肉塊に染み込み
心臓まで浸透するお前の毒、牙は確かに神経を捕らえていたんだ
様々な器官が痙攣を繰り返し
俺は手を伸ばすこともままなりはしない、何度か名前を読んだ
伝わるほどに喉が震えていたかどうかは神のみぞ知る
お前は手を休めない、まるで春先のつむじ風のように
少し離れたかと思ったらまたまとわりついて輪郭をなぞる戯びを繰り返す
俺は目玉をぐるぐる回しながら
声ならぬ声を家鳴りのように漏らすのみさ
お前は百万の思惑を持つゼリー、奇跡的な形状の柔らかな固形
たちまちに花を咲かせる魔法のよう
お前の動機の源からは甘美な蜜の香りがする、神様がそれに目を回すせいで
ハリケーンがずっと上空に居座ってしまっている
プログラミングされたビートがクールな性急感で次第にピッチを上げていくみたいに
俺の動機をお前はいいように弄ぶんだ、そうさ、もう少し乱暴に扱ったって文句なんか言わないよ
お前の素直な願望が大好き、お前の艶かしいパフォーマンス
日付が変わっても目を離せそうにない
傾斜しながら流れているリズム、色褪せながら意味を模索するイズム
饒舌な呼吸音が天井までゆっくりと舞い上がる
嘘臭い激しさなんか誰も求めたりしない
滑空し始めるエモーション、パイルドライバーみたいな
野性的な骨盤の螺旋の軌跡
よだれを垂らすくらい純粋であろうとする、それは確かな力がその奥底に隠れているからさ
この世で手に入れられない楽園になんか何の興味もない
新しい神経が浮上して、古ぼけた魂に火を入れて
お前の神経毒はいつしか根源的な炎になる、俺はお前と噛み合うリズムを模索し始める、腹を見せた蜥蜴のように四肢を駆使して
静かな歌声が
エンドルフィンに科学反応を促している、俺はコンダクターだから
お前がもっと歌いやすいようにいろいろな調整と試みをやってのけるのさ
柔らかな香りを嗅いで
本能が揺り戻す血の音を聞こう
ループする、回転する、形状が
どんどんおあつらえむきのセッティングを整えて―神話にも匹敵するオーソドックスで
調和しながらもうひとつ深い段階へ足を踏み入れようじゃないか、それが本物であるなら
どんな種類の欲望であれ俺たちは神を降ろす依代になれる、ああ、お前のだらしない口元、まるで新しい大気を吐こうとしているようじゃないか
炎をお前に返すよ、二人して尽きることなく揺れる明かりになろう
お前の存在の理由を知ってる、俺の存在の理由を知ってる、俺たちの存在は
あちらの世界でステップを踏むためのプロセスをこんなにエモーショナルにやってのけるんだ
神秘を孕んだ泉で
生きものが跳ねる音がする、その飛沫を手で受けて
古からのしきたりを放つよ、俺たちは光、俺たちは闇、俺たちは太陽、俺たちは月
空にあり、地にあり、風の中にあり
そして窮屈な器の中で悲鳴を上げている、行き着く先は随分と見つけ辛くなったけれど
脈動に従えばきっと間違えないで辿り着けるさ―神が俺たちをどこまでも導いてくれる、本能は嘘をついたりしない
LOVEなんて呼ばれるものがこの世に本当にあるとするなら、そいつはきっと
そんな世界の中でしか手に入れることは出来ないのさ、さあ、窓を開けろよ
十六夜の月にこの場所を知らせてやろう
最近の「詩」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事