わくばそんな終わりがいいなと思うんだよね、まあ、まだ少しは先の話なのかもしれないけどさ…。


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