因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

劇団鹿殺しオルタナティブズ『轟きのうた』

2008-07-12 | 舞台
*李原案 丸尾丸一郎脚本・演出 公式サイトはこちら 下北沢楽園 15日まで
 オルタナティブズとは脚本家の丸尾丸一郎と、デザイン・音楽の李とのコンビにより、「型にはまらない」作品を作る試みで、今回が3作目となる。自分はこれが初見。猛暑の下北沢、目の前の「劇」小劇場には開演を待つ人が列を作り、右手の本多劇場では中村獅童主演の『羊と兵隊』があと30分で開演となる。こんなに劇場が近接していることに改めて感じ入る。

  ☆未見の方はこのあたりからご注意ください☆

 暗い穴蔵のような劇場の、最後列いちばん奥の席での観劇となった。舞台には砂が敷きつめられており、客席最前列には砂やそのほかのものが飛んでくるので注意を促すアナウンスが。この席なら大丈夫という安心感と、次第に濃くなっていく場内の空気のせいか、時折集中を欠いてしまった。丸尾丸版・旧約聖書創世記風に始まり、「轟きの村」という小さな共同体が崩壊していくさまが描かれる。

 これまでみた鹿殺しの舞台に比べると笑いの要素が少なく、客席の空気もまだ固い。オレノグラフティ演じる直也という少年と、両手に特徴をもつ3人の神の子たちと3人の神様たちの関係性がよく把握できず、1時間20分という上演時間の割には長く感じられた。

 ほんの1年半前までは鹿殺しという、このいささか物騒な劇団の名前すら知らなかった。何度か通ううちにいつのまにか「鹿殺しはこんな感じ」と自分で枠や形を作っていたのかもしれない(1,2)。オルタナティブズ。型にはまらないという心意気は、作り手だけでなく見る側にも必要だろう。終演後おもてに出ると道路が濡れている。にわか雨があったらしい。空気がひんやりしている。さっきまでの濃厚な空気にまだ頭がぼんやりしているが、まずは歩き出そう。

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