いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
過去の記事は随時掲載していきます。
以前読んで下さっていた方、ありがとうございます。

愛してて

2016-08-30 15:57:54 | 日記
「ほとんどSEXしたことないんです」

ジムのトレーナーをしている男がそう言った。

「そもそも知らない人と会うのが怖くて」

オレって変ですよね、という風に彼が微笑んだ。

陸上をずっとやっていたという彼はジーンズにTシャツという、いたって普通の格好だったが、確実に脚が太いのが分かった。用心深いというよりは、安心できる人とHがしたいのだろう。コーヒーを飲みながらトレーニングや仕事の話で盛り上がった。気付くと閉店で、帰りがけに「泊まっていってもいいですか?」と聞かれた。

ホテルで先にシャワーを浴びにいかせて待っていると、カルバンクラインのボクサーパンツ1枚で彼が出て来た。オレも浴びてベッドに戻ると下着姿のままの彼がベッドに横たわっているのが目に入った。凄い体だなあと見とれていると、キスして欲しいと腕を引っ張られた。

マッチョの彼はキスが大好きだった。乳首も感じやすくて、乳首をいじりながらキスをしていると先走りでパンツがびしょ濡れになっていた。脱がしてしごくとすぐ「イキそう」と言われ何度も制止させられた。

彼は従順だった。好きな人ができたら何でも言う事を聞きたいと言っていた。もっとマッチョになってみろよ、とふざけてオレが言うと、分かりました、と答えてくれた。その代わり貰って下さいよ、とも。

20代のある一時期はこんなSEXばかりをしていた。出会って、SEXして、いいなと思う相手だったとしても明日は違う相手とまたSEXをして、色褪せていく。やった相手より、これからやる相手の方に興味がある。そんな下らない時期を過ごしたように思う。

よく思う。凄いいい男がいたら、ずっと繋ぎ止めておきたい、と。SEXをして縁がなくなる相手にはしたくはない。お茶でもご飯でも何でもいい、SEXではないスタートを切りたい。そしたら1年後も友達でいられるかもしれない。だから、ずっと仲良くして。



極上タチ

2016-08-27 21:00:56 | 日記
顔も体も完璧でまだ若く、上反りのデカマラでウケを延々と掘り倒す極上のタチが存在する。タチの自分から見ても尊敬するというか眩しい存在で、そのような男達は普段どのような生活を送っているのかずっと疑問に思ってきた。

SEXが上手いというのは相対的な評価ではあると思うが、多くのウケに支持されているとしたらそれは才能だと思う。タチの自分はタチとは出会わないのだが、合計2人と会う事が出来た。

タチはウケとやる事しか考えていないと思っていたが、タチの友達が欲しい、ポジション関係なく知り合いたい、という男もいたのが驚きだった。色々な人間がいるのは当たり前だとは思うが、今回は顔体が完璧なタチだけ選んでいたので、SEXマシンのような男しかいないと覚悟していたのだ。変な言い方だが、普通の人もいたのだと知ってどこか安心した。

都内のカフェに現れたのは画像通りの凄まじいマッチョで顔は古風なイケメンだった。どこか凛とした感じがしていて、これはモテるなとすぐに思った。笑顔で席に着くと荷物を置いて飲み物を注文しに行った。歩いていく彼の後姿を見つめながら、今までに誰かが彼に恋したのだろうか、などと考えていた。

彼は優しかった。笑顔が眩しかった。特にSEXの話は敢えてしなかったが、それでよかったと思う。やりまくっていたとしても知らなくていい事だ。仕事の事、トレーニングの事、そんな話をしているのが楽しかった。直感だがこの男はSEXから入る出会いが多かったのではないだろうか。ヤリ目的というのと少し違うが、屈託なく会ってSEXしている姿がなぜか目に浮かんだ。会ってお茶をしてSEXする。そんな彼が容易に想像できたのだ。それはそれでいい。今日は会ってお茶をするだけだ。それを彼はどう思うだろうか。時間の無駄だったと思うのか、それとも。

