遊びは多くの研究者を魅了してきました。
教育学や心理学はもちろんのこと、哲学も文化人類学も、
そして経済学においても遊びは研究されています。
『人間は遊戯する存在である』と確信したホイジンガーは、
「遊戯を認めることによって、われわれは欲すると否とにかかわらず、
精神というものを認めることになる。
(中略)遊戯は肉体的存在の限界を突き破っている。」と述べており、
この文を読んだ私は、子どもの命を救うという目的を持つ小児医療の中に、
子どもの精神を認める遊びをどのように位置づけるかという課題は、
極めて高度で社会的な問題であると改めて考えたことを思い出します。
『楽しむということ』を著したチクセントミハイは、
「遊びについて研究したことのある人々は、遊戯的行動をとることが、
人間その他の霊長類の種や固体に多くの利益をもたらしていることについて、
ほぼ一致した意見を持っている」とした上で、「身体的機能や摂食、社会的習性などを
損うことなく、遊びを拘束することはほとんど不可能である」と述べています。
実際に、「遊ばないでください」と簡単な指示を与えられた数人の被験者が、
その指示期間中に抑うつ、いらいら、不安感を感じたことが記されています。
HPSは遊びには治癒的な力があると考えており、
遊びを医療の中に取り入れる専門職です。
遊びを通して子どもは大人や社会とつながり、信頼関係を形成します。
遊びの体験が自分の人生にどのような影響を与えているかを振り返るため、
HPS養成講座が始まる前に受講生には「遊びの体験」を作文してもらいました。
そこには遊びの持つ力がたくさん書かれていました。
障害を持つきょうだいと遊びを通して「つながり」を感じたことを思い出した受講生、
遊びを通して想像する力と創造する力を高めて行ったことを振り返る受講生など、
みんな改めて遊びはすべての子どもの必要不可欠なんだと感じ、
学びをスタートさせました。
まっちゃん