不定形な文字が空を這う路地裏

インターミッション












削除して
削除して
削除して
それで
記憶まで失くした気になった、僕と君とのインターミッション
風が吹きぬける右隣を連れて見つめた街灯は、水晶体を傷つけるくらい眩しい
コンビニエンスストアの明りにほっとしてしまうのは
彷徨っているのが自分ひとりではないと納得してしまえるせい
孤独な気分なんてそう簡単に受け入れられたりするもんじゃない
状況は急変するだろうか?すべて消してしまったと思っていた物理的な君がレターボックスの隅っことかからひょっこり現れて、そこに記された君の住処が現実よりも遠く思えるそれとぴったり一致するかどうか何時間も眺めて
アドレスにアクセスを試みたりするんだろうか?
そもそもこれは本当にインターミッションなのか、僕達の緞帳は一時的に下りてしまっているだけのことで
開幕ベルとともに物語は次へと進むのだろうか?
僕は「ターザン」を立ち読みする、肩凝りに効果のあるエクササイズを頭に叩き込んでポテトチップスとクリームツイストを買い、凄く遠回りをして部屋に戻る
時刻はもう真夜中近い、「約束されないけれど次に何かがあるのかもしれない空間」の中にいま僕は居て
そして、そうした空間はとても苦手とするところ
買ったものを袋から出す事もせずにまんが喫茶へ向かう、インターネット席を取って、匿名の掲示板で乱暴な言葉遣いをした「引っ込んでろ、厨房」と言われたのでさらに暴れてやった、誰もが誰もどうでもいいことを躍起になって言い争っていて、それが「真夜中過ぎ」の出来事である事すらどうも実感が無くなる
一段落つかせてコーヒーを取りに行って戻ってくると誰かが僕の上着のポケットを漁っている「やべえ間違えた」とそいつは薄ら笑いを浮かべてそそくさと離れていった、僕はそいつの後をつけて、そいつが何番の席に居るのか確認した、席につくときに目が合ったからにやりと笑ってやった、もちろんなにかしようなんて考えてもいなかった
掲示板に戻ると誰かが新しい火種を持ち込んでいた、僕はもう参加はしないでじっとリロードしていた、とんでもない言葉が時々現れたけどタイミングや論調についてはおおむね非個性と言うより他無かった
まあ僕だってさっきまでその中に居たんだけど
コーヒーを飲み干したら眠りそうになる、脳内に蒸気が充満する、ほんの少しチャンネルを変えればいいんだよ、湯気に隠れて誰かがそう囁いた、ん、と僕は生返事をした
六時間潰して、明るくなる少し前に外に出た、途端
背中に熱湯をぶっ掛けられたような痛み、振り返るとついさっきも見た背中が朝もやの中に走り去っていくのが見えた、あぁ?と僕は叫んだ、途端に熱が身体中を走った、不思議なほどに気持ちは落ち着いていた、携帯を取り出して救急車を呼んだ
「背中を刺されました場所は…」話ながらこれってちょっとかっこよくね?とか考えた、幸い傷はそんなに深くなかった、病室に来た警察にありのままを話した、席を確認していたのでそこから犯人が割り出せるだろう
病室でひとりになった、僕は







君がそこから入ってこないかと
ずっと
考えていた

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