シェルティー ラン吉

拙者シェルティーラン吉でござる ラン吉のランは「団らん」のラン 一度しかない今日もろもろをラン吉ママがしたためまする

ポチの思い出ものがたり 22

2012-12-10 12:49:25 | ポチの思い出ものがたり

* * 前回までのお話 * *

昭和30年代、S少年の家で飼われていた2代目のポチ

家族みんなから愛され、毎日たのしく暮らしていました

ところが・・・

----------------

 

ポチは、ある日、あまりにもあっけなく、亡くなってしまいました

 

その夜、子どもたちが泣き寝入りした後のこと

ふすま越しに、お父さんとお母さんの話し声がきこえてきます

「ポチ、本当に急なことだったわ・・・」

「そうだな・・・ だが、こういう時は必ず来るもんだ」

「分かってはいたつもり、でも、もっと先かと思ってたわ」

「命あるものが亡くなるのは、さけられないことだ」

「そうですね・・・」

「でも、一体どうしてしまったのかな」

「ヒトの子でも、しょっちゅう病気にかかるんですもの、犬も同じかもしれないわ」

「そうだな・・・ ヒトの子と同じように病院へ行くことなんてないしな」

 

「ひょっとして、ねずみ退治用のだんごでも食べちゃったのかしら」

「そうだな・・・ ないこととは言えないな」

「自由にあちこち行っていたから、よそで何かあったのかもしれないわ」

「そうだな・・・ ないこととは言えないな」

「うわさでは、パチンコや吹き矢で犬猫にいたずらする子もいるらしいわ」

「なんて、むごい!ひどい話だ!」

 

「お隣りの犬は、病気がおもくなったら姿をけしてしまったらしいな」

「そうらしいわ、そんなこともあるのね・・・」

「みつかった時には、草原のかげで亡くなっていたそうだ」

「死期をさとって、おいとましたってことなのね・・・」

「ポチは、よく家にあがってきたもんだな」

「助けを求めてかしら、私にすり寄ってきたわ」

「ヒトを信頼して、ヒトに頼りたかったんだな」

「そうだったと思うわ・・・私の腕の中で安心して逝きました」

 

 

「ところで、ポチをどうしましょうか」

「明日にでも、ポチをくれた人のうちにつれて行こう」

「えっ、どうしてそんなこと?」

「ポチをもらう時に言われたんだ、こうなった時にはつれて来るように」

「そうなんですか?でも、どうして?」

「近所のお寺にお願いしてくれるそうだ」

「えっ、犬のお墓があるの!」

「お墓じゃないが、犬好きのご住職がねんごろに供養してくれるらしい」

「そんなご住職さまがいらっしゃるのですか?」

「近所のお寺のご住職が、厚意でしてくれるらしい」

「・・・・」

 お母さんは、葬られるポチが不憫で、あふれる涙がとまりません

「いくらお寺とはいえ、知らない所で一人きりになって・・・」

 

お父さんは、そんなお母さんの肩をだいて言いました

「大丈夫だよ、心配しなくて大丈夫

我々はみんなで心からポチをかわいがってきたんだ

たいしたうまい物はやれなかったが、ひもじい思いはさせなかったぞ

それに、毎日子どもたちと楽しそうに遊んでいたじゃないか

我々にもよくなついて、本当にかわいいやつだったよ

うちで食べて寝て遊んで、ポチはここが大好きだった

ポチも、我々も、お互いに大好きだったんだよ

ポチだって、うちにもらわれて来て幸せだっただろうよ

それで充分じゃないか、長いみじかいなんて関係ないよ

ポチがどこで眠っていても、わすれずに大事に思ってやろう

我々も、ポチと暮らせて、幸せだったよなあ」

 

つづく

 


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