心臓に言葉が穴を開けてくれないかと、ずっと待っていたんだ、雪の予報ばかりが先走る寒冷前線の深夜に
辱められてるようで嬉しかった、この、取るに足らない肉体が隙間風に震えるたび―処罰を望んで居たんだ、良い事も悪いことも全て俺は判っていた
判っていながら、そうだ、汚れた靴で聖地に踏み入るように何もかもをないがしろにしていた、俺を撃て、最下層の神よ、独断と偏見で俺に裁きを下すが良い、俺は何もかも知っていてそのように振舞わなかった
それは恐れか怠惰か、それは恐れか怠惰か?―そんなことは質問しなくていい!そんな感情を定義したところで何になる…背を向けずに対峙し事も無く果てることだけがこの世の理だとでも言うのか?もはやこの世は神話では無い、天上と地獄だけで
全ての人が賄えるとでも思っているのかい万物の未知なる王よ!お前の怒りを晒せ、この俺の肉体に戒めのひとつでも刻み付けてみればいいだろう―それともたった一つの意識など見る影も無い塵のようなものだと、そう言いたいのか?だとしたら、よう、お前がこの世にばら撒いてきたものはいったいなんだと?なんだと言うのだ…忌み嫌うことばかりを美徳だと言うなよ、聖典の戯言などには何の興味も無い、これがひとつの理由の塊であるその証拠を俺に見せてくれ
何故、冷え輝く樹氷のように俺たちは象徴的であることが出来ないのだ?まんじりともしないで迎えた泥のような朝に答えのひとつも見当たらないのは意識としての欠陥では無く、もしもあんたの差し金だったとしたら―そこには真理の器を満たして余りあるほどの但し書きが鉄砲水のようにほとばしり俺の脳髄を彼の地まで押し流すのだろうか?
ああ、見せてくれ!ぜひ見せて欲しい―思い悩むのは真剣さの証では無いと俺は本当は気付いているんだ!そうだよ、もしかしたら産まれて間もない乳飲み子の頃にさ―全て知っていた、全て知って居たんだ、それなのに、何故、どうして、俺はそれを見ることが出来ない…まだ曇っていない、俺の瞳はまだ曇ってなどいないよ、少年の愛にも似た執着を俺は真理に向かって放っているんだ、俺にもしも足りないものがあるとしたら…あんたのような万能の英知だろうさ!
お終いを怖がるのは悪いことかい、俺には達磨のように座り続ける余裕は無いよ…そんなことをしている間に何もかも捥げてしまうような気がするんだ、稲光のように思考を走らせようとするのは天まで届く羽根を持とうとするほどに愚かなことなのかい?もしもそうならば雷を放つがいい!たったひとつの真理だ…俺を全てのものに向けて突き動かすのは、だけど、その先は幾重にも別れていた…たったふたつの眼で、たったひとつの意識でどれほどのものを見極めろというのだ、万物の王よ!
さあどうする、あんたはどこにも地図を残していない、一番簡単なことはいつでも一番ドラマティックだ―すなわち、選ぶことを投げ出して短剣を喉笛に突き刺せばいい…少なくとも本当に親しいものたちはみっともなく泣いてくれるから、だけど、俺の骸には本当に世話をかけてもらうほどの価値など在りはすまい、少なくとも遺言に変わるものがたった一握りの拙い羅列しかないとあっては
所詮は瞬きだ、ひとつの岩が磨耗され砂に変わるまで待つことは俺たちには出来はしないのだ、俺の混迷が、俺の模索が、闇雲に速度を上げ続けた結果だと言うなら―真理は、真理は、真理は、岩石の際を削る鋭角な風のようなものだとでも言うのか?
飽きた、などと口が裂けても言える筈が無い、行為にまつわるもののことは足掻いた数だけよく判っているつもりだよ…雷、雷よ!これは慈悲なのか?それとも、真意を覘き見れば眉をひそめてしまうような悪趣味な様子見の途中か?無言に過ぎない、無言に過ぎないよ、なにもかも全て
所詮は人の手に成る偶像のように沈黙をし続けるだけか?俺が知っているものの全ては古代に死に絶えた幻想に過ぎなくて、渇いた建造物の隙間で、数式のように喘ぐ牙を無くした獣がいるだけなのか?俺の野性は、俺の遠吠えは何処に行った、この世が全てまやかしだと言うのなら―俺は
俺はどんな模索をこの後に綴ればいい?
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