バリタチの彼とはあれからもよく会っている。2人きりでこうして何度もカフェで会っていることが尊い気さえする。例えば彼に長年のセフレがいたとして、乱パで彼が常連とやりまくっていたとして、発展場で最高のウケを相手にしていたとしても、オレの方が上だ。比較対象にはならないだろう。やるだけの相手と言うのはどんなに最高の相手だとしても結局は所詮その程度のものだ。自分は違う。やらない相手と出会って好きになって、それからやるのがオレなのだから。

「また会おう」と言って伸ばした彼の手を握ると、なぜか彼は少しの間握手した手を放さなかった。



AV男優

2016-08-02 17:06:44 | 日記
「あまり脱ぐのは好きじゃないから」

都内で最も有名なビデオ男優はそう話してくれた。

「恥ずかしいから」

人は見かけによらないと言うが、本当にそうかもしれない。カメラの前でSEXをしている男性が、そうなのだから。

SEXに奔放だから、そういう仕事ができるのだと思っていた。そういう男は特に抵抗もなく人前で素っ裸になっているのだろうと思っていた。不必要に脱ぐ必要はないだろうが、ノリで脱ぐ機会は多いのだろうと。そう決め付けていた自分を恥ずかしく思う。人は誰しも他人には分からない秘密を抱えて生きている。彼も何か秘密を抱えてこの仕事を始めたのだろう。

「おかしいかな?」

ううん、全然。おかしいのはオレの方。

インスタグラムでなぜ脱がないのか、という話題を変えた。2杯目のアイスコーヒーを飲みながら彼の横顔を見ると、本当にいい男だと思った。若くてマッチョな彼は10年経ってもまだ今のオレより年下だ。そして今のオレとは比較にならない程の素晴らしい人生を送っているような気がする。

「今度一緒にトレーニングしようか」

「OK」

こうして、オレ達は何回目かのカフェを楽しんでいる。

第30回 東京クラス別 ボディビル 選手権 大会 2016 結果

2016-07-18 22:32:28 | 日記


【男子55kg級】(15名)8位入賞

順位 NO. 氏名

1 ① 北川 景太朗
2 ② 鳥谷部 智紀
3 ⑩ 須貝 誠志
4 ⑫ 高嶋 学
5 ⑧ 小原 武恵
6 ⑤ 関野 浩二
7 ③ 川田 明彦
8 ⑮ 中村 敏

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【男子60kg級】(20名)10位入賞

順位 NO. 氏名

1 ⑨ 井戸 昭成
2 ② 川上 大輔
3 ⑱ 井上 淳
4 ⑦ 河田 岳宏
5 ⑭ 藤川 明利
6 ⑮ 山木 和弘
7 ⑥ 橋口 薫
8 ⑤ 溝呂木 雅之
9 ⑩ 片岡 敬三
10 ④ 後藤 譲

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【男子65kg級】(25名)12位入賞

順位 NO. 氏名

1 ㉑ 土金 正巳
2 ⑥ 田辺 晃
3 ⑤ 後藤 充
4 ③ 大島 幸生
5 ⑳ 平木 天平
6 ⑮ 加瀬田 喜代紀
7 ⑱ 宮田 勝実
8 ④ 市川 敏明
9 ⑰ 真島 洋一
10 ⑫ 大石 将寛
11 ⑲ 渕上 健司
12 ② 井上 博紀

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【男子70kg級】(26名)12位入賞

順位 NO. 氏名

1 ⑳ 嶋田 泰次郎
2 ⑦ 野中 直紀
3 ⑲ 梁 永洙
4 ⑬ 松坂 博文
5 ⑱ 三井 一訓
6 ② 小川 裕一郎
7 ③ 藤代 亮
8 ① 北島 崇
9 ⑭ 田子内 敦
10 ⑧ 渡部 工兵
11 ⑥ 木村 駿介
12 ⑤ 伊勢 龍顕

