原田マハの本をよく読む。とは言っても、まだすべて読んだわけではないけれど、最近「たゆたえども沈まず」を読み終えた。ゴッホとその生涯を支えた弟テオの関係は有名だが、それにたぶん(私の想像だが)架空の二人の日本人をからめての物語だ。
東京でゴッホ展があった時に、幸いにも東京に行くついでがあり、見ることができたし、アイルランドへ行く途中オランダに寄って、ゴッホ美術館にも行くことが出来た。それまでは好きというほどでもないが、何となく心に深く残る絵だとは思っていた。しかし、印刷などではなく本物を見て、涙がでるほど感動した。
感動した作品は多いが、中でもゴッホ美術館で見た2枚の裸像作品(トルソのような胴体だけの作品だったが)の美しさは今でも目に残っている。こんな女性の裸像は見たことないと思った。画集などでも見た記憶がない。
ゴッホの作品に限らずやはり本物を見ないとわからないと言われるゆえんだと思う。しかし、東京でのゴッホ展会場で「こんな絵どこがいいんだ。みんながいいと言うからいいと思って見てるだけだ」と、声高に言う男性がいた。人それぞれなんだなと思ったけれど。
「たゆたえども沈まず」を読み進めながら、ゴッホとテオの美しくも苦悩にあふれた心情が胸に迫って苦しくなるほどだった。フィクションとはいえ、ここまで書く原田マハってすごいと思った。