HPS Japan -チャイルドフレンドリーな医療と環境の実現のため、奮闘している人たちのブログ-

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今どきの若者とつながり

2010年12月27日 | 日記
「今どきの若者は・・・」というセリフを、
聞く側ではなく言う側として口にすることが多くなりました。


つまりは、私の周りの人がマネージメントする立場に
なっていっているということなのでしょうね

ところで、この「いまどきの若い者は…」というセリフ、
どの時代の若者も恐らく言われていた言葉なんだろうなと思っています

というのが、若い人の役割が、これまでの慣習を破ったり、
新しい風を吹き込んだりというものだからです


25日の夕方から、ある福祉法人の研修会に講師として招かれ、
援助方法の演習を2時間行ってきました。

その場に遅れてきた若者がいて、一番前の席、
施設長の横に座わりました。


私が、「『今の社会を色に例えると何色?』って、大学1年生に聞くと
多くの学生さんが『灰色』って答えるのですが、みなさんはいかがですか?」と
その若者を指して聞いたところ、「黒に近い灰色」との答えが返ってきました。
(因みに、この若者は入社したてではありません。3年たつ支援員さんです。)


隣に座っている施設長は、この答えが気になるようです。
マネージメントを行っている管理者としては、「この職員は
仕事が行き詰っているのかな?」とか、「知的なハンデを
持っている人に対する支援のモチベーションが下がっているのかな?」など
いろいろと想像したのではないかと思います。


講習会が終わってから、法人の忘年会にも参加させていただきました。
そこで、施設長、その他の管理職、そして何とその若者が
同じ席に座わりに来てくれたのです。

その若者の名をA君としましょう

施設長「A君さあ、もっとさあ、人に頼んだらいいんだよ。
できないから手伝ってくださいって。」
「協力し合わないと何もできないよ、この仕事は。
なんでもっとそれをしないの?」


A君は、どうやら失敗が多いようです
A君「でも、僕が迷惑をかけるのは、申し訳なくって・・・、
僕の仕事だし、僕がしないといけないし・・・。」

施設長「自分ができることなんて、ほんのちょっとなんだよ。
ほとんどないんだよ。」
A君「はい・・・。」

会話がなかなか噛み合っていません。
そこで、少し通訳をかってでてみました

まっちゃん「でも、A君はこの仕事が好きなんでしょう。」
A君「もちろんです。」

まっちゃん「施設長、多分A君は自分と他人の距離の取り方が
まだ分からないんじゃないでしょうか。自分はもう一人前に
給料をもらっているし、その分ちゃんとやらないといけないという思いと、
でも出来ないという思いとの間で不安になるんだと思います。
特にここは友人関係の場ではなく仕事の場なんで、悩んでしまうのでしょうね。
A君さあ、逃げたいなあ、って思うことあるでしょう。」

A君「あります。失敗した時は、自分なんて存在する
価値があるのかなって思うし・・・」


そうなんですね。A君はとても真面目な青年なんです


なかなか言葉で表現するのが難しいのですが、いまどきの若者は、
こういうとても繊細で壊れやすい心情と、でも人の役に立ちたい、
みんな幸せに生きていきたいという願いと、そして社会の現実の厳しさの間で、
葛藤する気持ちを人に共有することもできず、静かに佇むんでいるのかも知れません。


ある研究で、大学生から社会人への移行ではなく、その間にもう1つの成長の段階
があるのではないかという主張を読みました。私も、大学だけではまだ十分に自
分を見つめるだけの太さができていないのでは、と思います。


社会が、このような子どもでもなく、大人でもない、
青年期の人々の揺れに寛容であってほしいな、と思いながら帰路に就いたクリスマスでした


まっちゃん