皆様こんばんは。
本日は毎月恒例の日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
なお過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。
今月は山田規三生九段対村松大樹六段、王景怡会津中央病院杯(当時)対稲葉かりん初段の2局を解説しました。
今回は幽玄の間でも中継された山田(黒)―村松戦の一部をご紹介しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/51/4e511c1ae4a2d8556a5778e74369891f.jpg)
(開始地点)
左上黒△と打った場面です。
ここから戦いが始まって・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/c6/13780a0c330ba282e164fc3c296458e3.jpg)
(実戦進行)
白1~黒20まで進みました。
あえて1図にまとめましたが、目が回りそうな進行ですね![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_maji.gif)
「途中でお互い左上黒の生き死にに関係なさそうな所に打っているのは何故?」
「黒20と転戦したけど、左上はどうなったの?」
といった疑問をお持ちになる方も多いでしょう。
派手な戦いはただ見ているだけでも面白いのですが、やはり対局者が何を考えて打っているのかぐらいは知りたいですよね。
私の解説ではその点を重視し、棋力に関わらず楽しめるようになっています。
それでは最初に戻って進行と解説を見ていきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/d4/a2e05f00200883899329547dc9f8c5c1.jpg)
(実戦)
「白も簡単には生かしません。
厳しく追及しました。」
この白1に対し、黒Aとハネ出したらどうなるか気になる方も多いでしょう。
そこを次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/13/5d9384dc616465282a311ab0eb39eca0.jpg)
(参考図)
「黒1とハネ出すと眼2つの生きとなり、黒不満です。」
ハネ出した場合の参考図です。
これは黒が良くないので実戦では違う手を選びました。
なお手数が多いので画像では見づらいかと思いますが、ソフトでは一手ずつ並べられるのでご安心ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/86/f70868c308c2b94c04251ee95be561c1.jpg)
(実戦)
黒1「押さえる一手です。」
白2「しかし眼を作るスペースが無くなりました。
黒大丈夫なのでしょうか?」
黒7「スペースを広げますが・・・」
白8「この手は黒を取りにいくための準備です。」
先述した通り、白は隅の黒を簡単に生かさないように打っています。
しかしご覧のように、白8の曲がりで一旦攻めを中止しました。
この手でいきなり黒の眼を取りに行くとどうなるでしょうか?
皆さんの当然の疑問を次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/da/f9df74c2443c0679c2dc8ebd7db46476.jpg)
(参考図)
「すぐに隅を取りにいくと、コウが避けられません。
Aなどにコウ材が多く、白いけません。」
前図白8でいきなり隅の黒を取りに行くと、黒14の後白△と取ってコウになります。
しかし黒Aにコウ立てされて困ります。
左上隅の黒を取っても、右上で連打されては白ダメです。
見直してみると、ここは初級者の方には解説が分かり難かったかもしれません。
「白がすぐに隅を取りにいくと、黒14の後白△と取ってコウになります。
しかし黒Aにコウ立てされて困ります。
左上隅の黒を取っても、コウ替わりに右上を連打されては白ダメです。」
こう直したいのでよろしくお願いします。
おっと、業務連絡が混じってしまいました![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/db/653ea977a9cde03275380a881fedb73c.jpg)
(実戦)
「それでも黒は受けました。」
えっ、隅を生きずにこちらを受けるのは何故?
その答えが次の参考図です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/a2/593e047c48aeed89235465bea569f478.jpg)
(参考図)
「黒1と打てば生きられますが、白2と繋がられる事を嫌いました。
黒は右上白に狙いが無くなりますし、黒7子が弱くなる可能性が出てきます。」
黒が隅を生きなかったのにはこういう理由がありました。
でも、放っておいた隅はどうなってしまうのでしょうか?
それでは実戦の進行を見てみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/0d/932265a586a4a5e5c4bfdfaa3440c597.jpg)
(実戦)
白1「準備ができたので黒を取りにいきました!」
白3「一本道です。」
白5「これで白△の所が欠け目になります。」
この隅は死活の基本形で、プロは間違えません。
しかし何故白3と打たないといけないのか、分からない方も多いと思いますから参考図を入れています(掲載は省略)。
黒8「この手は隅との関係で先手です。」
白9「手を入れて左上の黒は完全に死にました。
黒が大失敗でしょうか?」
結局、左上隅の黒は全滅してしまったという事です。
黒大失敗と思われる方も多いでしょう。
何故黒がこの進行を選んだのかは次の手で分かります。
なお黒8が何故先手になるのかも参考図で解説していますが、省略します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/30/3ff12e57b1361cb941ceb3154536f2b2.jpg)
(実戦)
「実は黒は予定通りでした。
この置きが狙いの一手です!
左上を生きるより、こちらの白への攻めに勝機を求める作戦でした。」
なんと黒は最初から左上の黒を捨て、右上白への攻めに回る作戦でした!
