いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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いい日だった

2016-12-12 23:48:12 | 日記
「仕事で嫌な事ばっかりだったけど」

顔を出していない男性と待ち合わせた。仕事帰りに指定したカフェに来てくれるということだった。今から何分の電車に乗ります、と連絡をくれたので幸せな気分になった。初対面でこういうゲイはなかなかいない。


「会えたから何かよかった」

台湾のゴーゴーに似ている男性がスマホを見ながらこちらに向かってくるのが見えた。送ってくれた相手の服装そのままだったので、まさかと思いながらも手を挙げてみると、笑顔で走って来た。

若いのに、家庭の事情でいくつもの仕事をして生活していると話してくれた。だから恋愛もしてこなかったし、遊んでもいないんです、と微笑んでいた。世の中にはこんなに立派な人がいるんだな。一生懸命働いて、でも自分の幸せは最初から諦めている人が。彼の笑顔が好きだった。体はオレの為に鍛えると言ってくれたが、そんなものはいい。トレーニングなどしないで、ぜひゆっくり寝て欲しい。

「何で会ってくれたの?」

「何でだろうね」

この子は世間の誰が見てもカッコいい。そして、安易に体を売ったりせず休みなく働いている。家が遠くて、月に休みが何日あるのか分からないような生活だ。好きだとは思ったが、好きになる事は現実的ではなかった。彼がオレとデートした分、彼の収入が減る。彼を幸せにしたいと願っても、一体いつまでこちらもなかなか会えない関係に耐えられるだろう。世の中には好きなだけではどうにもならない事があるのだ。例えば今回の様に。

同情だとかそういう感情ではない。頑張っている彼の為に生きていきたいのだ。彼を思うと胸が締め付けられたが、恋焦がれてというより彼の健気さがいつか消えてなくなりそうで守ってあげたくて苦しいのだ。本当に愛しているというのは、こういう状態なのかもしれない。彼の事は好きだし大切にしたいと思ってはいるが、手を出すべきではない気もした。

彼を送った帰り道で彼からLINEのメッセージが届いた。

「今日はいい日だった」

と。