いつまで続くのでしょうか、この残暑。因幡屋通信の原稿がしゃんとせず、芝居にいくゆとりもなく、ブログの更新もすすみませんが、9月のお芝居を励みにがんばります。
*こゆび侍第9回公演『Sea on a Spoon』
*オペラシアターこんにゃく座『想稿・銀河鉄道の夜』
*劇団東演『カース伯母さんの愛』
*elePHANTMoon#6 again『心の余白にわずかな涙を』(1,2,3,4)
*クロカミのタクラミvol.3『にねんいちくみ保護者会』
*ガラス玉遊戯vol.3『サマータイム、グッドバイ』
*視点vol.1『Re:TRANS』MU、ミナモザ(1,2,3,4,5,6,7,8,9)
、鵺的(1,2)による短編コンペティション
*スタジオソルト第14回公演『buzz』(1,2,3,4,5,6,6`,7,8,9,10,11,12,13)
イギリスの劇作家キャリル・チャーチルの『トップ・ガールズ』を読む。8月観劇の劇団フライングステージ公演『トップ・ボーイズ』(関根信一作・演出)は、この作品に想を得たもの。後者の舞台イメージが強く残っているので、過去の人物が現代に登場したり、1人の俳優が複数の役を演じたり、虚実織り交ぜた構成には抵抗なく入れたのだが、予想外に手強かった。人物のイメージが描きにくいのだ。巻末に92年公演の配役が記されており、主役のマーリーンは范文雀さんだったのねとしみじみしたり、アンジー役の白石加代子をどうしても頭のなかで動かせなかったり、劇団第七病棟の舞台以外での緑魔子を思い浮かべることが非常に困難であったり。
後半のマーリーンとジョイス(これが緑魔子)の激しいやりとりが、嵐がやむようにしずまった最後の場面。アンジーが起きだして、ソファにいるマーリーンに「ママ」と呼びかける。アンジーは「怖い」と言う。マーリーンは「悪い夢でも見たの?夢で何かあったの?もう目が覚めてるんだから、だいじょうぶよ、ね、アンジー」と優しく応えるが、アンジーはもう一度「怖い」と言って、これで終わりなのである。どんな空気のなかで幕を閉じるのか、これほど想像がつかない戯曲も珍しく、同時にもっと読みこんで何とかしたいと意欲を掻きたてられるものも久しぶりなのであった。
因幡屋9月のひとことは『トップ・ガールズ』の最後の台詞、「怖い」を選びました。このひとことが確かな手ごたえをもって聞こえてくるように。
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