そして白もそれを分かっていて、あえて黒の作戦に乗って行ったのです。
当ブログでご紹介するのはここまでですが、ここから終局に至るまで延々と戦いが続きます。
両者のプロならではの深い読み、碁盤全体を見た構想が魅力的な1局でした。
ぜひご覧頂きたいと思います。
来月は農心杯での李世ドル九段対一力遼七段、女流本因坊戦第1局の謝依旻六段対藤沢里菜三段の2局を解説します。
皆さんが注目された2局を選んでみました。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
本日は毎月恒例の日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
なお過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。
今月は山田規三生九段対村松大樹六段、王景怡会津中央病院杯(当時)対稲葉かりん初段の2局を解説しました。
今回は幽玄の間でも中継された山田(黒)―村松戦の一部をご紹介しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/51/4e511c1ae4a2d8556a5778e74369891f.jpg)
(開始地点)
左上黒△と打った場面です。
ここから戦いが始まって・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/c6/13780a0c330ba282e164fc3c296458e3.jpg)
(実戦進行)
白1~黒20まで進みました。
あえて1図にまとめましたが、目が回りそうな進行ですね
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_maji.gif)
「途中でお互い左上黒の生き死にに関係なさそうな所に打っているのは何故?」
「黒20と転戦したけど、左上はどうなったの?」
といった疑問をお持ちになる方も多いでしょう。
派手な戦いはただ見ているだけでも面白いのですが、やはり対局者が何を考えて打っているのかぐらいは知りたいですよね。
私の解説ではその点を重視し、棋力に関わらず楽しめるようになっています。
それでは最初に戻って進行と解説を見ていきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/d4/a2e05f00200883899329547dc9f8c5c1.jpg)
(実戦)
「白も簡単には生かしません。
厳しく追及しました。」
この白1に対し、黒Aとハネ出したらどうなるか気になる方も多いでしょう。
そこを次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/13/5d9384dc616465282a311ab0eb39eca0.jpg)
(参考図)
「黒1とハネ出すと眼2つの生きとなり、黒不満です。」
ハネ出した場合の参考図です。
これは黒が良くないので実戦では違う手を選びました。
なお手数が多いので画像では見づらいかと思いますが、ソフトでは一手ずつ並べられるのでご安心ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/86/f70868c308c2b94c04251ee95be561c1.jpg)
(実戦)
黒1「押さえる一手です。」
白2「しかし眼を作るスペースが無くなりました。
黒大丈夫なのでしょうか?」
黒7「スペースを広げますが・・・」
白8「この手は黒を取りにいくための準備です。」
先述した通り、白は隅の黒を簡単に生かさないように打っています。
しかしご覧のように、白8の曲がりで一旦攻めを中止しました。
この手でいきなり黒の眼を取りに行くとどうなるでしょうか?
皆さんの当然の疑問を次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/da/f9df74c2443c0679c2dc8ebd7db46476.jpg)
(参考図)
「すぐに隅を取りにいくと、コウが避けられません。
Aなどにコウ材が多く、白いけません。」
前図白8でいきなり隅の黒を取りに行くと、黒14の後白△と取ってコウになります。
しかし黒Aにコウ立てされて困ります。
左上隅の黒を取っても、右上で連打されては白ダメです。
見直してみると、ここは初級者の方には解説が分かり難かったかもしれません。
「白がすぐに隅を取りにいくと、黒14の後白△と取ってコウになります。
しかし黒Aにコウ立てされて困ります。
左上隅の黒を取っても、コウ替わりに右上を連打されては白ダメです。」
こう直したいのでよろしくお願いします。
おっと、業務連絡が混じってしまいました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/db/653ea977a9cde03275380a881fedb73c.jpg)
(実戦)
「それでも黒は受けました。」
えっ、隅を生きずにこちらを受けるのは何故?
その答えが次の参考図です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/a2/593e047c48aeed89235465bea569f478.jpg)
(参考図)
「黒1と打てば生きられますが、白2と繋がられる事を嫌いました。
黒は右上白に狙いが無くなりますし、黒7子が弱くなる可能性が出てきます。」
黒が隅を生きなかったのにはこういう理由がありました。
でも、放っておいた隅はどうなってしまうのでしょうか?
それでは実戦の進行を見てみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/0d/932265a586a4a5e5c4bfdfaa3440c597.jpg)
(実戦)
白1「準備ができたので黒を取りにいきました!」
白3「一本道です。」
白5「これで白△の所が欠け目になります。」
この隅は死活の基本形で、プロは間違えません。
しかし何故白3と打たないといけないのか、分からない方も多いと思いますから参考図を入れています(掲載は省略)。
黒8「この手は隅との関係で先手です。」
白9「手を入れて左上の黒は完全に死にました。
黒が大失敗でしょうか?」
結局、左上隅の黒は全滅してしまったという事です。
黒大失敗と思われる方も多いでしょう。
何故黒がこの進行を選んだのかは次の手で分かります。
なお黒8が何故先手になるのかも参考図で解説していますが、省略します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/30/3ff12e57b1361cb941ceb3154536f2b2.jpg)
(実戦)
「実は黒は予定通りでした。
この置きが狙いの一手です!
左上を生きるより、こちらの白への攻めに勝機を求める作戦でした。」
なんと黒は最初から左上の黒を捨て、右上白への攻めに回る作戦でした!
そして白もそれを分かっていて、あえて黒の作戦に乗って行ったのです。
当ブログでご紹介するのはここまでですが、ここから終局に至るまで延々と戦いが続きます。
両者のプロならではの深い読み、碁盤全体を見た構想が魅力的な1局でした。
ぜひご覧頂きたいと思います。
来月は農心杯での李世ドル九段対一力遼七段、女流本因坊戦第1局の謝依旻六段対藤沢里菜三段の2局を解説します。
皆さんが注目された2局を選んでみました。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!