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【男子75kg級】(31名)12位入賞

順位 NO. 氏名

1 ① 河野 智洋
2 ④ サベリ モーセン
3 ㉕ 佐藤 正吾
4 ㉒ 石井 克昌
5 ⑩ 手塚 修
6 ⑮ 石井 努
7 ② 福田 岳
8 ⑪ 松本 泰典
9 ㉑ 米本 卓司
10 ⑱ 王 旭東
11 ⑲ 木村 憲之
12 ⑤ 雨谷 浩一郎

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【男子75kg超級】(19名)10位入賞

順位 NO. 氏名

1 ⑮ 白井 大樹
2 ⑥ ウバジャ ジュード オニカ
3 ⑬ 松頭 省
4 ⑪ 村井 信龍
5 ⑦ 野村 政盛
6 ⑨ 内田 貴
7 ⑭ 加島 健二
8 ⑰ 堀内 誠
9 ⑩ 小俣 大祐
10 ⑱ 萩原 悟

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日時 平成28年 7月18日 月・祝
会場 かつしか シンフォニーヒルズ
キーワード クラス別結果 2016東京クラス別 東京クラス別7/18 2016/7/18 東京クラス別結果


今日は脚トレにしようか

2016-07-12 00:43:49 | 日記
ジムでマッチョなイケメンを見て、「やりてえ」と思っているうちは、いつまでもしょぼいままだろう。永遠にその他大勢の一人だと思った方がいい。「あの脚すげえな、今日は脚トレにしよ」そんな風に思える男が、やがて大勢に憧れられる存在になっていくのだろう。

ジムにぱっと入った瞬間に、大体2、3人くらい桁違いの雰囲気の男達がいる。顔はおじさんだけどやたら体がカッコいい人、童顔で甘い感じなのに体がゴツくてギャップが凄い20代、カットは甘いけど凄いバルクの大学生、挙げていったらキリがないが、「どこか普通」でありながらも、凄いカッコいい男達がいつの日でもジムエリアで目に入る。大抵のゲイはそのような男達を見たら、「やりたい」「ち○こ見たい」「パンツ嗅ぎたい」「付き合いたい」等と思うのだろうが、やがてトップに駆け上がっていくようなゲイは、「ああなりたい」と真っ先に思うだろう。

モテたいなら体をとりあえずマッチョにすればいいのだ。その先にはあらゆる選択肢がある。美少年が好きでも体育会が好きでも年上が好きでも年下が好きでも、マッチョになりさえすれば全員手に入る。だから、そんなものはいらなくなるのだ。自分はサッカー選手のような男が好きだった。いつかそういう男と付き合いたいと思い筋トレを始めたのだが、ある程度筋肉が付いてくると、サッカー選手より先のものに目が行くようになった。最大のゴールだったはずのものが、一通過点に過ぎないものとなる。そんな男達こそが、キラキラと輝いている2、3人なのだ。


一緒に歩こう

2016-06-25 22:59:08 | 日記
「勃ってきちゃった」

初めて会ってお茶をした帰り、次は食事でも、と誘われた。いいよ、と答えてから数日後、彼の家の近くでスパゲティを一緒に食べた。好きな男と一緒であれば何でも最高の料理になる事を知った。出てきたアイスコーヒーもサラダも全てが美味しかった。好きでもない男であれば、食べ終わって少ししたら「そろそろ行きましょうか」となりそうなところ、好きな男の場合は、「何かドリンクでも頼みますか?」となる。そして帰りは遠回りをして公園を通り抜けた。

「ちょっと触っていい笑?」

真っ暗闇の公園は街灯に照らされていても前を歩く人がはっきりとは見えないほどだった。周囲に気付かれないようにそっと手を握ると、彼は照れながら勃起したと教えてくれた。スウェットの上から触ると堅いモノが手に当たってお互いに笑ってしまった。

エロい事が好きだという男は世の中多いと思うが、ではエロい事って何だろうと思う。鍛えたマッチョがエロい下着を穿いて挑発してきてそのまま最高にエロいプレイをする事だろうか。だとしたら自分は違う。好きな相手と手を握ったり部屋でいちゃいちゃしている方が何百倍もエロいと思うからだ。

