皆様こんばんは。
本日は名人戦第4局の2日目が行われました。
結果は井山名人の黒番中押し勝ち、待望の初勝利を挙げました!
それでは早速振り返っていきましょう。
1図(実戦)
封じ手は白1でした。
大半のプロの予想通りで、この一手でしょう。
2図(実戦)
そして白6までと進みました。
ここまではプロなら誰が打ってもこうなります。
さてここで黒はどうするか?
差し当たっては左辺の黒を守らなければいけませんが・・・
3図(変化図)
黒1でつながる事はできるのですが、形が貧弱なのが気がかりです。
白2が嫌味で、もし黒1子を取られるような事になると白はかなり強くなります。
黒7子が一方的に攻められる事になるでしょう。
その流れで右上一帯も黒地が出来なくなりそうです。
こういった図をイメージして、1日目時点では白がリードしているのかと思っていました。
4図(実戦)
ところが井山名人は思い切った構想を見せました!
実戦は黒1、3と左辺を2手かけてしっかりした形で繋がりました。
その間に白6となって中央の黒が逃げられなくなりましたが、捨て石作戦です
5図(実戦)
大きなお荷物を捨てた事により身軽になり、黒5と右上に先着する事ができました。
黒△を守りながら地を作る事に成功しています。
3図とは景色が全く違いますね。
こうなってみると、どちらかといえば黒が打ちやすい局面に見えました。
この展開は1日目から予定していたものでしょう。
井山名人らしい素晴らしい構想だったと思います。
ちなみに先日苦しみからの解放という記事を書きましたが、発想は全く同じです。
ただしレベルが全く違いますね
6図(実戦)
その後ヨセに入っていますが、ヨセでも石の強弱は重要です。
直前に黒△と打った手は地を増やしながら白△への攻めを狙っています。
ここで左上隅を守る手が非常に大きいのですが、実戦は白1の伸び!
「2目の頭」なので伸びるのは自然ともいえますが、しかしヨセに入ると直接地に結び付く手を優先するプロが多いのです。
その中で堂々と伸びるのがいかにも高尾挑戦者、重厚な棋風がよく表れています。
この手は白Aと切る狙いを残し、間接的に右辺白への攻めを緩和しています。
さらに左下一帯の白地を広げ、腹中の黒の活力を完全に消しています。
多くの意味のある手で、全局を見た一手といえるでしょう。
7図(実戦)
黒も左上の三々に入って対抗しました。
これはただ地を取るだけの手ではなく、白全体の根拠を奪っています。
白としては攻められるような事だけは避けなければいけません。
8図(実戦)
という訳で途中複雑な手順を経ましたが、白△で中央の黒を切断しながら自身の上下を繋げました。
こうなると白△が生きてきて中央が大きな白地になりそうです。
急に白が良く見えてきましたが・・・
9図(実戦)
ここで黒△が鋭い踏み込み!
次にAやBの切断を狙っています。
黒△を活用しようという厳しい発想でした。
これが勝着ではないでしょうか。
10図(変化図)
白1など、3子を繋がると黒2から切断されます。
黒8となると白の大石も生きておらず、どちらが攻めているのか分からなくなります。
11図(実戦)
そこで白5まで中央をしっかり繋がったのは、高尾挑戦者らしい本手です。
しかし黒6となって白△が切り離されてしまいました。
黒成功でしょう。
12図(変化)
白3子は逃げにくい状況になっています。
図は一例ですが、逃げる間に中央に出来そうだった白地がすっかり消えてしまいます。
13図(実戦)
という訳で白は3子を捨て、代わりに黒2子を取り込んで中央を白地にしました。
中央の方が大きいので正しい選択でしょう。
しかしこうなってみると黒地の方が多く、黒の優位が明らかになりました。
14図(実戦)
後は黒の正確な収束を見るばかりです。
黒△と押し、右辺白への攻めとAあたりの侵入を天秤にかけていきました。
15図(実戦)
結局白は中央を守り切りましたが、右辺で白4子を取り込んで黒地が大きく増えました。
井山名人、堅実に勝利を確定させました。
まだまだ高尾挑戦者が優勢ですが、相手が井山名人なので1敗は大きなプレッシャーになるでしょう。
高尾挑戦者が座り直して次で決めるのか、井山名人がさらに追撃をかけるのか!?
第5局は10月12日(水)、13日(木)に静岡県熱海市「あたみ石亭」で行われます。
皆様、お楽しみに!
