不定形な文字が空を這う路地裏

とある店で隣の席に居たふたりの会話

 

 

 

「どうしてた?」

「最近は、そうね…虫にたかられてる、ってカンジ。」

「それは比喩?それともリアル?」

「んー…どっちもかな。」

「どういうことよ。」

「なんかどうでもいい連中が俺のSNSとかブログとかこまめにチェックして遠巻きであーだこーだ言ってんだよ。ウザくてしょうがない。」

「…なんか前にもそんなことなかったっけ、君。」

「前の職場でもあったね、何回も。まぁねぇ…詩のスタイルがスタイルだから、そういう誤解を生むのは仕方ないってのはある程度理解してるんだけど。」

「大変だねぇ。」

「Xの雑談垢は鍵かけたよ。とにかくあいつら俺が自分の話してると思い込んでるんだ。なんの関係もないポストまで上げ連ねてウジウジ、ウダウダ。まったく鬱陶しい。」

「かける言葉もない。」

「だいたいブログなんて2007年からやってんだからさ、ちょっと記事遡ればわかるだろっつうのよ。お前らに会う前から同じこと書いてんだよっていう。そういう基本的なチェックすらしないで変な妄想してんだよ、あのアホども。」

「なんでそんなことになるんだろうね、いつも?」

「それがわかれば苦労しないよ。」

「確かに。」

「どうでもいい人たちなんだよね。常にどうでもいい人たちなの、そういうことしてくる人。」

「あー。」

「なんか凄い詩書くとかさ、凄い歌うたうとかさ、素晴らしい筋肉を持ってるとかさ、そういう人にしか興味ないからさ、俺。人生の消化試合に入ってるような連中に視界に入ってきて欲しくないんだよね。家に帰ったら忘れてるようなヤツにネットストーカーされるってほんとウザいんだから。」

「うんうん。」

「そんで改めて考えてみたんだよね、これいったいなんなんだろうって。」

「うん。」

「そしたら、どうもコレなんじゃないかっていうのが一個見えてきたの。」

「…面白くなってきたね。」

「俺の詩ってモノローグ多いじゃない。」

「ほぼそうだね。」

「そうすると一人称は、俺、になるじゃない?」

「うん。」

「だからあいつら、俺が自分の話してるとそう思っちゃってるんじゃないかって。」

「(爆笑)嘘だ、嘘だよ。」

「もうそうとしか考えられない。リアルとフィクションの区別がつけられないんだよ。」

「マジでそんなレベルなの!?」

「マジでマジで。」

「嘘だろ…言葉失うよ。」

「俺は君みたいにハイソな環境で生きてないからさ。そんなレベルと付き合わざるを得ないんだよ…まあそれは自分が悪いんだけど。社会不適合者だからさ、俺。」

「しかし…いやしかし。」

「そう思った瞬間なんか腑に落ちた。なんでこいつらこんなに妄想に没頭出来るんだろうって。ああそうかって。創作物だっていうことが理解出来てないんだって。」

「俺は、って書いてるから(含笑)」

「俺は、って書いてるからね。」

「いやはや…。」

「そんでアホみたいに読みに来るくせに書いてる内容はまったく理解してない。自分が望む結果に繋がるようなフレーズばっかり拾って自己完結してるわけ。」

「他人の創作物を完結させてるんだ(笑)」

「俺の詩なんて詩書いてるやつにだってわからないんだから。」

「(笑)」

「もう本当にね、ただただ迷惑なんだよね。自意識過剰のアホ。俺ホントなんの興味もないのに、あいつらに。いい加減気持ち悪いよ…楳図かずおがしばらくホラー漫画描かなくなったきっかけの話ってあるじゃない?」

「あーなんか、知らない女が家に訪ねてきて…。」

「なんでわたしのこと漫画に描くんですかって言ったっていう…もうあのレベルのアレだよね。言葉悪いけど、キ〇ガイ。」

「おい(笑)」

「統失。」

「やめなさい(笑)」

「いやほんとに。」

「ほんとにじゃない。もう出ましょう。」

「あ、ハイ。」

「ごちそーさまー。」

「ありがとうございましたー。」

カランカラン。


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