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お粗末過ぎるNew York Times社説

2006年02月15日 17時24分24秒 | 時事放談: マスコミ編
もうすでに多くのブログで論じられているようですが、やはりここらで当ブログなりに記録・整理しておきたいと思います。

ゴウ先生が気づいたのは、朝日新聞の2月11日(土)付けの社説に次のようなものが載ったときでした。嫌な予感がしたのです。

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麻生発言 外交がとても心配だ

 かつて日本は朝鮮半島や台湾を植民地にした。しかし、それは必ずしも悪いことではなかった。麻生外相はそう言いたくて仕方がないかのようだ。

 先週末、福岡市での講演で、日本が戦後のアジア各国の発展を支えたと説くなかでこう述べた。

 「日清戦争のころ、台湾という国を日本に帰属することになった時に、日本が最初にやったのは義務教育です。貧しい台湾の人々が子どもを学校にやったらカネをやるという大英断を下した」

 「結果として、ものすごく教育水準があがって識字率が向上した。おかげで、台湾という国は極めて教育水準が高い国であるがゆえに、今の時代に追いつけている」

 思い出されるのは、麻生氏が自民党政調会長だった03年、韓国を植民地支配した時代の創氏改名について、朝鮮の人々が望んでいたかのような発言をして猛反発を招いたことである。

 望んでいたのだから創氏改名には問題がなかった、朝鮮人のためを思ってやったことだ。そう言わんばかりだった。

 日本の植民地統治の負の部分は素通りして、プラスの側面ばかりを強調する。これでは、植民地支配を正当化しようとする勢力の主張と重なり合って見られても仕方がない。

 日本政府は植民地支配を反省し、謝罪を表明している。小泉首相も昨年8月の首相談話で明快に語った。この政府の見解を繰り返し説明し、理解を得る努力をするのが外相の本来の仕事のはずだ。

 なのに、国内向けにはトーンの違う発言をし、外国から疑念を招いている。米国の有力紙ボストン・グローブは社説で麻生発言を紹介し、近隣諸国を挑発する愚かしさを批判した。

 歯に衣(きぬ)着せぬ「本音トーク」は、麻生氏の政治家としての「売り」のひとつかもしれない。だが、首相の靖国神社参拝にからんで「天皇陛下の参拝が一番」と発言したのに続き、軽率に過ぎないか。日本外交を麻生氏に委ねるのは、極めて心配だ。

 麻生氏の講演にはもうひとつ、別の問題があった。「ひとつの中国」という政府の方針に反して、台湾を「国」と繰り返し表現したことである。

 米中、日中間で台湾問題はとても微妙な事柄だ。中国が不可分の領土と主張する台湾に「国」の呼称を使うことの意味を、外相が知らぬはずはあるまい。「地域」とすべきところを言い誤ったのだと思いたい。

 だが、2日後の記者会見では「国」と述べた発言の報道を否定して、こう述べた。「台湾を国と言ったら問題になるということぐらい、25年間朝日新聞にやられてますから。そんなにバカでもない」

 あまりに強く否定するので、こちらも録音を聞き直したら、確かに言っているではないか。口が滑ったというのなら、素直に自らの言葉の不適切さを認めるべきだ。

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どうしてこうしたことを朝日だけが社説で論じるのだろうと不思議でした。当然、他の新聞は、社説の素材になどしていません。これでは人民日報の社説ではないですか。

そしたらば、アメリカの朝日新聞、New York Timesがこの社説の英訳のような社説を2月13日(月)付けで載せたのです。

それがJapan's Offensive Foreign Minister(日本の攻撃的な外務大臣)。(英文は、このブログだと読みづらい表記になるので、割愛します。お読みになりたい方は、タイトル名をクリックしてください。リンクしています。)

というわけで、読売と毎日は、この偏向的で誤解に満ち満ちた社説をすぐに紹介しました。しかも、それぞれ的を得た批判を添えているのです。

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「あ然とさせる発言」麻生外相を米紙が痛烈批判 (読売新聞) - goo ニュース

2006年 2月14日 (火) 10:52

 【ニューヨーク=大塚隆一】13日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、靖国神社参拝や植民地統治をめぐる麻生外相の発言を痛烈に批判する社説を掲載した。

 問題にしたのは、天皇陛下の靖国参拝が望ましいとした発言や台湾の教育水準の高さを日本の植民地政策と結びつけた発言。同紙は、アジアの人々の怒りをあおる「あ然とさせる発言」で、「外交感覚も歴史感覚もおかしい」と評した。

 同紙は、事実関係について議論がある問題では中国、韓国側の主張に沿った記述が目立ち、この日の社説でも従軍慰安婦と南京事件について、それぞれ「韓国の若い女性の大量拉致と性的奴隷化」「中国の民間人数十万人の嗜虐(しぎゃく)的な大量殺りく」と断じた

         ◇

 麻生外相は14日の閣議後の記者会見で、「(ニューヨーク・タイムズの社説を)読んでいないから、何とも言えない。批判は自由ですから」と語った。


麻生外相発言:「誠実さも賢明さもうかがえぬ」米紙が批判

【ワシントン及川正也】米紙ニューヨーク・タイムズは13日、日中関係や靖国神社参拝などをめぐる麻生太郎外相の最近の歴史認識発言を取り上げ、「扇動的な発言からは誠実さも賢明さもうかがえない」と批判する社説を掲載した。

 社説は「日本の攻撃的な外相」と題し、外相が「天皇陛下の(靖国神社)参拝が一番だ」と述べたことや、日本の植民地支配下の台湾で教育水準が上がったことを指摘した発言を取り上げ、「一連のがくぜんとする発言によりアジアの人々の反感を買った」と批判。

 従軍慰安婦問題や細菌兵器実験、南京事件について、日本の学校での現代史教育で「国の責任にきちんとけじめをつけていない」ことが反感の背景にある、との見解も示した。

 また、中国の軍備拡大について「かなりの脅威」と発言したことにも触れ、「悪化する日中関係にわざわざ火を付けた」と論評。「麻生氏の外交センスは彼の歴史認識と同様に奇妙だ」と締めくくっている。

 ただし、社説は、南京事件の市民の犠牲者を中国側が主張している「数十万人」としたり、中国潜水艦の領海侵犯事件などがありながら「中国が最近、日本に脅威を与えたような記録はない」と指摘するなど、中国寄りの論評となっている

毎日新聞 2006年2月14日 10時33分 (最終更新時間 2月14日 16時22分)

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とにかく、読売や毎日が指摘しているように、この社説、品位のない英文によって書き連ねられたデマゴーグなのであります。そして、朝日はWeb版では当然、このことについてまったく触れていもいません。

しかし、このような誤った見方で国際世論が形成されるとすれば、日本の国益にとって由々しき問題です。

外務省を通じて、正式な反論を政府には期待したいものです。

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裏ブログにて書き続けている「気になる英語表現」のカテゴリーで問題の社説を分析しようと思いました。しかし、英文レベルがいつものNew York Timesの社説ほど高くなく、あたかも日本人が書いたかのような英文ですので、取り上げるのをやめました。おそらく、オーニシ記者が絡んでいるのでありましょう。悪しからずご了承ください。

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