不定形な文字が空を這う路地裏

ミッドナイト・オイル










空っ風に乗ってすり抜けた
明日の希望の残り香はムーン・シトラス
失意なんて堂々と言えるほどには
懸命さに欠ける断末魔の今日
査定官の様な三日月の目つきが鋭い
僅かな黒雲も恐れて近づかない
よく研いだ剣の様なあんな目つきが
この内奥で静かな呼吸を繰り返していたのはいったい何時ほど前なのか
しばらく思いを巡らせてみたがこれといった明確な回答は無かった
データベースも段々と
手を抜き始めたらしい
それとも隠れ蓑の様な
アルコールを控えればもう少し何とかなるってか
せめて冷えて居たくて
肌寒い夜にシャツ一枚だけで呆けている
ああ
四足で駆け回っていた記憶が微かに感じられるが
いったい生命は何時からこんなに
ややこしいものに形を変えちまったんだろうな
ハード・ロックがガリガリ言うのを聴きたくなるのは
自分でその音を出す事が出来なくなったからだ
断末魔に音楽家
時満まで弾薬を撃ち尽くす
地面に転がった薬莢の数を数えて
「消費」と記されたノートにチェックしておけ
今や管理とは暇つぶしみたいなものだが
時々突然聞く呪いみたいに頭の中で弾ける事がある
出来ると思う事はなるべくやっておいて損は無い
簡単な事さ、字を書ける程度に酔っ払えばいいわけだ
節度を知らないから問題になる、止め時を知ってれば
コカインだってアロマテラピーとそう大差無い
気分がほんのりと麻痺するころ黒雲が三日月を説き伏せた
どうやらこれから淑やかな雨が降るらしい
冬の夜中に降る雨の足音は
独り言を止めない憐れな隣人よりも遥かにランクが高い
ミッドナイト・オイルがゆっくりと視界を霞ませる
今夜は窓の側で
耳を済ませて眠ろう
いつもは聞こえない音を聞きながら






代わりばえのしない夢に涎を垂らそう

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