ハロウィンの新宿2丁目は大勢の人でごった返していた。奇跡的にココロカフェで席が取れたのでケーキを食べながらお互いの話をしているのが心地よかった。彼は明日仕事が早い事を知っていたので、22時頃に席を立った。再び混雑する仲通りに放り込まれて2人して顔を見合わせて笑ってしまった。
自分はゲイでありながら、ゲイの世界に馴染めていない事を知っている。ゲイと恋愛を重ねてきておきながら、相手にノンケっぽさを求めて破綻してきた事も知っていた。顔も体も完璧な男達と恋愛する事は他の男達の羨望の眼差しを一身に受けるという意味では最高の遊びであったが心が満たされる事はなかった。長い旅を経て気が付いたのは、与える恋がしたいという事だった。
「人がいない場所はないかな?」
「じゃあ、裏道から駅に向かおうか」
地方からやってきた彼は目を真ん丸にして2丁目を見ていたがすぐに疲れてきてしまったようだ。早く帰してあげたい。自然と彼の横顔をみながら、そう思った。
ちょっといい事があった時はつい彼にLINEで報告していた。何か面白い話を聞くと今度会った時に彼に話してあげようと思うようになっていた。おしゃれなカップを見つけた時は、彼とお揃いで買ったらどうかなと考えるようになっていた。
いい男を見てSEXしたいと思うよりも「ああなりたい」「どうしたらああなれるのか」と自分は考える。自分がいい男になる事が全てであり、その他はどうでもいいという人生を歩んできた。そんな自分は、30を過ぎて、他人に何かを与える恋愛を望んでいる。何かをしてあげるということではない。相手の為に生きるということだ。自分の為ではない。
死ぬほど忙しい彼のスケジュールを押さえる気はなかった。毎日LINEでやり取りしようと思ってもいなかった。出会って好きだとは思ったが、無理してオレと会ってくれるよりも彼が毎日1時間でも多く寝られて元気に出社できた方がよかった。だからそう伝えた。幸せにしたい、とも。
「もう、幸せかも」
部屋でいつまでもゆっくりできる相手が本当のタイプなのかもしれないと思う。
自分はゲイでありながら、ゲイの世界に馴染めていない事を知っている。ゲイと恋愛を重ねてきておきながら、相手にノンケっぽさを求めて破綻してきた事も知っていた。顔も体も完璧な男達と恋愛する事は他の男達の羨望の眼差しを一身に受けるという意味では最高の遊びであったが心が満たされる事はなかった。長い旅を経て気が付いたのは、与える恋がしたいという事だった。
「人がいない場所はないかな?」
「じゃあ、裏道から駅に向かおうか」
地方からやってきた彼は目を真ん丸にして2丁目を見ていたがすぐに疲れてきてしまったようだ。早く帰してあげたい。自然と彼の横顔をみながら、そう思った。
ちょっといい事があった時はつい彼にLINEで報告していた。何か面白い話を聞くと今度会った時に彼に話してあげようと思うようになっていた。おしゃれなカップを見つけた時は、彼とお揃いで買ったらどうかなと考えるようになっていた。
いい男を見てSEXしたいと思うよりも「ああなりたい」「どうしたらああなれるのか」と自分は考える。自分がいい男になる事が全てであり、その他はどうでもいいという人生を歩んできた。そんな自分は、30を過ぎて、他人に何かを与える恋愛を望んでいる。何かをしてあげるということではない。相手の為に生きるということだ。自分の為ではない。
死ぬほど忙しい彼のスケジュールを押さえる気はなかった。毎日LINEでやり取りしようと思ってもいなかった。出会って好きだとは思ったが、無理してオレと会ってくれるよりも彼が毎日1時間でも多く寝られて元気に出社できた方がよかった。だからそう伝えた。幸せにしたい、とも。
「もう、幸せかも」
部屋でいつまでもゆっくりできる相手が本当のタイプなのかもしれないと思う。