本日は名人戦第4局の2日目が行われました。
結果は井山名人の黒番中押し勝ち、待望の初勝利を挙げました!
それでは早速振り返っていきましょう。
1図(実戦)
封じ手は白1でした。
大半のプロの予想通りで、この一手でしょう。
2図(実戦)
そして白6までと進みました。
ここまではプロなら誰が打ってもこうなります。
さてここで黒はどうするか?
差し当たっては左辺の黒を守らなければいけませんが・・・
3図(変化図)
黒1でつながる事はできるのですが、形が貧弱なのが気がかりです。
白2が嫌味で、もし黒1子を取られるような事になると白はかなり強くなります。
黒7子が一方的に攻められる事になるでしょう。
その流れで右上一帯も黒地が出来なくなりそうです。
こういった図をイメージして、1日目時点では白がリードしているのかと思っていました。
4図(実戦)
ところが井山名人は思い切った構想を見せました!
実戦は黒1、3と左辺を2手かけてしっかりした形で繋がりました。
その間に白6となって中央の黒が逃げられなくなりましたが、捨て石作戦です
5図(実戦)
大きなお荷物を捨てた事により身軽になり、黒5と右上に先着する事ができました。
黒△を守りながら地を作る事に成功しています。
3図とは景色が全く違いますね。
こうなってみると、どちらかといえば黒が打ちやすい局面に見えました。
この展開は1日目から予定していたものでしょう。
井山名人らしい素晴らしい構想だったと思います。
ちなみに先日苦しみからの解放という記事を書きましたが、発想は全く同じです。
ただしレベルが全く違いますね
6図(実戦)
その後ヨセに入っていますが、ヨセでも石の強弱は重要です。
直前に黒△と打った手は地を増やしながら白△への攻めを狙っています。
ここで左上隅を守る手が非常に大きいのですが、実戦は白1の伸び!
「2目の頭」なので伸びるのは自然ともいえますが、しかしヨセに入ると直接地に結び付く手を優先するプロが多いのです。
その中で堂々と伸びるのがいかにも高尾挑戦者、重厚な棋風がよく表れています。
この手は白Aと切る狙いを残し、間接的に右辺白への攻めを緩和しています。
さらに左下一帯の白地を広げ、腹中の黒の活力を完全に消しています。
多くの意味のある手で、全局を見た一手といえるでしょう。
7図(実戦)
黒も左上の三々に入って対抗しました。
これはただ地を取るだけの手ではなく、白全体の根拠を奪っています。
白としては攻められるような事だけは避けなければいけません。
8図(実戦)
という訳で途中複雑な手順を経ましたが、白△で中央の黒を切断しながら自身の上下を繋げました。
こうなると白△が生きてきて中央が大きな白地になりそうです。
急に白が良く見えてきましたが・・・
9図(実戦)
ここで黒△が鋭い踏み込み!
次にAやBの切断を狙っています。
黒△を活用しようという厳しい発想でした。
これが勝着ではないでしょうか。
10図(変化図)
白1など、3子を繋がると黒2から切断されます。
黒8となると白の大石も生きておらず、どちらが攻めているのか分からなくなります。
11図(実戦)
そこで白5まで中央をしっかり繋がったのは、高尾挑戦者らしい本手です。
しかし黒6となって白△が切り離されてしまいました。
黒成功でしょう。
12図(変化)
白3子は逃げにくい状況になっています。
図は一例ですが、逃げる間に中央に出来そうだった白地がすっかり消えてしまいます。
13図(実戦)
という訳で白は3子を捨て、代わりに黒2子を取り込んで中央を白地にしました。
中央の方が大きいので正しい選択でしょう。
しかしこうなってみると黒地の方が多く、黒の優位が明らかになりました。
14図(実戦)
後は黒の正確な収束を見るばかりです。
黒△と押し、右辺白への攻めとAあたりの侵入を天秤にかけていきました。
15図(実戦)
結局白は中央を守り切りましたが、右辺で白4子を取り込んで黒地が大きく増えました。
井山名人、堅実に勝利を確定させました。
まだまだ高尾挑戦者が優勢ですが、相手が井山名人なので1敗は大きなプレッシャーになるでしょう。
高尾挑戦者が座り直して次で決めるのか、井山名人がさらに追撃をかけるのか!?
第5局は10月12日(水)、13日(木)に静岡県熱海市「あたみ石亭」で行われます。
皆様、お楽しみに!