*ヘンリク・イプセン原作 矢野靖人構成・演出 公式サイトはこちら アトリエセンティオ 21日まで
5月から始まった特別企画SENTIVAL!の白眉を飾る舞台である。
センティオに行ったのは昨年の晩秋以来で、歩きながら少しずつ道筋を思い出す。
「松葉杖が浮いている」この台詞を聞いたのは、大学時代の講義である。当時のノートを読み返すと、近代演劇の父と呼ばれるイプセンのことを自分でも驚くほどいろいろ教わっているのである。しかしそれらが実際の上演をみる際に役立っているかと言うと、何一つ自分の血肉になっていない、というより忘れている。猫に小判とはこのことだ。自分とイプセンとは不運な出会い方をしたのだろうか。
ところが昨年秋、庭劇団ペニノ公演『野鴨』と思いがけない出会いを与えられた(1,2)。もう一度、いや最初からイプセンを読んでみよう。その喜びの延長に、今回の『ちいさなエイヨルフ』が連なっていたと思われる。とはいえ冒険的、前衛的な手法をしっかり受け止められる体質ではないので、相当な覚悟をもって観劇に臨んだ。うっかりすると爆睡だと。
☆この記事を何時に掲載できるかわかりませんが、公演は明日21が千秋楽です。ご注意くださいませ☆
白い壁と床、数脚の椅子とトランクでほとんど裸舞台である。俳優の演技や所作も、いわゆるリアリズム演劇の手法とは異なる。俳優によってト書きが読まれるあたりはリーディング的要素もあって、不思議なことにト書きを聴くうちに、目の前のドアがひとつずつ開いていくのに導かれて自分が歩いていくような感覚に陥った。照明や音楽の繊細な変化は、作り込んだ舞台装置や新劇的な演技よりも、はるかにこちらの想像力を掻き立てる。
気がつくと爆睡どころか、緊張感が途切れることなく舞台に見入っていた。大学時代に教わったことが役立っているのかその答はでないが、自分は年月を経てイプセンと再会できたのだと思う。これから秋にはデヴィッド・ルヴォー演出の『人形の家』、来年冬には庭劇団ペニノの『ちいさなエイヨルフ』が上演される。幸運に感謝したい。
5月から始まった特別企画SENTIVAL!の白眉を飾る舞台である。
センティオに行ったのは昨年の晩秋以来で、歩きながら少しずつ道筋を思い出す。
「松葉杖が浮いている」この台詞を聞いたのは、大学時代の講義である。当時のノートを読み返すと、近代演劇の父と呼ばれるイプセンのことを自分でも驚くほどいろいろ教わっているのである。しかしそれらが実際の上演をみる際に役立っているかと言うと、何一つ自分の血肉になっていない、というより忘れている。猫に小判とはこのことだ。自分とイプセンとは不運な出会い方をしたのだろうか。
ところが昨年秋、庭劇団ペニノ公演『野鴨』と思いがけない出会いを与えられた(1,2)。もう一度、いや最初からイプセンを読んでみよう。その喜びの延長に、今回の『ちいさなエイヨルフ』が連なっていたと思われる。とはいえ冒険的、前衛的な手法をしっかり受け止められる体質ではないので、相当な覚悟をもって観劇に臨んだ。うっかりすると爆睡だと。
☆この記事を何時に掲載できるかわかりませんが、公演は明日21が千秋楽です。ご注意くださいませ☆
白い壁と床、数脚の椅子とトランクでほとんど裸舞台である。俳優の演技や所作も、いわゆるリアリズム演劇の手法とは異なる。俳優によってト書きが読まれるあたりはリーディング的要素もあって、不思議なことにト書きを聴くうちに、目の前のドアがひとつずつ開いていくのに導かれて自分が歩いていくような感覚に陥った。照明や音楽の繊細な変化は、作り込んだ舞台装置や新劇的な演技よりも、はるかにこちらの想像力を掻き立てる。
気がつくと爆睡どころか、緊張感が途切れることなく舞台に見入っていた。大学時代に教わったことが役立っているのかその答はでないが、自分は年月を経てイプセンと再会できたのだと思う。これから秋にはデヴィッド・ルヴォー演出の『人形の家』、来年冬には庭劇団ペニノの『ちいさなエイヨルフ』が上演される。幸運に感謝したい。
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