やり目的の男というは寂しい男達なのかもしれない。SEXが一番エロいと思っているのだとしたら、だが。

既婚者

2016-06-25 14:08:51 | 日記
その男は、自宅の鏡の前で全裸でポージングするのが日課だった。人前で脱ぐ機会はないが、飲み会で強要されて全裸にさせられたいという願望があった。マッチョな自分があの手この手で脱がされて、チ○ポをじっくりと観察される事を想像すると勃起した。彼はもちろん女性が好きで、結婚もしていた。子供もいたし、筋トレが趣味のよくいるサラリーマンだ。ただ1つ変わった点は、男性の体に興味があった事だった。

筋トレに夢中になって体が見違えてマッチョになっていくにつれ、男性の体に目が行くようになった。あの脚は凄い、とか、カッコいい体だなあと思っていたのが、いつしか、あの憧れの体を触ってみたい、とか、あの最高の体だったら抱き合ったりしてもいいなと思うようになっていった。

「オレは頭がおかしくなってしまったのか?」

鏡の前で自分の裸を見ながらあちこち触ってオナニーするのがたまらなかった。男は嫌だけど、自分とだったらSEXしてもいい。いや、これ以上の体のヤツだったらしごいたりしゃぶったりしてもいいかもしれない。元々Mだったのもあるが、完璧な体作りを追求していくうちに、ノンケとゲイの境界線が揺らいだ。

パンプアップしてから鏡の前でパンツを脱ぐと仮性包茎のチ○ポが目に入った。しごいて勃たせると黒ずんだ亀頭がぴくぴく震えていて、いつも通りに色々体をいじって鏡に射精した。この最高の瞬間を誰にも見せないのはもったいない。そう思うと、彼は海外サイトに自分の射精した動画をアップするようになった。LIVEチャットをしたいとは思わない。一方通行だが動画を掲載してコメントを見ることで反応を確かめた。

都内に住む日本人の男性からメッセージが届いた。外人からは大量にメッセージが送られて来てはいたが日本人から来るとは思っていなかったので嬉しかった。開くとプロフィールが添えてあり、体の画像も添付されていた。

ゲイには興味がない。男とSEXなんてしたくはない。でも自分のオナニーは見て欲しい。ジムで着替えている時にジロジロ裸を覗き見られるのも内心嬉しかった。手を出されたくはないが、自分の体がゲイのおかずにされていると思うと興奮した。

「よかったら会いませんか?」

この日本人男性はかなり鍛えている。会うのは怖いと思ったが、カフェでの待ち合わせだったし、成り行きでラブホテルに行くことになったとしても、オナニーを直接見てもらったり、触る程度であればむしろ興味がある。男の自分が何かされる事もないだろう。変な安心感が背中を押してくれた。

「はい、ぜひお願いします」

オレが先日カフェで待ち合わせたのが、既婚者の彼だ。

スーパーヒーロー

2016-06-21 23:39:44 | 日記
大塚ゴールドに行くと、ラウンジにはいつもの笑顔が待っていた。

「今日も一緒に頑張りましょう」

彼の笑顔が好きだった。「好き」と言っても恋愛のそれではない。自分は決してノンケを恋愛対象にはしない。

「はい」

素直に返事をしている自分に驚く。実は彼の為にこの曜日だけ大塚ゴールドジムに通っていたのだ。ファンだとか追っかけではない。ただ約束を守りたかっただけだ。

オレは彼が大学生の頃から知っている。ジムで会った時に就職は?と聞いたら、「トレーナーになりたいです」と笑って答えてくれた。「じゃあ、オレがお客さんになってあげるよ」こんな他愛もない約束が2人の人生を変えた

1番目の客はオレだった。トレーナーと客。彼はオレの先生になった。社会人になった彼の顔に以前のあどけなさはもうない。「先生」と一緒にトレーニングすることが自分の人生において、いつしか大きな心の支えとなっていった。

