HPS Japan -チャイルドフレンドリーな医療と環境の実現のため、奮闘している人たちのブログ-

本ブログは、HPS(ホスピタル・プレイ・スペシャリスト)に係る情報を発信しています。

遊びの研究

2010年12月17日 | 日記

遊びは多くの研究者を魅了してきました。

 

教育学や心理学はもちろんのこと、哲学も文化人類学も、

そして経済学においても遊びは研究されています。

 

 

『人間は遊戯する存在である』と確信したホイジンガーは、

「遊戯を認めることによって、われわれは欲すると否とにかかわらず、

 精神というものを認めることになる。

 (中略)遊戯は肉体的存在の限界を突き破っている。」と述べており、

 

この文を読んだ私は、子どもの命を救うという目的を持つ小児医療の中に、

子どもの精神を認める遊びをどのように位置づけるかという課題は、

極めて高度で社会的な問題であると改めて考えたことを思い出します。

 

 

 

 

 

『楽しむということ』を著したチクセントミハイは、

遊びについて研究したことのある人々は、遊戯的行動をとることが、

 人間その他の霊長類の種や固体に多くの利益をもたらしていることについて、

 ほぼ一致した意見を持っている」とした上で、「身体的機能や摂食、社会的習性などを

損うことなく、遊びを拘束することはほとんど不可能である」と述べています。

 

 

実際に、「遊ばないでください」と簡単な指示を与えられた数人の被験者が、

その指示期間中に抑うつ、いらいら、不安感を感じたことが記されています。

 

 

 

HPSは遊びには治癒的な力があると考えており、

遊びを医療の中に取り入れる専門職です。

 

 

遊びを通して子どもは大人や社会とつながり、信頼関係を形成します。

 

 

遊びの体験が自分の人生にどのような影響を与えているかを振り返るため、

HPS養成講座が始まる前に受講生には「遊びの体験」を作文してもらいました。

 

 

 

そこには遊びの持つ力がたくさん書かれていました。

 

 

 

障害を持つきょうだいと遊びを通して「つながり」を感じたことを思い出した受講生、

遊びを通して想像する力と創造する力を高めて行ったことを振り返る受講生など、

みんな改めて遊びはすべての子どもの必要不可欠なんだと感じ、

学びをスタートさせました。

 

 

 

まっちゃん


感謝の日

2010年12月17日 | 日記

現在、HPS事務局には若い2人のスタッフと

研究支援をして下さる先生が1人勤務しております。

 

 

今日は、若手2人と一緒に、一足早いクリスマスパーティを行いました

 

 

HPS養成に関われることは本当にありがたいことなのですが、

年々、仕事量は増える一方で、この2人の若いスタッフがいなければ、

絶対にうまく仕事は回っていないだろうなと思うのです。

 

 

 

日頃、なかなか感謝の気持ちを表すことができないため、

今日はぜひ連れて行きたいと思っていた、フレンチに行きました

 

 

もっさんは、初めてのフレンチで最初は少々緊張気味でしたが、

とってもおいしいお料理なのでパクパク気持ちよく食べていました

 

のぶちんも、たくさんのデザートにご満悦の様子、一緒に行けて良かったです

 

 

いつも、このHPSにかかわる事業をしっかり支えてくれる

もっさんとのぶちん、心よりありがとう!

 

 

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

まっちゃん


補講の日

2010年12月17日 | 日記

今日はソーシャルワーク演習の補講をしました。

エンパワーメントの実際を学ぶための演習を毎年この時期に行っています。

 

なぜこの時期なのか?それはやはり年末だから。

 

12月というと晴れやかなイベントごとも多く、人のつながりや家族の大切さを感じる時期でもあるのですが、一方、孤独になったり自暴自棄になったりする可能性のある人々も増えるのではないでしょうか。

 

対人援助をおこなう者としては、常にそのような人のことに思いをはせる視線がなくてはならないと考えています。

 

エンパワーメント活動を体験した後、学生たちには2008年に秋葉原で起きた無差

別殺人事件」の犯人が事件直前まで投稿し続けた携帯サイトへの書き込みを読んで、絶望、孤立、孤独、疎外、という感情がもたらす苦しみについて話し合いました。

 

このような負の感情は病気の子どもも経験する可能性が高いものです。高校生の

時の入院経験についてある大学生が、「パジャマを着たまま売店に行くと、そこ

に小さな子どもがいて、『お母さん、なんであのお姉ちゃん、昼間からパジャマ

着ているの?何で学校に行ってないの?』とお母さんに聞いたのです。するとお母さんは人差し指を口にあて『シッー!』って言ったんです。それまでこらえていたものが一気にあふれ出て、病室に帰ってわんわん泣きました。社会から取り残されているって、本当に不安で不安で。自分に対する怒りもわき上がってきて、どうすることもできませんでした。」と語ってくれました。病気による不安感と合わさって、入院していることによる疎外感がよくあらわれている語りだと思います。

 

HPSにとって「ソーシャルインクルージョン」の視点もとても大事です。病気であろうが障害を持っていようが、病院の中にいようが、決して「社会から取り残されている」という気持ちを子どもたちに持たせないように、遊びを使って環境をノーマライズするだけでなく、病院の中と外にある壁をどんどん低くしていくことがHPS活動の目的なのです。

 

HPS社会人講座の後期には、子どもたちのソーシャルインクルーシブな活動を専門にとしている、素敵な表現活動の専門家を講師として招いています。

 

また新たな視点と方法が生まれることを期待しています。

 

遊びの持つ力についてこれからも一緒に考えていきたいですね 

 

まっちゃん