不定形な文字が空を這う路地裏

War is Ever


懐かしいロックンロールの残響がまだ耳の中で鳴り続けている、俺はなにも過去にすることがない、すべてが同じ密度で進行し続ける現在の中で生きている、分かるだろう、俺はただ書き続けるだけさ、自分が始めたことを最後までやり続けるだけだ、それをどう思おうとあんたの勝手さ、俺は注釈が必要な人生なんか生きてはいない、俺が言うべきことはすべて俺が書き続けてきたことの中に在るし、在り続ける、ある人間にとってはそういう生き方は変わらずに貫いているように見えるし、またある人間にとっては変わり続けているみたいにも見える、それはどちらでも正解と言えるし、どちらでも不正解と言える、どちらにせよそれはひとつの要素に過ぎないということさ、多少傲慢に思える言い方になってしまうかもしれないけれど、それをひとことで言い表す言葉はまだこの世界には存在していないというだけのことなんだ、俺はそういう種類の人生を生きている、よく居るだろう、聞いても居ないのに、自分はこうなんですよなんて話を延々し続けるようなやつ、あんな人間になるくらいならいますぐ人生を放棄するね、みっともないことこの上ないじゃないか、行く道があるなら示してみろ、そういうことさ、もう過去だ現在だなんてどうでもいいと思えるくらいには長く生きて、そしてなにかを掴みかけているんだよ、こんな表現を理解出来る人間だけが俺の肩を叩いてくれればいいけど、実際そういうわけにはいかないね、そもそもそんな願望を持つくらいなら、こんな田舎町に住むべきじゃない、重々分かっては居るんだけどね、なかなか上手い具合にはいかないもんだ、でもこんな掃きだめをあてがわれたこと自体にもきっとなにか意味があるんだろうさ、どこかのコミックじゃないけれど、俺は人間を見るためにこの世界に落とされたような気がしてるんだ、まあ、それにしても、ここ数年はずっと巻き戻しと早送りで同じ場面ばかり見させられてるみたいな気分になるよ、老若男女が揃ってテンプレ通りの言葉を吐き続けるだけさ、まるでゴールデン・タイムのドラマみたいな既視感で溢れているよ、あまりにも陳腐で、滑稽で陰惨だ、目を閉じて首を横に振るぐらいしか俺に出来ることは無い、知らん顔をしてやり過ごすにも限界があるしね、ほら、顔の周りをいつまでも小虫が飛んでいたらいつかは叩き潰そうとしてしまうだろ、あんな感じさ、ペイントソフトでコントラストを最大値まで拡大したような夏が続いている、そのせいなのかどうか分からないけれど、このところ微かな耳鳴りが消えることがないんだ、大地震が来るかもしれないなんて一部の人間が張り切っているから、もしかしたらそれもなにか関係があるのかもしれないね、なに、気にすることはない、気にすることはなにもないよ、大地震が来ようが来るまいが、人間いつかはなにかしらで死んでしまうんだから、死ぬことを怖がる前に精一杯生きるだけさ、たとえうんざりするほどの退屈が足元で転がっていようともね、意味を求めずに行動すればいい、そうすれば人生は少しだけ生きやすくなる、そして、真実だの真理だのというものに少しは近づきやすくなる、どうしてか分かるかい、頭で考えることは余計な足枷を増やすことに他ならないのさ、考えれば考えるほど道を誤り、がんじがらめになって動けなくなる、ほら、詩についてやたら熱っぽく語るやつほど、時折思い出したように短い詩を書くだけだったりする、ああいうことさ、さっきも言っただろう、行く道があるなら示してみろよ、それが出来ないのなら熱意なんて捨ててしまえばいい、まあ、誰が何を書こうが俺の人生には関係ないけどね、どこかでベクトルが捻じ曲がってるんじゃないのなんて考えちゃうんだよな、変な例えにもなるけどさ、もしもウェイトトレーニングについて熱く語っている瘦せ細った男が居たらあんたどう思う?っていう話なのさ、誰もそんなやつの話なんか聞こうとも思わないはずさ、本当に大事なことはスピリットじゃない、そいつをどんな方向に導いて動かしたかっていうことが最重要事項、そうじゃなきゃおかしいだろ、語ることなんて誰にだって出来るんだ、でもそれを証明し続けることは決して簡単なことじゃないかもしれない、どんな手段だっていい、ひとつでも多くそいつを証明してみせるのみさ、俺は時々辺りを見回して自分の近くを走っているのがどんなやつか観察する、時には罠にかけるような真似だってしてみる、そいつにどれだけの覚悟があるのか見たくなるのさ、拳を突き合わせるだけの価値があるかどうか見極めるんだ、もしも俺がくたばる時には君は後ろの方で笑っているかもしれない、だけどこれだけは覚えておいてくれ、その時俺が手にしているもののことは君のところからは決して見えることがないんだ、俺は勝どきを上げたりはしない、だってそれは自分の為だけの闘いなのだから、新しい血でも舐めながらもう1行付け足すことにするさ。


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