「好きな人が出来ました」

彼女ができたと報告を受けた。いつか直接紹介すると言われたが、オレの知っている人の様でもあった。

「おめでとう」

彼とオレが初めて出会って、彼はトレーナーになって、そんな彼に彼女ができて、その間に5年の月日が流れていた。次に報告を受けた時は「今度結婚します」だった。

「そのTシャツ、自衛隊っぽくてカッコいいですね」

「航空自衛隊のTシャツだよ。」

「え、何でそんなTシャツ持ってるんですか?」

「さあね。」

彼がこの世を去ったのは、それからすぐだった。悲しいとか、そういった感情は湧かなかった。当たり前にいつも会っていた彼ともう会えないんだ、という気持ちと、もうオレは大塚には来ないかもしれないな、とだけうっすらと思っていた。

「あの、これからもずっと通って頂けますか?」

心配してくれた社員に声を掛けられた。退会はしないが他店に通うつもりでいた。大塚ゴールドは思い出が多過ぎて、あまりにもつらかったのだ。でも不思議とこう答えていた。

「分かりました。」、と。

彼と出会えて、本当にいい人生だったと思う。






インスタグラム

2016-06-12 00:23:18 | 日記
プロテインのイメージモデルをしているノンケの選手と食事をした。FBは知人とだけクローズドな感じだったがインスタグラムは華やかだった。美味しそうな食事や風呂上りの姿などが定期的にアップされている。彼のインスタグラムを一緒に見ながら1枚1枚解説してもらった時は、何だか舞台裏を覗き見た感覚がして嬉しかった。

「腹減った」

「じゃあ、どこかで食べて行って下さい」

元々は食事をする予定はなく別件でお会いしたのだが、「腹が減った」と言ってたのでどこかで食べて行って下さいと伝えた。自分は新宿で食べるつもりだったから、ここで別れればいいかなと思っていたのだ。

駅まで歩いている途中で、あの焼肉屋旨そう、あの店何かな?とずっと言っているので笑ってしまった。

「美味しい店がすぐそこにありますから、オレも一緒に行きましょうか?」

「はい!」

一緒に頼んだランチの画像が彼のインスタグラムに追加される。
こういうのもいいな、と、ちょっと思った。


航空自衛隊という生き方

2016-06-10 00:16:37 | 日記
その男が音楽を聴きながら窓の外に目をやると、航空自衛隊防府南基地が目に入った。特に何の迷いもなく入隊試験を受けたが、晴れて受かってこうして基地にやってきたというのになぜか寂しさが込み上げてきた。もう到着するのだと悟り音楽プレーヤーをかばんにしまい込むと、車内のアナウンスに従い外に降り立った。夏の山口県は灼熱という言葉がまさに相応しい。まるで地獄の業火の中に向かって行くかのようにグラウンドへと向かった。

同じ自衛隊でも陸上や海上に比べたら航空はましだろう。しかも昔の航空自衛隊員はクーラーも携帯もなかったと聞いた。それに比べたら自分は幸せな人間だ。そう言い聞かせて毎日を過ごした。起床時のラッパには最後まで慣れなかったが、消灯後に窓から見える漆黒の空を眺めているのが好きだった。四六時中大勢と暮らしているせいか、時折一人になりたくなる。6人部屋だったが、5人がさっさと寝付いてしまうので、この静寂の時だけ一人になれた気がする。一切の光が存在しない暗闇では皆一人なのかもしれない。

初めてシャワーを使わせてもらったのは入隊して1ヵ月が経った頃だっただろうか。毎晩皆で揃って大浴場に行かなければならなかったので、3分間だけだったが列に並んで個室のシャワーが許された。ボディシャンプーで体を洗っていると指が乳首に当たる度に変な気分になった。そういえば1ヵ月もオナニーをしていなかったと気付くと突然勃起した。あと1分半ある。曇りガラスの後ろにはずらっと隊員達が全裸で並んでいるのが見えたが構うもんか、と背中を向けたままチ○ポを一気にしごき上げて射精した。黄色に近いゼリー状の精液が大量にボタッボタッと飛び出し、まだ止まらないのかよ、と凄まじい程の快感の中で精液を出し尽くした。時間が無い。立ちくらみとめまいで立っていられない状況だったがチ○ポを握りしめたまま何とか呼吸を整えた。「時間だ」と教官がドアをノックしたので返事をした後、勃起したチ○ポのままドアを開けた。

