こんにちは、永井です。
前回の「障害のある方の心のケア」では、
【見せかけの行動と心の中】のお話をしました。
彼らの行う行動と、本音である心の中は、
少し違うことがあるんだよという説明をしました。
では、「でも、どれほど心の中でいろいろ思っていても、急に爆発したようなパニックはなぜ起こるの?」
という疑問を持たれる方もあるのではないでしょうか?
今日は、そのパニックや、問題行動と呼ばれるものについてご説明します。
我々の心の中には、『ストレスのコップ』というものがあるとします。
我々は、日常生活をしていると、いろいろなストレスがたまりますよね。
それが下の図のようなものだと考えてください。
例えば、急な仕事に追われ、今までやっていた仕事を置いといてしなくてはいけない。
でも、それが終われば、いつもの大事な仕事もしなくてはいけない。
家に帰れるのはいつなのか…同僚は楽しそうに帰っていく…
何で私だけこんなに大変なの・・
なんて状況になると、どうしてもストレスは、どんどん入ってきますよね。
でも、私たちの「ストレスのコップ」には、蛇口がついてるんです。
へとへとに疲れて帰ってきて、旦那に愚痴をこぼす。友達に電話する。
おいしいものを食べたり、感動する映画を見る。
そんなことをしながら、今日たまったストレスを、蛇口から流しだすことができます。
そうしたら、「ストレスのコップ」は、大分隙間が空いて、またたくさんのストレスを溜めることができます。
でも、もし、家に帰っても子供がワーワー騒いでて、
旦那は家に帰ってこない、自分一人で家でもあたふたと大忙しで、
一息つく間もなかったらどうでしょう?
「ストレスのコップ」の蛇口を、開けることもできずにどんどんストレスはコップにたまっていき、
最後の一滴、
そうですね、例えば、やっと子供を寝かしつけてほっとしたところに、
お酒のにおいをぷんぷんさせて、楽しそうに旦那が帰ってきたらどうでしょう?
「ストレスのコップ」から、ストレスがドバ~と溢れ出してしまいますよね。
「あなた、今何時だと思っているの!?あなたは仕事だけかもしれないけど、
私だって仕事しているのよ!大体あなた結婚するときはあんなに協力するって言ったじゃない!
こないだだって・・・・!」と、今まで心に溜めていたものが、
どんどん流れ出しますね。
こうなったら、もうだれにも止められない。
途中で、やめなきゃと思ってももう無理な状態です…
障がいの持つ方の心も、全く同じです。
「ストレスのコップ」にストレスをたくさんため、
何かの拍子にそのコップからストレスがあふれてしまう。
それがパニックや、問題行動と呼ばれるものです。
ストレスのコップが最後の一滴であふれてしまったら、
感情の爆発が起きます。
自分をたたいてしまったり、大声で叫んだり物を投げたりと、
心も体も思い通りにならなくなります。
そうなったら、どんどん感情が流れ出し、自分では、もう、止めることができなくなってしまいます。
でも、周囲を困らせていることは分かります。
でも、どうしても止まらない。
しばらくストレスを出したらおさまってきますが、
周りに迷惑をかけたり、悲しませたり、怖がらせたことは分かる。
そして自己嫌悪に陥り、ますますストレスのコップにストレスがたまる。
そしてまたパニックを起こしてしまう。
障がいのある方のパニックや問題行動は、こんな風になっているんです。
ここで、障害のある方と我々のコップの違いは、
まず、彼らのストレスのコップは、とても小さい方が多いです。
同じストレスの量が入っても、我々はまだまだ溜め込めるスペースがあっても、
彼らは、コップ自体が小さいため、
少しの量でも溢れてしまうことがあります。
また、ストレスを出す蛇口が、とても細くてなかなかストレスを出すことができない方も多いです。
我々は、好きなことを好きな時間に、好きな人と行うことができます。
ですが、障害のある方は、自分で選択して行動することに制限が多く、
また、言語コミュニケーションが苦手な方が多いため、
誰かに愚痴をこぼして、慰めてもらうことが苦手です。
そのため、どうしても、ストレスをため込みやすくなってしまいます。
ストレスのコップの説明は、次回もさせていただきます。
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