久々にヤりたくなって、でもジムにも行きたかったし、どうしようかなと迷った末、どっちも実行することにした。時間があまりなかったので、脱ぎ捨ててあったサッカーのジャージを着て、まずジムに行った。メニューはコーチにいつも組んでもらっているので、オレ自身で考える事はなかった。流れるようにトレーニングを終えると、ジャージ姿のまま一旦帰宅し、新宿行きの電車に乗った。今から1対1で出会ってる時間はないので、ヤリ部屋でいいや、と決めていた。
シャワーを浴びて通路を歩いていると、値踏してくる大勢の視線が突き刺さった。そのまま暗闇に入ると、奥の個室で一人、腰を下ろした。あと30分、やりたい相手がいなかったら帰ろう。ジムの事や会社の事、その他いろいろな事を考えているうちに誰かが入ってきた。さっきからひっきりなしに、いろんな人がやってきている。顔を上げるのももう面倒で、うつむいたままでいると、彼の影は突っ立ったままだった。ふと、見上げると、今日最も目立っていたボディ・ビルダーのような男性がオレを見つめていた。不精ヒゲに坊主が伸びた感じの頭が目に入った。目がくりくりした二重で少しタレ目の彼の腕を掴んで引き寄せると、オレの肩に腕を回し、黙ってキスをしてきた。目を開けると彼はまだ、目を閉じたままだった。
「オレんち、ここから10分くらいなんだ。今度はメシ食いに行こうよ!!」
別の方向へ帰る彼はそう言って、オレに番号とアドレスを書いた紙を渡してくれた。
「そのジャージ、似合うよ。」、とも。
駅のホームに並びながら、オレはもらった紙を確かめた。
この彼に恋した人は今まで何人いたのだろうか、と、そんな事を考えながら電車を待っていた。
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最後の文章がいかにもKITKATさんらしくて個人的には好きです。
★管理人★
どうも、ありがとうございます。
別れた後の気持ちを、なんかオレは伝えたいですね。
こういう文章読むと、行きたくなっちゃうなあ 笑
ちょっとだけ「素敵なであいだなあ」って思いました。
★管理人★
切ないですねえ・・・。