不定形な文字が空を這う路地裏

太陽は確かに




何かあった
何が見えた
暗白色のまどろみの中、インポテンツの悲鳴が乱れる
デジタル・ビートに小脳を刻まれた子供たち、周波数を制限された鼓動が
どこかすがりどころのない
細木の様に立ちすくみ揺れている
本当に寒くなり始めた11月の終わり、太刀打出来る魂なんてもののひとつも
肉体の中にはストックされていない
毛細血管を全部まっすぐにして
静かにあぶり続ける頭痛のことなんかもう忘れたいのに
通じるかどうか判らないけどとりあえず聞いてくれ―俺の右側は常に何かが遮断されているんだ
このところ心地いい夢を見たことがない、それでいて時にそれは
今居る場所を忘れさせるほどに非常なほどリアリスティックなんだ
痛む身体を引きずる様にして今日は外へ出たんだ
そこにはまだ太陽が輝いているのかどうか確かめたくて
まともに歩くことも出来ない様な
雑草が生えふさぼる小さな歩道の上に
俺の心をばらばらに引き裂いた出来事が落ちていた
子供の乗ったファンシーな自転車に
買い物帰りの気の強そうな母親に
車道にはみ出しながら横列を続けていた女子高生たちに、次々に踏みつけられ轢死し続けていた
卵を持ったカマキリから囁かれる無常
排気ガスにまみれた雑草の物陰で
ささやかな使命すら果たせずに死んだ哀れな母性
そんなものに傷ついて見せたところで
誰が涙を流すわけでもないだろうけどさ
ねえ君、どんな生物でも
悔しい時にはずっと痙攣を繰り返しているものなんだぜ
それは、まるで、まるで
見捨てられた鼓動みたいで
俺はたまらなく悲しかったんだ、だけど
太陽はあった
太陽は、確かに
この世界の上にあったんだ

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