指折り数えた新隊員課程の「卒業日」は、いつの間にかやって来た。いつも通り平等に時間が過ぎて行ったのだとは思うが、後半から速度を増した気がする。不思議な事にこんな生活にも慣れるのだ。煩わしかった共同生活もなぜか愛おしく思えてくる。もちろんこんな生活はごめんだし、このままずっと続いたら発狂するかもしれない。なのに、みんなと別れるのは嫌だと思った。バスに乗り込むときに何とはなしに振り返ると教官の半分が泣いていた。仕事とは言え、自分の子供くらいの新隊員に対して一貫して容赦なく厳しく接しなければならなかったのは時にはこたえただろう。ラグビーや野球部出身のごつい新隊員が何人も夜泣いているのを目にしたものだ。それももう終わる。ホっとはしたが涙は流れなかった。

珍しく日差しが強い日が続く中、昼休憩で近所の弁当屋に向かうと丁度赤信号に引っかかってしまった。何気なく見上げると日差しに照らされて輝く街路樹が目に入った。ぼーっと見つめているとグラウンドを走る大勢の掛け声が遠い記憶から聴こえてきた気がした。

君を守る

2016-05-29 23:55:20 | 日記
「ドライブしよっか」

カフェで顔を上げると画像で見た男性がいた。初対面の挨拶を済ませてコーヒーを一緒に飲んでいると、なぜか心が落ち着いた。まるで長い知り合いといるようなそんな感じだった。次は家で料理作って、と冗談で言うと、彼は「いいよ」と答えた。

「何食べたい?」

彼とスーパーで食材を選んだ。こんな事を一緒にできる男は世の中に何人いるのだろう。

「お風呂に入りたいな、一緒に」

彼とは毎週末にデートを重ねた。いつも一緒にいたいと言われた。彼は地方から出て来て不慣れな東京で就職した。仕事や色々な事で悩みを抱えながらも一生懸命生きている彼を思うと胸が締め付けられた。上手く言葉が出てこないが、「守ってあげたい」といったらいいだろうか。

「守ってあげるよ」

彼の話を聞くのが好きだった。グラフィック関係の仕事をしていて、よく作品を見せてくれた。2人で1つのスマートフォンを覗き合って過ごした時間は、永遠に心に残るだろう。そして、取るに足らない事で若かりし日の2人は別れた。

「出会えてよかったと思っているよ」

ありがとう。いつかまた。


赤や青

2016-05-28 17:19:12 | 日記
家で料理はしますか、と聞かれると、「あまりしない。でも誰かと暮らす事になったら毎日作ると思う。」と答えている。

家にコーヒーメーカーはありますか、と聞かれると、「持っていない。でも誰かと暮らす事になったら購入すると思う。」と答えている。

おしゃれなグラスとかカップとか持っていそう、とか、インテリアに凝っていそう、とか色々と聞かれるが、どれも持っていないし興味もない。自宅も白や黒ばっかりだし、何かを飾ろうとも思わない。でも、もし誰かと住むことになったら、その時は赤や青の物を置いてもいいと思っている。


あなたの話をきかせて

2016-05-24 23:36:30 | 日記
こんなにも人を好きになれたのは、いつ振りだろうか。
好き。本当に好きだと思った。そして、これは恋愛の好きではなかった。

ジムで目立っていたノンケの男性とお茶をした。モデルをしているのでとても忙しい事は分かっていたが、2人でこうして会うまでに随分と時間を要してしまった。指定の日時に都内のカフェで待ち合わせると彼が店内に現れた。

