白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

封じ手予想

2018年09月25日 21時28分00秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
一力遼八段が竜星戦で優勝しました。
一時期は不調を感じていましたが、最近調子が戻ってきたのではないでしょうか。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
現在、名人戦第3局が行われています。
早速1日目の進行を振り返っていきましょう。



1図(実戦)
井山名人の黒番です。
左辺の白はダメの数が少ないですね。
見ていてヒヤヒヤする打ち方で、とても真似できません。
読みに自信のある、張栩挑戦者ならではの打ち方でしょう。





2図(実戦)
結果は、黒△までの振り替わりとなりました。
白は黒×を取り、黒は中央に巨大な勢力を得ています。
流石、綺麗に分かれるものです。





3図(実戦)
黒△には驚きました。
自然な考え方としては、黒×の根拠を確保する黒A、白×を攻める黒Bあたりが思い浮かびます。
それを、あえて自身に弱みのある地域で戦いを起こすとは・・・。
黒がやや形勢不利とみての勝負手かもしれませんね。





4図(打掛局面)
白△と打ったところで、次の手が封じ手となりました。
黒×、黒〇、白×などの集団が絡み合っている状況であり、黒はどちらの石から動くかが問われています。





5図(封じ手予想)
私の封じ手予想は黒△です。
左辺黒は死にはしないまでも、眼2つで生きる羽目になる可能性があります。
それだけは避けたいのです。


碁の流れは悪くありませんし、張栩挑戦者としてはぜひとも1勝を返しておきたいですね。
2日目もぜひご覧ください。

本手

2018年09月24日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
10月13日(土)に、永代塾囲碁サロンにてチャリティーイベントが行われます。
これに合わせて、私の定期的指導碁会のほうもチャリティーイベントとさせて頂くことになりました。
詳細はこちらをご覧ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日で3日間の合宿が終わりました。
今回もほとんどの参加者と対局することができました。
さて、それでは本日もその中の1局を題材にしましょう。



1図(テーマ図)
黒番です。
AとBのどちらかを考えられる方が多いでしょうが、どちらが正解でしょうか?





2図(失敗)
黒1と押し、白2には黒3、5と頑張り、白Aには黒Bと取りに行く!
こういう発想をする方は、間違いなく力自慢です(笑)。
しかし・・・。





3図(失敗)
白1、3に加え、白Aも利く形です。
外側の白がすっかり強くなり、白5に回られては巨大な白地が完成しました。
白2子は取れたものの、手がかかりすぎたのです。





4図(正解)
黒1のつなぎが本手であり、正解です。
いずれ必要になる手を、早めに打っておくという発想ですね。
白2なら黒3と進出し、黒は前図よりはるかに効率の良い形をしています。
もし白2でAに打ってくれば、今度は黒Bに回ることができます。





5図(別解)
他には、黒×は価値が低いので、守らずに捨ててしまうという打ち方もあります。
こちらはより高度な考え方になりますね。


碁は石の効率を争うゲームであり、1箇所に石を密集させると効率が悪くなってしまいます。
指導碁で、黒石が取られたわけでもないのにいつの間にか追いつかれているというケースはよくありますね。
その原因を一言で言うならば、石の効率が悪いということになります。
私は指導において様々な分野を扱いますが、全ては石の効率を良くすることにつながるのです。

ダメ詰まり

2018年09月23日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
本日は合宿2日目です。
若いOBは元気だな~と思ったり、自分もまだ何とかなると思ったり・・・。
30代はそんな微妙な年齢なのでしょう。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日も指導碁を題材にします。



1図(実戦)
3子局、白△とコスんだ場面です。
黒はAとB、どちらが正着でしょうか?





2図(正解)
ダメを詰めない黒1が正解です。
白2ならそこで黒3と打ち、両当たりになるので大丈夫です。





3図(実戦)
ところが、実戦は黒1の当たりを先に決めてしまいました。
すると、白4と当てを打たれてダメ詰まりの問題が発生・・・。
後でも打てる手を慌てて打ってしまうことは、大いに問題があります。
この系統のミスについては、いずれNHK囲碁講座別冊付録の題材にもなる予定です。





4図(変化図)
3図の後黒1とつなぐと、白2、4の爆弾が残ってしまいます。
これは黒が生きた心地がしませんから・・・。





5図(実戦)
結局、このように後退して受けることになりました。
ダメ詰まりは恐ろしいものですね。

手筋

2018年09月22日 23時54分09秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
日本棋院の3名の棋士が文化庁に表彰されます。
囲碁棋士の活動を評価して頂けることはありがたいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
現在、鬼怒川で中央大学囲碁部若手OB中心の合宿が行われています。
私も参加して指導碁を打っていますが、本日はその中の1局を題材にしましょう。



1図(テーマ図)
4子局、白△と打った場面です。
現在、左上黒と左辺黒が競り合っている状況です。
左上黒は×の所に1眼しかありません。
黒Aと打てば生きますが、それは最後の命綱です。





2図(実戦)
黒1~5と打ったのが実戦です。
こう打つ方は多いでしょう。
ただ、この打ち方は上下どちらの白にも響きません。
悠々と白6の大所に回られてしまいました。





3図(正解図1)
白の2間飛びの薄みを衝いて、黒1、3と仕掛けるのが正解です。
実戦に頻出する手筋ですが、知らないとなかなか打てないでしょう。





4図(正解図2)
白1に対して、1子を捨てて黒2、4と外回りに石を持ってくることができました。
2図と比べて、黒石がのびのびとしていることが感じられませんか?





5図(正解図3)
黒14まではその後の想定される進行の1つです。
上下の白が絡み攻めになり、明らかに黒のペースになっていますね。


手筋は時に戦況を一変させることがあります。
囲碁の上達のためには、手筋を沢山知っておくことが大切です。

昨日の解答

2018年09月21日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
新人王戦決勝三番勝負が開幕しましたね。
私はどちらとも対局したことがありますが、本格派の大西三段、趣向を凝らす広瀬二段という印象があります。
新人王に輝くのはどちらでしょうか?
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は昨日の問題の解答を発表します。
比較的難易度は低めだったと思いますが、いかがでしたか?



1図(第1問解答)
黒1、3で隅を生きることはできます。
しかし、白4と放り込まれて花見コウになってしまいます。
黒はコウに勝っても得るものがなく、白は少しでも得をすれば満足です。
これでは勝ち目がないので、投了となりました。





2図(第2問解答1)
黒1、3と打て白2子を取ることができます。
しかし、黒のダメが詰まってしまうので・・・。





3図(第2問解答2)
白1、3と打たれて困ってしまいます。
やはり黒に打つ手が無く、投了となりました。

プロの投了図は、死活や手筋の問題になっていることも多いです。
「なぜ投了したのだろう」と考えてみることは、棋力向上にも役立ちますよ。