いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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あなたの話をきかせて

2016-05-24 23:36:30 | 日記
こんなにも人を好きになれたのは、いつ振りだろうか。
好き。本当に好きだと思った。そして、これは恋愛の好きではなかった。

ジムで目立っていたノンケの男性とお茶をした。モデルをしているのでとても忙しい事は分かっていたが、2人でこうして会うまでに随分と時間を要してしまった。指定の日時に都内のカフェで待ち合わせると彼が店内に現れた。

「遅れてすみません」

「いえいえ。はじめまして。」

好きなものを頼んで下さい、と伝えると彼は笑顔でこちらを見つめた。この笑顔をこんなに間近で見られるのならもっと支払ってもいいと思った。

恋愛の話を聞かせてもらった。好きだったコの事、そのコの為なら何でもできると思った事、そのコの事がずっと好きだったといった話を一点集中して引き出した。こんなに遊んでそうな男がこんなにも純粋な恋愛をしてきたことが嬉しかった。ああ、好きだなと目の前の男の顔を見ながら思った。もちろん恋愛の意味ではない。自分がもし女だったとしたらなどと思う事もない。普通にこの男が好きだと思ったのだ。こんな気持ちが自分に存在していた事にこそ驚く。

「別れちゃいましたけどね」

どこか哀しそうな瞳が印象に残る。

この男がジムで鍛えている時、何人ものゲイが無意識に見ている事を知っている。派手でゴツくてかっこいい。そんな男が普通の恋をして、別れて、どのように立ち直ったのだろう。

「ケンカばかりしていましたけど好きでしたね」

ここまで桁違いのイケメンは、決して手が届かないところに存在するものだと思っていた。会話したところで話が噛み合わないだろうと思っていた。それ程に彼と自分は立ち位置が違う。それなのに、2人で会って、一緒にコーヒーを飲んで、普通の話に共感し合いながら過ごした時間が奇跡のように思える。彼は本当に普通の男性だった。

「また会いましょうよ」

駅に着くと彼はそう笑顔で約束してくれた。




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