「遅れてすみません」

「いえいえ。はじめまして。」

好きなものを頼んで下さい、と伝えると彼は笑顔でこちらを見つめた。この笑顔をこんなに間近で見られるのならもっと支払ってもいいと思った。

恋愛の話を聞かせてもらった。好きだったコの事、そのコの為なら何でもできると思った事、そのコの事がずっと好きだったといった話を一点集中して引き出した。こんなに遊んでそうな男がこんなにも純粋な恋愛をしてきたことが嬉しかった。ああ、好きだなと目の前の男の顔を見ながら思った。もちろん恋愛の意味ではない。自分がもし女だったとしたらなどと思う事もない。普通にこの男が好きだと思ったのだ。こんな気持ちが自分に存在していた事にこそ驚く。

「別れちゃいましたけどね」

どこか哀しそうな瞳が印象に残る。

この男がジムで鍛えている時、何人ものゲイが無意識に見ている事を知っている。派手でゴツくてかっこいい。そんな男が普通の恋をして、別れて、どのように立ち直ったのだろう。

「ケンカばかりしていましたけど好きでしたね」

ここまで桁違いのイケメンは、決して手が届かないところに存在するものだと思っていた。会話したところで話が噛み合わないだろうと思っていた。それ程に彼と自分は立ち位置が違う。それなのに、2人で会って、一緒にコーヒーを飲んで、普通の話に共感し合いながら過ごした時間が奇跡のように思える。彼は本当に普通の男性だった。

「また会いましょうよ」

駅に着くと彼はそう笑顔で約束してくれた。




フォトグラファー

2016-05-21 22:09:43 | 日記
その男は歌舞伎町を歩いていた。遅いランチを食べに来ただけだったが、なぜかこの街は落ち着く。そういえば歌舞伎町が好きな人間は心が寂しい人間だとどこかで聞いたことがある。そうかもしれないな、と一人笑うと、いつもの通りを歩いた。

美しい女性が風俗店の入居するビルに入っていくのが目に入った。よく目にする光景だが、何とはなしに見つめていると目が合った。

「あ!」

「え!?」

昔、いつも見ていた顔がこちらを振り向いた。

「なにしてんの、こんなトコで?」

「私ね、ちょっとここで働いているんだ。」

好きだった。でも別れた。好きなだけではどうにもならないことがこの世にあることをその時知った。

「そうだ、ちょっとコーヒー飲みに行こう。」

「待って、仕事があるのよ。」

その後彼女に何があったのか。あの時別れなかったら、こんな人生にはなっていなかっただろうか。

「いいから来いよ!」

腕を掴むと、なぜか全く抵抗せずに一緒に歩いてくれた。

「仕事、どうする?」

「いいわよ別に。あなたは今何してるの?」

「写真とか撮ったりしてるよ。」

好きだった。でも別れた。それでも幸せな人生だったと思う。

閃光

2016-05-20 22:14:13 | 日記
台湾にいた頃は女に不自由しなかったが、男が好きな彼にとってはあまり意味はなかった。通っていたWORLD GYMにいい男達は沢山いたが、あまりタイプではなかった。台湾に生まれたのに、台湾の男が好きではなかったのだ。

ネットで見る日本の男達に憧れた。洗練された顔立ちに引き締まった体。どれも台湾の男達には無いものだと思った。俳優のような顔だと女性からちやほやされた大学生活を終え、気付いたら東京に向かっていた。

日本語学校は楽しくて大変だった。クラスメートは台湾人ばかりではない。自己主張が強い同級生達とはいざこざが絶えなかったが、今にして思えば尊い1年間だったと思う。そして、学校入学と同時に憧れのゴールドジム原宿東京に入会した。

「カッコいいよね」

引っ込み思案だった自分は東京では変わろうと決意した。宝石箱のように煌く男達が大勢通うこのジムで友達を作りたいという一心で、全く話せない日本語を駆使して、桁違いにカッコいい会員ばかりに声を掛けた。

「そうそう、原宿はみんなカッコいい!」

日本人はみな優しかった。片言の日本語だったせいもあるだろうが、いい男達は留学生にいつも手を差し伸べてくれた。どこで野垂れ死んでも構わないという覚悟で日本にやってきたが、死ぬなら原宿ゴールドで死にたいと彼は心底思った。

「あなたのことだよ」

マッチョになり、日本語も不自由なく話せる彼は笑いながら、東京に来て良かった、と話してくれた。