長岡育英センター・ブログ

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朝焼け、成長、「見えないもの」

2006-12-05 23:05:40 | 川上のひとりごと日記



天 
       山之口獏


草にねころんでいると
眼下には天が深い



太陽
有名なものたちの住んでいる世界

天は青く深いのだ
みおろしていると
からだが落っこちそうになってこわいのだ
ぼくは草木の根のように
土の中へもぐりこみたくなってしまうのだ




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きょう、1年生と音読で読んだ詩です。
とても素敵な詩です。

わかるわかる。共感しつつ、深い何かが
こもっているようにも感じる味わいある詩です。



ところで、今朝の空を見ましたか?
美しい、朝焼けが東の空に広がっていました。


思わず喜んで写真を撮ってしまいました。

窓を開けたら冷たい空気が部屋に流れ込み、
たちまち寒くなってしまいました。

でも、そうしてでも撮りたい空でした。


さて、子ども達と音読をしながら、わたしは
青空のことを思い出しました。

子ども達は入徳館のキャンプで芝生に寝ころんで
みんなで見上げた角田山麓での夜空のことを
思い出していました。

それはそれで嬉しい話しでした。


それから、わたしはこの朝焼けの空を思い出しました。

それから「夜明け前が一番暗い」という諺を
誰かが確か言っていたなぁと思い出したり。


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それにしてもこの詩は、視点を変えると
見えるもの=見え方が変わってくるということです。
子ども達には面白い考え方ですよね、きっと。

そうそう、そう思ったことあるっていう人や
そんなこと考えたこともないって人がいます。



ところでわたし達は、人間である以上自分の視点は
一カ所にしかありません。

実際は2つの目で見ているから視点は2つでしょうか?
右目と左目で見ているものは別々のものには見えず、
一つと認識されているので、視点は一つと考えられますね。


ここで、わたし達の社会生活ということを考えてみると、
物理的には視点が一カ所であっても、
この「物理的一カ所の視点」=「目から見える視点」
だけで成長して社会に出られる大人は、
いないんではないでしょうか。

自分の視点以外にも、いろんな視点から物事を見ることができる、
あるいは少なくともそのことを理解しているということが
大人になるための、大切な条件の一つなのではないでしょうか。

そして、それができる人が大人として認められたり、
評価されたりする。

ぼくの側からの見方もあるけど、そちらから見れば
そんな見方ももちろんアリだよねとか、また違うところから
見ればそんな考え方があっても良いですねとか。

自分より強い者の視点もあるし、自分より弱い者の視点もある。
自分の仲間の視点も、敵対的な視点もある。
経験者・年長者の視点もあれば、若いフレッシュな視点もある。


それが子ども達の段階は、発達段階、成長段階ですから
なかなか自分以外の視点を持つことが難しいです。

もちろん、完全ではないからこそ「子ども」なんです。
完全だったら子どもじゃなく、大人です。

完全じゃない大人もいっぱいいますが。


が、これは学年に関係なく、なかなか身に付けられないことも
あります。あるいは、すでに学年が小さくても身に付けてる人も
いたりします。

常に自分の視点ばかりでものを言ってしまう人、自分の視点で
判断してしまう人がいます。子ども達でも、大人でも。
また何歳になっても。


違う角度から物事を見ると、違った視点があって、
だから人も違う考え方があって、違うやり方がある。
そういうことに気付く、そう言うことを学ぶべきところが
学校であり、センターであり、それを学ぶべきことが
子ども達の最大の仕事の一つではないかとおもうのです。

「大人になる」ために、自分以外にも多くの視点が
存在しているんだということを、一つでも多く学ぶことが
成長のための条件、子どもの重要な仕事なんだと思うのです。
もちろんそれだけじゃないけど。


でもそれら視点を知ることとその他者の視点を尊重することから、
寛容、優しさ、思いやり、いたわり、慈しみ、配慮、気配り、
愛情、感謝、などの元が学べるのではないかと思うのです。

それが集団で日々生活することの一つの意味でもあると
思うのです。日々そうした他者の視点に気付くことが、
そしてその他者の視点を排除したり、否定するのではなく、
認め尊重し、自分と違っていれば話し合ったりすることが、
集団でいることの大きな意義だと思うのです。
集団でなければ学べないことだと思うのです。


でなければ、一人で家にいた方がいいのかもしれないし、
一人の方が幸せかもしれないと思うのです。


いや、一人で幸せなことなどそうないと思いますが。



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きょうの育英センターではそれらを考えさせられることが
いくつかありました。

どれも、自分たちの視点を少しずらしてみるだけで、
みんなが幸せになれたかもしれないし、
自分と違う視点をもつことで得ることもあったかもしれません。

一歩一歩は難しいし、足元だけ見ていると辛いこともあるけど
遠くの目標を見据えつつ、日々を足下を踏み固めて歩いていくしか
ないと思っています。


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みんなと同じくらいの頃、小学校の帰り道でした。

なぜか足もとが気になったのか、寒かったのか、あるいは
単なる癖だったのか、学校で嫌なことがあったのか、
ケンカでもしたのか、女の子に嫌われたのか、
小学生だったわたしは、下ばかり見て背中を丸めて、
おまけにきっと陰気な表情して、下校してきたのでした。


すると、たまたま玄関の前に立って見ていた、
わたしのおばあちゃんが言いました。


「まさのり、なーに下ばっかり見てるがら(みているんだ)?
 もっと背筋伸ばして、前見て歩けてー(歩きなさいよー)!」

おばあちゃんに言われてハッとした、そんなことを
ふと思い出しました。


転ばない、失敗しないために、足もと見てるのも大事だけど、
それで下向いて暗くなって見えるようじゃ困るし、姿勢が
悪くなってはだめってことです。


目の前のことにばかりとらわれていてはダメってことです。
明るく、前を見据えて、胸を張って進みなさいって教えでした。

それからもう一つ大切なこと。

いろんなことを見ている自分があったとしても、
いろんなことに注意を払っていたとしても、
そうやっている「自分自身」の実の姿は、
生身の姿は人間である限りは、
絶対に外から自分の目で見ることはできないのです。

つまり、人間にとって最も「見えないもの」は、
自分だということでもあるのかもしれません。



いまだに忘れられないし、きょうみたいな日には思い出します。


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抽象的なことしか書けませんが、とりとめなくきょうはおしまいです。

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Change!! IKUEI!!
 by 川上