*フランツ・カフカ 原作 山元清多 台本・演出 林光 作曲・芸術監督 公式サイトはこちら 渋谷文化総合センター大和田・さくらホール 5月2,3日公演のあと全国を巡演
40周年記念公演第二弾 山元清多追悼公演 (1,2,3)
このホールへ行くのは今回がはじめてである。渋谷駅からのアクセスが少々わかりにくい上に、会場に着いてはじめて、「さくらホール」が4階にあることを知った。しかも2階席の場合、さくらホールに入場してから階段かエレベーターを使う。むろん渋谷文化総合センター大和田のHPにはさくらホールが4Fであることは明記してあるが、事前にそこまでみてこなかった。チケット精算の受付も長い列になっており、結果、自分が2階の座席に着いたのは開演時刻まぎわになってしまった。観劇前の心構え、下調べが不十分であったことを大いに反省する。
本作は『セールスマンKの憂鬱』のタイトルで1996年に初演され、その後『変身』として再演し、2009年はプラハはじめ東欧諸国4都市での公演が実現した。こんにゃく座の大切な財産演目である。短編小説『変身』だけでなく、カフカの日記や手紙に記されたことも織り交ぜながら進行し、カフカ自身が『変身』を読みながら主人公のグレゴール・ザムザを演じる劇中劇風のつくりにもなっている。
自分はこれまでこんにゃく座の舞台をとても楽しんでみていたと思う。確実で豊かな歌唱を聴かせ、演技をみせる歌役者、林光、萩京子の音楽は、その場で覚えて歌えるものと歌えないものがあるけれどもどちらも大好きだ。耳になじみ、心に染み透っていく。それは今回の『変身』も同じであった。なのにどういうわけか恐ろしいほど舞台に集中できず、あまりの表現になるが正直に書くしかなく、いっしょうけんめいみようとするのだが、起きても起きても眠気に襲われ、劇世界の熱やうねりを体感することができなかったのだ。
終曲の「出発」は、ナチスの強制収容所に送られたカフカの家族のすがたを歌うもので、ヨーロッパ公演ではこの曲を歌い終わったときに聴衆から熱い拍手があった由。「この場面で号泣を抑えるのに苦労する」との劇評ブログもあったが、自分はその思いに到達できず。林光と萩京子のアフタートークや、劇団員総出演のミニコンサートでようやくひとごこちついたけれども、非常に情けない。完敗であった。
楽しめなかった場合、それがなぜなのか、理由がどこに(みている自分か舞台のほうか)あるのかを考えるのだが、今回はそれすらできない。あまり遠くない将来、再演していただけませんでしょうか?今度はもう少しがんばってみます。
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