白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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井山裕太-檀嘯戦

2018年09月06日 23時41分21秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
まずは被災された方々にお見舞い申し上げます。
被災された方々の無事と、早く元の生活を取り戻せることをお祈りいたします。

こんな時でも、自分の務めは果たしていきたいものです。
ブログもこれまで通り更新を続けます。


さて、本日は三星火災杯32強戦の3回戦が行われました。
柳時熏九段、芝野虎丸七段は残念ながら敗退しましたが、井山裕太九段は勝って16強入りを決めました。
それでは、井山九段の対局で印象に残った場面をご紹介しましょう。
相手は檀嘯九段、昨年の春蘭杯優勝者です。




1図(テーマ図)
井山九段の黒番です。
右辺で黒×が分断されていますね。
石の形からして、次の黒の手はA~Dあたりを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ところが・・・。





2図(実戦)
実戦はなんと、黒1のブツカリ!
そして黒5の曲がり!
自ら裂かれ形空き三角を作るという、筋悪もここに極めれりという感じです(笑)。
井山九段、ご乱心?





3図(実戦)
もちろん、井山九段が意味も無く悪い形を打つはずがありませんでした。
狙いは白×の大石です。
流石に取れる石ではありませんが・・・。





4図(実戦)
しかし、白が大石を逃げ延びた時には、下辺に大きな黒地が出現していました。
井山九段は、1図の時点からこのような展開を思い描いていたのですね。
なんという構想力でしょうか。

本局の井山九段は、序盤から変幻自在の打ち回しを見せてくれました。
調子が戻ってきているように感じます。