皆様こんばんは。
本日は昨日の王座戦の裏で行われていた対局をご紹介します。
第55期十段戦本戦1回戦、結城聡九段(黒)対金秀俊八段です。
正に東西の武闘派対決!
期待通りの凄い戦いの碁でした。
なおこの対局は幽玄の間で中継されていましたが、ソフト上からは既に流れていますね。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
この対局も含めて、過去に幽玄の間で中継された対局は、幽玄の間ホームページからご覧頂けます。
ログイン後、中継→中継棋譜鑑賞と進むと棋譜の一覧が表示されます。
検索も可能ですので、ぜひご利用ください。
さて、それでは対局を振り返っていきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/48/758cde67dcdb87bc7a635a9ef77cffc9.jpg)
1図(実戦黒9)
黒△と白△の小目が向かい合っている、所謂「向かい小目」の布石ですね。
最近あまり見なくなりましたが、もちろん互角の布石です。
黒1に対しては、白A~Cなどが代表的な定石です。
どれを選んでも、黒石が下辺に向かう可能性が高いのですが、白はそれを防ぎたいと考えました。
そこで白が選んだ手は・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/6c/f2010e5533067f164d5111127dd4c617.jpg)
2図(実戦白10)
実戦は白1!
下辺を重視する打ち方です。
Aのハザマが空いて異様な感じですが、そこは何とかなるとみています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/66/4a0e107d58f033c2cc1be772eab970f9.jpg)
3図(変化図)
黒には色々な打ち方がありますが、最も簡明なのは黒1以下です。
黒は左辺に連絡、白は勢力を築く分かれになります。
ただし、この碁は右辺の配置が特殊です。
右上白8、右下白12と両方カケられ、黒の位が低くなってしまいます。
碁盤全体を見ても、黒1以外の全ての石が3線以下にあります。
いかにもバランスが悪い感じで、白としてはこんな図になれば嬉しいでしょう。
では黒はどうするべきでしょうか?
2図のAが気になっている方が多いでしょうが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/2b/dd890da314c30ed6d53fa441d567382c.jpg)
4図(実戦黒11)
実戦も、やっていきました!(笑)
白を分断する手で、最もストレートな行き方です。
一見白がバラバラで、困りそうですが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/0f/8ec595c14dcc410d456f0560546b8ca7.jpg)
5図(実戦白12~白14)
白1、3と黒を分断!
「あなたこそバラバラじゃないですか?」と言っています。
お互いに弱い石が複数できており、この戦いは良い勝負でしょう。
白のハザマを空ける手は、一時期(確か私の入段前)流行した事があります。
この図のお互いに切り合う変化も、実戦例があります。
ところが、この後の実戦は見た事もない展開になり・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/f2/46b30c5d97c3c8810f3a54e8cb02c905.jpg)
6図(実戦黒35~白38)
序盤から物凄い事になっています。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
黒1、3で白の出口を塞ぎ、白は4で隅の黒を取りに行きました!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/b5/67ee4e5723a1c4882a9b382a866a5c0e.jpg)
7図(実戦黒39~黒43)
前図の続きで、黒5までと進みました。
一体どうなっているのでしょうか?
次図で現状を確認してみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/ab/ecd5b6add6cc2827dd42db09f644bde8.jpg)
8図(現状確認)
黒7子と白8子の攻め合いになっています。
攻め合いで最も重要なのは、お互いの石が取られるまでの手数(ダメの数)です。
数えてみますと、黒5手、白4手ですね。
白番ですが、単純にダメを詰め合うと、攻め合いに負ける事が分かります。
となれば、白は何とかして手数を延ばさなければいけません。
白がどう打ったか、予想してみてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/e3/c1cc3c7b82d88224bace50995e0449cf.jpg)
9図(失敗図その1)
白1と切る手は成立しません。
黒6が好手で、白攻め合い負けになります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/a1/58f53ec0327b475603d0bf800d532681.jpg)
10図(失敗図その2-1)
白1と打ちたくなる方が多いのではないでしょうか?
黒2に白3と逃げて、一見上手くいきそうに見えますが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/88/34d1fb6f2674555379e8ae85c6e37b38.jpg)
11図(失敗図その2-2)
黒1、3、5と、緩まず止められていけません。
黒9となった時点で白の手数は4手と、全く延びていません。
この図がダメなら、白困ったように見えますね。
ところが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/99/52c2b0a23f6ba0352b541377a447a62b.jpg)
12図(実戦白44)
実戦は白1の2間トビでした!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
妙手です!
次に黒Aなら、白Bで脱出してしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/fe/9bf04f5992afb738e2dae1d245fe69f7.jpg)
13図(実戦黒45~白52)
そこで実戦は黒1、3、5でしたが、白6に対して黒Aとダメを詰められないのがポイントです。
(黒Aと打つと、白Bと出られて崩壊します)
そこで白8と黒のダメを詰めて・・・さて、白は何手になっているでしょうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/71/df00cb6ea513736aa2fe225d81865611.jpg)
14図(手数の確認)
黒1(6の所)から白6までとなると、白は5手ですね。
黒は4手なので、白が攻め合い勝ちになりました。
魔法のような妙手で、白が攻め合いを逆転しました!
ただし、石を取ったからといって終わりにはならないのが碁です。
この碁も延々と戦いが続きます。
戦いの手筋も多く登場するので、ぜひ総譜をご覧ください!
