いい女よりもいい男の数は少ない

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航空自衛隊という生き方

2016-06-10 00:16:37 | 日記
その男が音楽を聴きながら窓の外に目をやると、航空自衛隊防府南基地が目に入った。特に何の迷いもなく入隊試験を受けたが、晴れて受かってこうして基地にやってきたというのになぜか寂しさが込み上げてきた。もう到着するのだと悟り音楽プレーヤーをかばんにしまい込むと、車内のアナウンスに従い外に降り立った。夏の山口県は灼熱という言葉がまさに相応しい。まるで地獄の業火の中に向かって行くかのようにグラウンドへと向かった。

同じ自衛隊でも陸上や海上に比べたら航空はましだろう。しかも昔の航空自衛隊員はクーラーも携帯もなかったと聞いた。それに比べたら自分は幸せな人間だ。そう言い聞かせて毎日を過ごした。起床時のラッパには最後まで慣れなかったが、消灯後に窓から見える漆黒の空を眺めているのが好きだった。四六時中大勢と暮らしているせいか、時折一人になりたくなる。6人部屋だったが、5人がさっさと寝付いてしまうので、この静寂の時だけ一人になれた気がする。一切の光が存在しない暗闇では皆一人なのかもしれない。

初めてシャワーを使わせてもらったのは入隊して1ヵ月が経った頃だっただろうか。毎晩皆で揃って大浴場に行かなければならなかったので、3分間だけだったが列に並んで個室のシャワーが許された。ボディシャンプーで体を洗っていると指が乳首に当たる度に変な気分になった。そういえば1ヵ月もオナニーをしていなかったと気付くと突然勃起した。あと1分半ある。曇りガラスの後ろにはずらっと隊員達が全裸で並んでいるのが見えたが構うもんか、と背中を向けたままチ○ポを一気にしごき上げて射精した。黄色に近いゼリー状の精液が大量にボタッボタッと飛び出し、まだ止まらないのかよ、と凄まじい程の快感の中で精液を出し尽くした。時間が無い。立ちくらみとめまいで立っていられない状況だったがチ○ポを握りしめたまま何とか呼吸を整えた。「時間だ」と教官がドアをノックしたので返事をした後、勃起したチ○ポのままドアを開けた。

指折り数えた新隊員課程の「卒業日」は、いつの間にかやって来た。いつも通り平等に時間が過ぎて行ったのだとは思うが、後半から速度を増した気がする。不思議な事にこんな生活にも慣れるのだ。煩わしかった共同生活もなぜか愛おしく思えてくる。もちろんこんな生活はごめんだし、このままずっと続いたら発狂するかもしれない。なのに、みんなと別れるのは嫌だと思った。バスに乗り込むときに何とはなしに振り返ると教官の半分が泣いていた。仕事とは言え、自分の子供くらいの新隊員に対して一貫して容赦なく厳しく接しなければならなかったのは時にはこたえただろう。ラグビーや野球部出身のごつい新隊員が何人も夜泣いているのを目にしたものだ。それももう終わる。ホっとはしたが涙は流れなかった。

珍しく日差しが強い日が続く中、昼休憩で近所の弁当屋に向かうと丁度赤信号に引っかかってしまった。何気なく見上げると日差しに照らされて輝く街路樹が目に入った。ぼーっと見つめているとグラウンドを走る大勢の掛け声が遠い記憶から聴こえてきた気がした。