本日は昨日の王座戦の裏で行われていた対局をご紹介します。
第55期十段戦本戦1回戦、結城聡九段(黒)対金秀俊八段です。
正に東西の武闘派対決!
期待通りの凄い戦いの碁でした。
なおこの対局は幽玄の間で中継されていましたが、ソフト上からは既に流れていますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
この対局も含めて、過去に幽玄の間で中継された対局は、幽玄の間ホームページからご覧頂けます。
ログイン後、中継→中継棋譜鑑賞と進むと棋譜の一覧が表示されます。
検索も可能ですので、ぜひご利用ください。
さて、それでは対局を振り返っていきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/48/758cde67dcdb87bc7a635a9ef77cffc9.jpg)
1図(実戦黒9)
黒△と白△の小目が向かい合っている、所謂「向かい小目」の布石ですね。
最近あまり見なくなりましたが、もちろん互角の布石です。
黒1に対しては、白A~Cなどが代表的な定石です。
どれを選んでも、黒石が下辺に向かう可能性が高いのですが、白はそれを防ぎたいと考えました。
そこで白が選んだ手は・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/6c/f2010e5533067f164d5111127dd4c617.jpg)
2図(実戦白10)
実戦は白1!
下辺を重視する打ち方です。
Aのハザマが空いて異様な感じですが、そこは何とかなるとみています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/66/4a0e107d58f033c2cc1be772eab970f9.jpg)
3図(変化図)
黒には色々な打ち方がありますが、最も簡明なのは黒1以下です。
黒は左辺に連絡、白は勢力を築く分かれになります。
ただし、この碁は右辺の配置が特殊です。
右上白8、右下白12と両方カケられ、黒の位が低くなってしまいます。
碁盤全体を見ても、黒1以外の全ての石が3線以下にあります。
いかにもバランスが悪い感じで、白としてはこんな図になれば嬉しいでしょう。
では黒はどうするべきでしょうか?
2図のAが気になっている方が多いでしょうが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/2b/dd890da314c30ed6d53fa441d567382c.jpg)
4図(実戦黒11)
実戦も、やっていきました!(笑)
白を分断する手で、最もストレートな行き方です。
一見白がバラバラで、困りそうですが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/0f/8ec595c14dcc410d456f0560546b8ca7.jpg)
5図(実戦白12~白14)
白1、3と黒を分断!
「あなたこそバラバラじゃないですか?」と言っています。
お互いに弱い石が複数できており、この戦いは良い勝負でしょう。
白のハザマを空ける手は、一時期(確か私の入段前)流行した事があります。
この図のお互いに切り合う変化も、実戦例があります。
ところが、この後の実戦は見た事もない展開になり・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/f2/46b30c5d97c3c8810f3a54e8cb02c905.jpg)
6図(実戦黒35~白38)
序盤から物凄い事になっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
黒1、3で白の出口を塞ぎ、白は4で隅の黒を取りに行きました!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/b5/67ee4e5723a1c4882a9b382a866a5c0e.jpg)
7図(実戦黒39~黒43)
前図の続きで、黒5までと進みました。
一体どうなっているのでしょうか?
次図で現状を確認してみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/ab/ecd5b6add6cc2827dd42db09f644bde8.jpg)
8図(現状確認)
黒7子と白8子の攻め合いになっています。
攻め合いで最も重要なのは、お互いの石が取られるまでの手数(ダメの数)です。
数えてみますと、黒5手、白4手ですね。
白番ですが、単純にダメを詰め合うと、攻め合いに負ける事が分かります。
となれば、白は何とかして手数を延ばさなければいけません。
白がどう打ったか、予想してみてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/e3/c1cc3c7b82d88224bace50995e0449cf.jpg)
9図(失敗図その1)
白1と切る手は成立しません。
黒6が好手で、白攻め合い負けになります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/a1/58f53ec0327b475603d0bf800d532681.jpg)
10図(失敗図その2-1)
白1と打ちたくなる方が多いのではないでしょうか?
黒2に白3と逃げて、一見上手くいきそうに見えますが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/88/34d1fb6f2674555379e8ae85c6e37b38.jpg)
11図(失敗図その2-2)
黒1、3、5と、緩まず止められていけません。
黒9となった時点で白の手数は4手と、全く延びていません。
この図がダメなら、白困ったように見えますね。
ところが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/99/52c2b0a23f6ba0352b541377a447a62b.jpg)
12図(実戦白44)
実戦は白1の2間トビでした!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
妙手です!
次に黒Aなら、白Bで脱出してしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/fe/9bf04f5992afb738e2dae1d245fe69f7.jpg)
13図(実戦黒45~白52)
そこで実戦は黒1、3、5でしたが、白6に対して黒Aとダメを詰められないのがポイントです。
(黒Aと打つと、白Bと出られて崩壊します)
そこで白8と黒のダメを詰めて・・・さて、白は何手になっているでしょうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/71/df00cb6ea513736aa2fe225d81865611.jpg)
14図(手数の確認)
黒1(6の所)から白6までとなると、白は5手ですね。
黒は4手なので、白が攻め合い勝ちになりました。
魔法のような妙手で、白が攻め合いを逆転しました!
ただし、石を取ったからといって終わりにはならないのが碁です。
この碁も延々と戦いが続きます。
戦いの手筋も多く登場するので、ぜひ総譜をご覧ください!